業種別会計
電機産業

第2回:販売取引に関する会計処理と内部統制の特徴

2016.10.18
新日本有限責任監査法人 テクノロジーセクター
公認会計士 松本貴弘/渡邊裕介/小島慎一

販売取引に関する会計処理と内部統制の特徴

1. 販売取引に関する会計処理

電子デバイス産業やコンシューマ産業においては、収益計上基準として出荷基準を採用している会社が多いと思われます。これは、同種製品を反復継続して日々大量に出荷するので、個別に顧客の検収を確認してから売上を計上することが実務上非常に困難であるためです。また、電子デバイス産業においては、知的財産権に関連してライセンス売上の計上があるのも特徴の一つです。

他方、個別受注産業においては、工事進行基準を採用している会社が多いと思われます。個別受注産業にて扱う製品は標準的な製品ではなく特定の顧客に対する特別仕様のものであり、比較的金額が大きく、生産期間も長期にわたるため、このような取引について工事進捗部分について成果の確実性が認められる場合すなわち、工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度、の三要素について信頼性をもって見積もることができる場合には、工事契約に関する会計基準にもとづいて工事進行基準が適用されます。

2. 販売取引に関する内部統制の特徴

出荷基準を採用している場合の内部統制としては、出荷情報をいかに適時適切に把握するかが重要となります。また、出荷基準採用の前提となる、出荷して顧客に到着後に遅滞なく検収されているかどうかや返品が多くないかどうかを定期的にモニターすることも重要となります。

工事進行基準を採用している場合の内部統制としては、様々な規模の取引案件から工事進行基準の適用対象案件を適切に把握する内部統制の構築が必要となります。工事進行基準を適用するためには工事の進捗部分について成果の確実性が認められる必要がありますが、内部統制上は、成果の確実性の要素のうち、特に工事原価総額について信頼性を持って見積もる業務プロセスの重要性が高いといえます。経営資源は有限であるため、一般的に個々の契約の規模により契約内容を検討する内部統制には強弱が生じます。どの程度の取引規模について工事原価の積み上げを詳細に行い、また見積もりと実績の比較分析を詳細に行うか、という点について、経済的実態に基づいて適切な工事進行基準の適用対象案件の範囲を決定する内部統制を構築することが重要となります。

また、ライセンス売上がある場合には、売上の計上時期に留意する必要があります。クロスライセンス契約の契約総額と支払時期及び支払金額がライセンスの利用や効用とどのように関連するかを慎重に検討して、売上計上時期と計上金額を判断することが必要となるため、そうしたことを実施可能な体制を整備することが重要となります。

電機産業

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