業種別会計
リース業

第2回:リース業の契約締結・回収業務

2010.11.12
新日本有限責任監査法人 リース業研究会
大山太郎/宮﨑徹/小谷明子
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3.収益計上にかかる会計処理

リース取引にかかる会計処理については、リース取引会計基準等で定められています。また、この基準を基に社団法人リース事業協会がまとめた「リース会社における主要な会計処理と計算書類開示」を基礎として、リース会社は各々の取り扱いを定めていると思われます。

具体的には、リース契約の締結日において、リース取引をファイナンス・リース取引(所有権移転ファイナンス・リース取引、所有権移転外ファイナンス・リース取引)とオペレーティング・リース取引に区分します。区分された取引に応じて会計処理方法が定められています。

リース取引区分の判定および会計処理方法をフローチャートで簡単に表すと下図のようになります。

リース取引区分の判定および会計処理方法

なお、ファイナンス・リース取引の判定について、フルペイアウトの具体的な判定基準として、現在価値基準による判定および経済的耐用年数基準による判定があります。

また、ファイナンス・リース取引における収益の認識基準(利息相当額の各期への配分)については、次の第1法から第3法のいずれかの方法によりますが、企業は取引実態に応じていずれかの方法を選択することになります。なお、いずれの方法を採用しても貸借対照表、損益計算書に与える影響は同額となります。

(第1法)リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法
(第2法)リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法
(第3法)売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法

多くのリース会社では、第2法が採用されているようです。

上記のリース取引判定区分で判定された会計処理方法について、まとめると以下のようになります。

〈所有権移転ファイナンス・リース取引〉

(第1法)

リース取引開始時
(借) リース債権 XXX (貸) 売上高 XXX
(借) 売上原価 XXX (貸) 買掛金 XXX

リース料受取時
(借) 現預金 XXX (貸) リース債権 XXX

決算期※
(借) 繰延リース利益繰入 XXX (貸) 繰延リース利益 XXX

※利息相当額は原則として利息法により配分するため、翌期以降の利息相当額は「繰延リース利益」として繰り延べる会計処理を決算期に行います。なお、繰延リース利益は、リース債権と相殺して表示する点に留意します。

(第2法)

リース取引開始時
(借) リース債権 XXX (貸) 買掛金 XXX

リース料受取時
(借) 現預金 XXX (貸) 売上高 XXX
(借) 売上原価 XXX (貸) リース債権 XXX

(第3法)

リース取引開始時
(借) リース債権 XXX (貸) 買掛金 XXX

リース料受取時
(借) 現預金 XXX (貸) 受取利息 XXX
        リース債権 XXX

〈所有権移転外ファイナンス・リース取引〉

(第1法)

リース取引開始時
(借) リース投資資産 XXX (貸) 売上高 XXX
(借) 売上原価 XXX (貸) 買掛金 XXX

リース料受取時
(借) 現預金 XXX (貸) リース投資資産 XXX

決算期※
(借) 繰延リース利益繰入 XXX (貸) 繰延リース利益 XXX

※利息相当額は原則として利息法により配分するため、翌期以降の利息相当額は「繰延リース利益」として繰り延べる会計処理を決算期に行います。なお、繰延リース利益は、リース投資資産と相殺して表示する点に留意します。

(第2法)

リース取引開始時
(借) リース投資資産 XXX (貸) 買掛金 XXX

リース料受取時
(借) 現預金 XXX (貸) 売上高 XXX
(借) 売上原価 XXX (貸) リース投資資産 XXX

(第3法)

リース取引開始時
(借) リース投資資産 XXX (貸) 買掛金 XXX

リース料受取時
(借) 現預金 XXX (貸) 受取利息 XXX
        リース投資資産 XXX

〈オペレーティング・リース取引〉

リース取引開始時
(借) 賃貸資産 XXX (貸) 買掛金 XXX

リース料受取時
(借) 現預金 XXX (貸) 売上高 XXX
(借) 売上原価 XXX (貸) 減価償却累計額 XXX

4.回収業務の取引フロー

リース会社は、個人から民間企業、ひいては官公庁に至るまで様々なユーザーとリース取引を行っています。リース会社のリース契約件数は膨大であり、リース期間も長期にわたることからリース取引に関するシステム依存度は高く、リース料回収業務についても例外ではありません。

リース料回収は、主に借手の預金口座からの振込により行われますが、預り手形を受け取る場合があります。リース取引に係る預り手形は、約定に基づいた将来のリース料回収にあてられるため、担保手形に類し、貸借対照表には資産として計上されません。しかし、リース会社の多くは、当該情報は財務諸表利用者にとって重要であると考え、手形券面額を貸借対照表に注記しています。

なお、リース料の支払いが滞った借手に対して、債権の保全を図るため、リース会社は借手との間のリース契約を解除し、リース物件の返還を請求することがあります。リース会社は借手より返還されたリース物件を売却し、リース物件の売却収入をリース料の回収に充当することができます。しかし、日本では中古車市場のように信頼性が厚く価格が安定している市場はごくわずかであり、リース物件の売却収入によりリース料の全額が回収されるケースは多くはありません。

リース取引については、借手の信用状況が悪化してもリース契約を解約することはできないため、リース契約開始時の審査が重要となる点にも注意が必要です。

(週刊 経営財務 平成22年8月2日 No.2977 掲載)

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