予定取引を包括ヘッジに含めることの可否

2010年12月28日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

海外の複数の会社から部品を調達している製造業で、1年間の生産計画に基づき従来から予定取引を実施しています。当期から予定取引により発生することが見込まれる外貨建負債(買掛金)をヘッジ対象としたヘッジを行いますが、予定取引をヘッジ対象とした包括ヘッジを実施することは可能でしょうか。

Answer 

ヘッジ対象が複数の資産又は負債から構成されている場合は、個々の資産又は負債が共通の相場変動等による損失の可能性にさらされており、かつ、その相場変動等の対して同様に反応することが予想されるのであれば、包括ヘッジの対象とすることができます。

ただし、予定取引は未履行の確定契約に係る取引及び契約は成立していないものの、取引予定時期、取引予定物件、取引予定量、取引予定価格等の主要な取引条件が合理的に予測可能であり、かつ、それが実行される可能性が極めて高い取引であるため、ヘッジ対象となりえるかどうかの判断が必要となります。

予定取引がヘッジ対象となり得るかどうかは、例えば、次の項目を総合的に吟味する必要があります。

①過去に同様の取引が行われた頻度
②法的、制度的、資金的に当該予定取引を行う能力
③当該予定取引を行わないことによる企業に与える影響
④当該予定取引と同等の効果・成果をもたらす他の取引
⑤当該予定取引発生までの期間
⑥予定取引数量

当該案件では、従来から生産計画に基づいた同様の取引が頻繁に行われており、その実績、生産計画、海外から部品調達を行わなければ工場の生産を行うことが困難になるとみられることなどから、予定取引の実行可能性を考えることになると思われます。

根拠条文

  • 「金融商品に関する会計基準」 注11
  • 「金融商品に関する会計基準」 第30項
  • 「金融商品会計に関する実務指針」 第162項

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