業種別会計
小売業

第2回:スーパーマーケット業、家電量販店業

2016.04.05
新日本有限責任監査法人 小売セクター
公認会計士 津田昌典/公認会計士 葉山良一
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4. 家電量販店業の会計処理の特徴

(1) ポイント制度

各大手家電量販店においては、価格競争激化からポイント付与率を上げており、ポイント発行残高も増加傾向にあります。ポイントは発行元である家電量販店での商品購入の際に現金同様に使用できる権利を有します。

ポイントに関する明確な会計処理基準はわが国では設定されていません。従って、企業会計原則等に則り会計処理を行うところ、「ポイント及びプリペイドカードに関する会計処理について」(金融庁:平成20年6月18日公表、7月2日改定)がポイントの会計処理にあたり参考となるものであることから、当該公表物をベースに会計処理を検討することが多いと考えられます。

ポイントの会計処理方法は、販売条件と考えるか販売促進と考えるか、及び合理的な見積りの可否などによって異なりますが、具体的には次の3種類が考えられます。現行実務上、ほとんどの家電量販店は、過去の実績データが蓄積してきたこと等により2.を採用していると考えられます。

  1. ポイントを発行した時点で費用処理(又は売上のマイナス処理)
  2. ポイントが使用された時点で費用処理するとともに、期末に未使用ポイント残高に対して過去の実績等を勘案して引当金計上
  3. ポイントが使用された時点で費用処理(この場合は引当金計上しない)

【2. 会計処理の仕訳例】

(ポイント発行時) 特段の処理は行わない

(ポイント使用時)

(借)販売促進費40 (貸)棚卸資産(売上高)40

* 利用ポイント50円分×商品の原価率80%

(決算時)

(借)ポイント引当金繰入額80 (貸)ポイント引当金80

* 翌期以降に使用見込みポイント100円分×商品の原価率80%

(2) リベート処理

リベートは、割戻しと訳されるもので、仕入代金の一部相当額を支払人に戻すこと、又はその戻した金銭のことをいいます。仕入代金そのものを減額する値引きや割引とは異なり、通常仕入代金の支払いとは別に行われます。

なお、リベートは慣行又は費用対効果によって決まりますが、リベート率の設定に不透明な部分があると好ましからぬ金銭・経理操作に用いられるおそれがあります。このため、家電量販店業界におけるリベートの取扱いは大きな論点といえます。リベートは、その性質から次の4種類に分類できます。

  1. 販売促進を目的としたリベート
    …販売数量に応じて収受される売上補償リベート及び仕入数量に応じて収受される仕入補償リベートが該当します。
  2. 取引価格の見直しのために支払われるリベート
    …例えば在庫補償リベートと呼ばれるものが該当し、これは旧製品を整理、売り切るために支払われるリベートです。
  3. 取引先の各種要請に対応するために支払われるリベート
    …協賛金や粗利補填リベートといわれるものが該当します。
  4. 取引条件の改善等、施策誘導のために支払われるリベート
    …現金リベートなど、施策誘導のため費用負担の一部をメーカーに補填してもらうものです。

家電量販店業界の慣習として、最終販売価格の維持を重視する家電メーカーは量販店への販売価格(下代、仕切)を下げたがらない傾向があります。しかしながら、特に季節傾向が強い家電商品については陳腐化が著しく早く、販売価格の下落にかかる利益補填をリベート支払いにて実施していることが考えられます。

また前述のとおり、リベート制度には種々様々なパターンがあります。会計上は、個々のリベートの内容、性質を検討し、整合する会計処理を選択することが重要といえます。

まとめ

本稿では2回にわたり百貨店業(衣川清隆執筆)、スーパーマーケット業(津田昌典執筆)、家電量販店業(葉山良一執筆)に係る特徴、業務の流れ、会計処理及び内部統制の特徴を中心に解説してきました。本稿が特に同業界に会計、監査等の立場から初めて関与する方々の理解の一助になれば幸いです。

参考文献等

  • よくわかる流通業界 月泉 博 日本実業出版社
  • 第11次 業種別審査辞典第3巻 金融財政事情研究会 ぎょうせい
  • スーパーマーケット業界用語集2000 社団法人 スーパーマーケット協会
  • 日本チェーンストア協会 www.jcsa.gr.jp
  • よくわかる家電量販店業界 山名一郎 日本実業出版社
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