業種別会計
小売業

第2回:スーパーマーケット業、家電量販店業

2016.04.05
新日本有限責任監査法人 小売セクター
公認会計士 津田昌典/公認会計士 葉山良一

第Ⅳ章 家電量販店業

1. 家電量販店業とは

家電量販店とは、テレビ、パソコン、オーディオ等の家電製品を大量に仕入れ、安価で消費者に提供することを基本戦略とする小売店をいいます。大量仕入、大量販売という業容から分かるように、まさに薄利多売を生業としている業界といえます。

近年、大型量販店同士の低価格販売競争が常態化しており、家電メーカーからの仕入値をいかに安くするかが、戦略成功、利益獲得のキーとなっています。そのため、家電メーカーに対する価格交渉力を高めるための大量仕入れが必要不可欠とされ、そのことが、近年みられるような家電量販店同士の合併、業務提携へと向かわせている要因と考えられます。いわゆる大手家電量販店であっても、買収や統合によって規模を拡大しなければ、激しい価格競争の中、生き残ることは至難な状況といわれています。

2. 家電量販店業の特徴

(1) トップダウン式の組織形態

家電量販店は急激にチェーン展開したという経緯があり、かつ歴史も比較的浅く、トップダウン式の組織形態となっている企業が比較的多く見受けられます。

また、多店舗展開の結果、店舗数が非常に多く、各社、安売りのためローコスト体制に注力する必要がある状況にあると考えられます。

当該観点からは、店舗現金、店舗在庫の管理や本社・本部等による店舗のモニタリング体制の有効性に留意が必要といえます。

(2) 業界特有の課題

家電業界を全般的に管理統括する業界団体は現在存在していません。過去、1972年に設立された日本電気大型店協会(NEBA)がありましたが、2005年8月末をもって解散に至っています。

いずれにしても、家電量販店各社の安売り競争が激化している中、業界を全般的に統括する業界団体が存在しない事情もあり、メーカー派遣販売員、リサイクル法違反、ダイレクトメール等で社会的にも話題となっています。よって、そのような営業面及びコンプライアンス面での問題の発生可能性はないか、会計処理に関係する問題はないかなどに、留意が必要といえます。

(3) 商品差別化の困難性

百貨店、スーパー等、他の小売業に比して家電量販店の取扱商品は特に差別化が困難であるといえます。取扱商品の一部にはPB(プライベート・ブランド)商品もありますが、その売上構成比は非常に僅少であり、大部分がNB(ナショナル・ブランド)商品を中心に構成されています。そのため家電量販店各社における品揃えの違いはほとんどなく、このことが価格競争激化の要因となっています。

(4) 商品サイクルの短さ

家電量販店業界の取扱商品は商品サイクルが特に短いという特徴があります。中でも、AV・情報家電はメーカーが年に2回程度は新商品を発表するという状況にあります。よって商品の販売時期を誤ると旧商品を多く抱えてしまい、結果、在庫滞留等が発生してしまいます。従って、適正な在庫管理の整備と遂行が特に重要といえます。

3. 家電量販店業の業務の流れ

(1) 仕入

多品種の商品を取り扱う中、在庫切れ、売れ残りを極力起こさないようにするため、家電量販店は基本的にPOSにより発注管理をしていることが多いです。POSからの情報に基づきメーカーに発注することになりますが、その手法としては電話又はFAXの他、EOSによるオンライン発注システムの利用も多く見受けられます。発注された商品はメーカーから直接店舗へ納入されるほか、物流センターを経由するケースもあります。

(2) 販売

家電量販店における販売業務のベースは店舗での直接販売です。その他、徐々に拡大中のWeb販売もありますが、圧倒的割合を占めているのが店舗販売です。店舗販売における業務は、POSにおけるバーコードリーダーでの読み取りによって実行されるケースがほとんどです。また販売にあたっては、現金値引、ポイント付与等を実行するケースが多いですが、その手法は各量販店により様々です(ex.現金値引率・ポイント付与率の差別化、他製品とのセット販売等)。

(3) 売上金管理

店舗販売、配送先の顧客からの入金等、基本的に個々の取引金額は少額でも販売取引は多量に行われ、日々の現金取扱量も多量となります。そのため各店舗では釣銭準備金として一定額の現金が保有されることとなりますが、売上金は基本的に日々警備会社等を通じて本社等の管理口座に入金されることが多いと考えられます。内部統制の観点からは、本社等の現金集中管理部署におけるチェック体制の構築が重要といえます。

(4) 棚卸

家電量販店においては、多品種、大量の商品を取り扱うため、数量、保管状況、滞留状況等、日々の在庫管理はもちろん、定期的な棚卸によってその残高状況を把握することが必要不可欠となります。

家電量販店での棚卸作業は店舗での棚卸作業と物流センターでの棚卸作業の二つに大きく分けられますが、特徴的なものは店舗での棚卸作業です。店舗での棚卸作業は商品がショールーム内に陳列されていたり、見本品としてディスプレーされていたり、メーカーからの預り品が陳列されていたりするため、棚卸実施日の検討、見本品と通常品との区別・劣化状況の把握、棚卸対象品と預り品との区別整理等が特に重要と考えられます。

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