退職給付債務を超過した年金資産の返済を受けた場合の処理

2015年12月14日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

年金資産の実際運用収益が期待運用収益を超過することにより年金資産が退職給付債務を超え、年金資産の返還を受けることになりました。この場合、返還額をどのように処理すべきでしょうか。

Answer 

① 原則法の場合

年金資産の実際運用収益が期待運用収益を超過することにより年金資産が退職給付債務を超え、当該超過額の全部または一部について、年金資産が事業主に返還された場合には、返還額を事業主の資産の増加と「退職給付に係る資産」(個別上は「前払年金費用」)の減少(又は「退職給付に係る負債」(個別上は「退職給付引当金」)の増加)として処理することが考えられます。 この場合、返還前の年金資産に占める返還額の割合が重要なときには、返還時点における年金資産に係る未認識数理計算上の差異のうち、当該返還額に対応する金額については、一時の費用としない理由は失われているものと考えられることから、当該差異の重要性が乏しい場合を除き、返還時に損益として認識します。

② 簡便法の場合

年金資産の返還は退職給付制度の給付内容の変更ではありません。また、人件費としての退職給付費用を増減させるべきものではなく、単に払いすぎた掛金額の調整であると考えられます。
このため、年金資産の返還という事象を退職給付会計上の利益として認識することは適切ではなく、「退職給付に係る負債」(個別上は「退職給付引当金」)の増加として処理することが考えられます。

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