業種別会計
リース業

第2回:リース業の契約締結・回収業務

2010.11.12
新日本有限責任監査法人 リース業研究会
大山太郎/宮﨑徹/小谷明子

1.業務の概要

リース業においては、リース物件の借手へのリース期間が長期にわたること、リース期間終了後のリース物件の転売価値がほとんどないことを踏まえ、リース料を確実に借手から回収し、貸倒れによる直接的および間接的な費用計上を軽減することが重要になります。そのため、リース契約の申込みの際の与信審査制度や、物件を伴わないリース契約「空リース」の締結を防ぐため、借手から物件の借受証を入手する等の仕組みが取られています。

ここでは主に典型的な動産のリース取引を想定して、以下の3つを取り上げ、解説します。

  • リース取引の契約締結業務フロー
  • 収益計上にかかる会計処理
  • 回収業務の取引フロー

2.リース取引の契約締結業務フロー

一般的なリース取引の契約計上フローは以下のとおりです。

物件の選択・決定

リースの申込み

ユーザー(借手)の審査

リース契約の締結

売買契約の締結

リース物件の発注・搬入

物件借受証発行、リース開始

(1)物件の選択・決定

借手は希望するリース物件について、サプライヤーと打ち合わせを行い選択・決定します。したがって、リース物件の保有者であり貸手となるリース会社は、リース物件の選定には一切関与しません。

(2)リースの申込み

既にサプライヤーとの間で決定しているリース物件の内容に基づいて、借手はリース料、リース期間などの条件について、リース会社と交渉します。

(3)ユーザー(借手)の審査

リースの申込みを受けたリース会社は、リース料を確実に回収するために、金融機関が行う審査と同様の与信判断を行います。

(4)リース契約の締結

リース会社は、審査の結果、借手に信用上の懸念がないと判断した場合、リース料、リース期間、支払い方法などのリース条件を記載した見積書を提示します。条件が借手とリース会社との間で合意されると、借手とリース会社はリース契約を締結します。リース契約はその締結により成立しますが、リース契約書では、借手がリース会社に発行する物件借受証記載の「借受日」をリース期間の開始日としているため、契約締結の時点では、リース料の支払い、リース物件の使用など契約上の権利義務は発生していません。

(5)売買契約の締結

リース契約締結後、リース会社はただちにサプライヤーとの間でリース物件の売買契約を締結します。この売買契約の流れは以下のとおりです。リース会社がリース物件発注の注文書をサプライヤーに発行します。これを受けて、サプライヤーがリース会社に注文請書を発行、発注を承諾します。最後にリース会社が注文請書を受領し、売買契約成立となります。

(6)リース物件の発注・搬入

借手はサプライヤーから搬入された物件について、希望どおりの機種、仕様、品質、性能、数量であるかどうかをただちに検査します。物件の所有権は、リース開始日(物件借受証の借受日)まではサプライヤーにあるため、借手は、その間、サプライヤーのために物件を保管します。物件の納入がないにもかかわらず、リース取引が開始される「空リース」を防ぐ意味でも重要な行為です。

(7)物件借受証発行、リース開始

借手は、リース物件の検査が終了して物件に暇疵がないことを確認すると、リース会社に対して物件借受証を発行します。この物件借受証に記載された借受日をもって、物件の所有権がサプライヤーからリース会社に移転し、リース会社から借手に物件が引き渡されたことになります。また、借受日がリース期間の開始日となり、この日から、借手はリース物件を使用できるとともに、リース料の支払いが始まります。