資本剰余金が連結と個別で異なるケース

2017年10月20日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

連結と個別で資本剰余金の金額が異なるのはどのような場合でしょうか。

Answer 

連結貸借対照表の資本剰余金は、たとえば以下の場合に親会社の個別貸借対照表と金額が異なります。

(1)連結子会社及び持分法適用会社が親会社株式を売却する場合

連結子会社及び持分法適用会社が保有する親会社株式は、連結貸借対照表上は自己株式として認識されます。そのため、当該親会社株式を連結子会社及び持分法適用会社が企業集団外部に売却する場合には、連結貸借対照表上は自己株式の処分として、売却損益のうち親会社持分相当を自己株式処分差損益(資本剰余金)に振り替えることになります。

(2)組織再編により再編前とは別の会社が連結財務諸表を作成する場合

株式移転、逆取得の吸収合併、子会社が親会社を吸収合併する場合、また逆取得の株式交換の場合において、組織再編前の連結財務諸表作成会社の資本金と組織再編後の連結財務諸表作成会社の資本金が異なる場合には、その差額を連結貸借対照表上の資本剰余金に振り替えることになります。

(3)逆取得となる組織再編等の場合

逆取得の吸収合併の場合、連結財務諸表上、吸収合併存続会社を被取得企業としてパーチェス法を適用した場合の取得対価を吸収合併消滅会社(取得企業)の資本剰余金に加算します。 子会社が親会社を吸収合併する場合、また逆取得の株式交換の場合も同様です。

(4)連結子会社に対する支配が継続したまま持分が変動する場合(平成25年改正)

連結子会社に対する支配が継続したまま連結子会社株式の追加取得等により持分が増加する場合、また、一部売却等により持分が減少する場合には、持分の増減により資本剰余金が変動します。 なお、持分の増減により生じた資本剰余金は、当該連結子会社が連結範囲から除外となった場合にも、引き続き連結財務諸表上の資本剰余金として計上され、連結と個別の差異は残ることになります。

根拠条文

  • 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準 第16項
  • 連結財務諸表に関する会計基準 第28項、第29項
  • 企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針 第85項(3)、第125項、第119項(3)、第212項
  • 連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針 49-2項

参考文献

  • 新日本有限責任監査法人[編]「連結財務諸表の会計実務(第2版)」中央経済社 第Ⅷ編

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