企業買収交渉中に支払った買収に直接要する費用の決算での取り扱い

2019年9月30日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

ある企業の買収交渉中に当該買収に際して仲介者等に手数料等を支払い、決算期末となりましたが、決算日現在及び監査報告日現在、買収交渉が継続しています。仲介者等に支払った手数料等はどのように会計処理するのでしょうか。

Answer 

企業結合に直接要する支出額が決算期をまたぎ生じる場合、この買収が決算日現在、成立の可能性が高いと判断される場合には、仲介者等に支払った手数料等は仮払金等の資産に計上し、それ以外は発生時の費用として処理することになると考えられます。

個別財務諸表における子会社株式の取得原価については金融商品に関する会計基準に従って算定するものとされているため、子会社株式に係る付随費用は、子会社株式の取得原価に含めることになります。買収の可能性が高いと判断し仮払金等の資産に計上した金額は買収が成立した場合には取得原価に含め、不成立になった場合にはその時の費用に計上することになると考えられます。

一方、連結財務諸表では、取得関連費用は発生した連結会計年度の費用として処理する必要があります。

したがって、手数料等が支配獲得日の属する事業年度の前で発生している場合には、当該前事業年度の個別財務諸表上は仮払金等の資産に計上し、連結財務諸表上は費用処理することになると考えられます。

根拠条文

  • 企業結合に関する会計基準 第26項、第94項
  • 金融商品会計に係る実務指針 第56項
  • 金融商品会計に関するQ&A Q15-2

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