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企業結合(平成15年会計基準)

第5回:共通支配下の取引等の会計処理②(子会社同士の合併)

2010.10.29
新日本有限責任監査法人 公認会計士 井澤依子

(2)連結子会社同士の吸収合併:数値例による解説

a. 前提条件

  • P社は、子会社S1社(60%保有)と子会社S2社(80%保有)を設立時から保有しています。
  • S1社・S2社の発行済株式総数と親会社及び少数株主が保有する株数を以下のとおりとし、株式の取得価額をそれぞれS1社=600、S2社=1,600とします。
      S1社 S2社 交換比率 合併後の
    S1社株式数
    合併後の
    持分比率
    親会社保有株数 600 800 1.00 1,400 70.00%
    少数株主の保有株数 400 200 1.00 600 30.00%
      1,000 1,000   2,000  
  • ×1年4月1日に、子会社S1社を存続会社、S2社を消滅会社とする合併が行われました。
  • 企業結合日におけるS1社、S2社の会社の時価は、いずれも5,000です。
  • 増加する純資産は、すべてその他資本剰余金とします。
  • ×1年3月期の連結精算表は、以下のとおりです。
      P社 S1社 S2社 個別合算 投資と資本相殺消去 連結財務諸表
    S1社 S2社
    諸資産 20,800 4,000 5,000 29,800     29,800
    S1社株式 600 0 0 600 (600)   0
    S2社株式 1,600 0 0 1,600   (1,600) 0
      23,000 4,000 5,000 32,000      
                   
    諸負債 (14,000) (1,500) (2,000) (17,500)     (17,500)
                  0
    資本金 (5,000) (1,000) (2,000) (8,000) 1,000 2,000 (5,000)
    利益剰余金 (4,000) (1,500) (1,000) (6,500) 600 200 (5,700)
    少数株主持分         (1,000) (600) (1,600)
      (23,000) (4,000) (5,000) (32,000) 0 0 (29,800)

b. ×1年4月1日における合併仕訳

(借) 諸資産 5,000 (貸) 諸負債 2,000
        その他資本剰余金 3,000

受け入れる資産・負債は、S2社において合併期日の前日に付された適正な帳簿価額により計上します

c. ×1年4月1日におけるP社の個別財務諸表上の処理

(借) S1社株式 1,600 (貸) S2社株式 1,600

交換損益を認識せず、S2社株式の帳簿価額をS1社株式に振り替えます。

d.×1年4月1日における連結財務諸表上の処理

S1社、S2社の開始仕訳およびS2社消滅に伴う開始仕訳の振戻処理については、省略します。

ア. S1社株式追加取得に係る連結仕訳

合併の前後で、S1社の持分比率が60%から70%に増加しているので、10%増加部分につき追加取得の会計処理を行います。

(借) 少数株主持分 250 ※2 (貸) S1社株式 500 ※1
  のれん 250 ※3      
  1. ※1:S1社株式の取得原価は、S1社の時価評価額(5,000)に持分比率の増加分(10%)を乗じて計算します。 5,000×10%=500
  2. ※2:適正な帳簿価額に基づく純資産は、2,500(=1,000+1,500)であることから、減少する少数株主持分は、10%を乗じて計算します。 2,500×10%=250
  3. ※3:S1社株式の取得原価(500)と減少する少数株主持分(250)との差額(250)は、のれんとして計上します。

以上を図で示すと図表10のようになります。

【図表10】

図10 S1社に係る仕分

イ. S2社の親会社持分減少に係る連結仕訳

ⅰ.投資と資本の消去および払込資本の振替
S1社の受け入れた旧S2社部分につき、投資と資本の相殺消去と、その他資本剰余金から取得後増加剰余金をその他利益剰余金に振り替える仕訳は以下です。
(借) その他資本剰余金 3,000 (貸) S1社株式 1,600  
        少数株主持分 600 ※1
        利益剰余金 800 ※2
  1. ※1:S2社の純資産3,000×20%=600
  2. ※2:S2社取得後増加剰余金1,000×80%=800

少数株主持分は、合併により持分に変動がおきる以前の比率で計上します。取得後増加剰余金は、少数株主持分が存在するため、親会社持分に帰属する部分のみ計上します。

ⅱ.持分変動差額の計上
(借) S1社株式 500 ※2 (貸) 少数株主持分 300 ※1
        持分変動差益 200 ※3
  1. ※1:S2社持分の減少額は、S2社の資産・負債の適正な帳簿価額に基づく純資産(3,000)に減少する持分比率を乗じて計算します。  3,000×10%=300
  2. ※2:減少するS2社持分に係る価値は、S2社の時価(5,000)に減少する持分比率(10%)を乗じた500となります。また、取得するS1社株式の時価も同じく500ですが、これはS1社持分の減少とS2社持分の増加とが、理論的には等価交換であることによります。
  3. ※3:※1と※2の差額が持分変動差額となります。持分変動差額は、減少したS2社持分に対する移転損益と考えられます。

以上を図で示すと図表11のようになります。

【図表11】

図11 S2社に係る仕分

また、S1社およびS2社の図表を連結したのが以下の図表12です。連結精算表と合わせてみますと、S1社およびS2社の持分比率の移動に係る部分の企業価値は同じ額(500)であることが分かります。

【図表12】

図12 S1社およびS2社

連結精算表は以下のとおりです。 (※画像をクリックすると拡大します。)



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