業種別会計
電気事業

第1回:電気事業とは

2017.12.20
新日本有限責任監査法人 電力・ガスセクター
公認会計士 秋野泰佑/髙松亮祐/平岡智広

1. はじめに

電気事業とは、エネルギーである電気を生産(発電)、送電し、販売する事業と定義することができます。電気事業のビジネスの特徴および経営環境について、以下の4回に分けて解説します。

2. 電気事業とは

わが国の電気事業(者)の概要は図表1のとおりです。

【図表1】
(事業者数は平成29年3月現在)

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【図表1】出典:資源エネルギー庁 「電力供給の仕組み(平成28年4月以降)」
出典:資源エネルギー庁「電力供給の仕組み(2016年4月以降)」

(1) 電気事業(者)の種類

電気事業は、発電(届出)、送配電(許可)、小売(登録)の事業区分に応じ、事業の運営が規制され、その事業および事業者の種類は次のように規定されています。

電気事業法(以下、事業法)とは、電気事業に関する法律です。その目的は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持および運用を規制することによって、公共の安全を確保し、環境の保全を図ることとされています。電気事業者は、この法律に基づいて事業を営むこととなります。

a. 小売電気事業者

小売電気事業者は、小売電気事業を営むことについて経済産業大臣の登録を受けた者をいいます(事業法第2条第1項第3号、第2条の2)。小売電気事業とは、一般の需要に応じて電気を供給する事業のことです。旧一般電気事業者である北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州・沖縄の10電力の小売部門(みなし小売電気事業者)および、いわゆる新電力が、これに該当します。一般需要家は、この小売電気事業者から電気を購入します。

b. 一般送配電事業者

一般送配電事業者は、一般送配電事業を営むことについて経済産業大臣の許可を受けた者をいいます(事業法第2条第1項第9号、第3条)。一般送配電事業とは、自らが維持し、運用する送電および配電用の電気工作物により、その供給区域において託送供給および発電量調整供給を行う事業(発電事業に該当する部分を除く)のことです。旧一般電気事業者である10電力の送配電部門が、これに該当します。

c. 送電事業者

送電事業者は、送電事業を営むことについて経済産業大臣の許可を受けた者をいいます(事業法第2条第1項第11号、第27条の4)。送電事業とは、自らが維持し、運用する送電用の電気工作物により、一般送配電事業者に振替供給を行う事業(一般送配電事業に該当する部分を除く)のことです。現在のところ、旧卸電気事業者である、全国各地に送電線を保有する電源開発株式会社の送電部門などが、これに該当します。

d. 特定送配電事業者

特定送配電事業者は、特定送配電事業を営むことについて経済産業大臣に届出をした者をいいます(事業法第2条第1項第13号、第27条の13第1項)。特定送配電事業とは、自らが維持し、運用する送電用および配電用の電気工作物により、特定の供給地点において小売供給または小売電気事業もしくは一般送配電事業を営む他の者に、その小売電気事業もしくは一般送配電事業の用に供するための電気に係る託送供給を行う事業(発電事業に該当する部分を除く)のことです。旧特定電気事業者である鉄道会社や鉄鋼会社などの送配電部門が、これに該当します。

e. 発電事業者

発電事業者は、発電事業を営むことについて経済産業大臣に届出をした者をいいます(事業法第2条第1項第14号、第27条の27第1項)。発電事業とは、自らが維持し、運用する発電用の電気工作物を用いて、小売電気事業、一般送配電事業または特定送配電事業の用に供するための電気を発電する事業であって、その事業の用に供する発電用の電気工作物が経済産業省令で定める要件に該当するものをいいます。火力、水力、原子力発電のみならず、太陽光、風力などの再生可能エネルギーによる発電を行っている事業者も、これに該当します。

(2) 電力自由化

戦後長く続いた10電力会社による地域独占も、社会環境の変化などから規制緩和し、市場競争を導入する結論に至り、電力の自由化へと歩み出しました。そして、平成11年5月の事業法改正により電力販売の一部が自由化され、使用規模が2,000kW以上の特別高圧の需要家に対する電力供給が自由化の対象となりました。その後、段階的に自由化の対象が拡大され、平成17年4月から使用規模50kW以上の全ての高圧需要家に対する電力供給についても対象になりました。そして、電力システム改革の大きな柱として、需要家の選択肢や、事業者の事業機会の拡大を図るため、平成28年4月から50kW未満の低圧電力、一般家庭など向けの電灯についても自由化の対象となり、小売全面自由化が始まりました。これにより、全ての一般需要家は電力の購入先を自由に選択できるようになりました。

(3) 電気事業(者)の財務報告

一般送配電事業者、送電事業者、発電事業者については、その会計に電気事業会計規則(以下、規則)が適用され、経済産業省令で定めるところにより毎事業年度終了後、財務諸表を経済産業大臣に提出しなければならないとされています(事業法第27条の2第1、2項)。ただし、発電事業者のうち、その出力が200万kWを超えない事業者については、規則を適用しないこともできます(規則第3条の2)。また、旧一般電気事業者の小売部門(みなし小売電気事業者)については、経過措置として供給義務などの規制が残る期間、規則が適用されます。

電気事業

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