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関連当事者の開示に関する会計基準の概要

第2回:関連当事者の範囲

2008.12.11
(2019.03.20更新)
EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 七海健太郎
EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 中村崇

5.関連当事者の範囲

関連当事者とは、ある当事者が他の当事者を支配しているか、または、他の当事者の財務上及び業務上の意思決定に対して重要な影響力を有している場合の当事者等をいい、以下に掲げる者をいいます(関連当事者の開示に関する会計基準(以下、会計基準)第5項(3))。

  1. 親会社
  2. 子会社
  3. 財務諸表作成会社と同一の親会社をもつ会社
  4. 財務諸表作成会社が他の会社の関連会社である場合における当該他の会社(その他の関係会社)並びにその親会社及び子会社
  5. 関連会社及び当該関連会社の子会社
  6. 財務諸表作成会社の主要株主及びその近親者
  7. 財務諸表作成会社の役員及びその近親者
  8. 親会社の役員及びその近親者
  9. 重要な子会社の役員及びその近親者
  10. ⑥から⑨に掲げる者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社及びその子会社
  11. 従業員のための企業年金(企業年金と会社との間で掛金の拠出以外の重要な取引を行う場合に限る。)

会社から見て、関連当事者とは、支配している者、されている者、または影響力を与えている者、受けている者のいずれかであるというようにもいえます。

図4 関連当事者の概念

関連当事者の概念 図表

①から⑤及び⑩に掲げる"会社"には、会社だけでなく、指定法人、組合その他これらに準ずる事業体が含まれます。ここで使われている用語の定義と留意すべき事項は以下のとおりです。

  • 親会社

    他の会社等の財務及び営業または事業の方針を決定する機関を支配している会社等をいい、子会社とは当該他の会社等をいいます(財務諸表等規則(以下、財規)第8条第3項)。同一の親会社をもつ会社とは、いわゆる兄弟会社のことです。

    ここで、親会社及び子会社または子会社が、他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等も、その親会社の子会社と見なすため(財規第8条3項)、子会社には、「子会社の子会社」、親会社には「親会社の親会社」も含まれることに留意が必要です。従って、例えば兄弟会社の子会社や、親会社の親会社の子会社なども、③として関連当事者の範囲に含まれます。

  • 関連会社

    会社等及び当該会社等の子会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業または事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等をいいます(財規第8条第5項)。

  • 主要株主

    保有態様を勘案した上で、自己または他人の名義をもって総株主の議決権の10%以上を保有している株主をいいます(会計基準第5項(6))。関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針(以下、適用指針)第3項では、以下の場合は、その保有態様から、主要株主には該当しないとしています。

    • 信託業を営む者が信託財産として株式を保有している場合
    • 証券業を営む者が引受けまたは売出しを行う業務により株式を保有している場合
    • 証券金融会社がその業務として株式を保有している場合
  • 役員

    取締役、会計参与、監査役、執行役またはこれらに準ずる者をいいます(会計基準第5項(7))。これらに準ずる者として、例えば、相談役、顧問、執行役員その他これらに類する者であって、その会社内における地位や職務等からみて実質的に会社の経営に強い影響を及ぼしていると認められる者をいい、創業者等で役員を退任した者についても、役員の定義に該当するかどうかを実質的に判定します(適用指針第4項)。⑨において"重要な子会社の役員"の"重要な"は"役員"にかかります。すなわち、会社グループの事業運営に強い影響力を持つ者が子会社の役員にいる場合の当該役員が該当します。

  • 近親者

    ⑥から⑨での近親者とは、二親等以内の親族、すなわち、配偶者、父母、兄弟、姉妹、祖父母、子、孫及び配偶者の父母、兄弟、姉妹、祖父母ならびに兄弟、姉妹、子、孫の配偶者をいいます(会計基準第5項(8))。⑩においては主要株主・役員の近親者のみが議決権の過半数を自己の計算において所有している会社も対象であることに留意が必要です。

    図5 近親者の範囲

    近親者の範囲 図表

  • 従業員のための企業年金

    従業員のための退職給付制度が、資金を提供している会社から強い影響を受けることなどを考慮して、国際的な会計基準で関連当事者として規定されていることと歩調を合わせ、関連当事者とされています(会計基準第23項)。

6.類似用語との比較

関連当事者の範囲に関する理解を深めるため、他の会計用語との違いについて、解説します。

(1)関係会社

親会社、子会社及び関連会社ならびに財務諸表提出会社が他の会社等の関連会社である場合の当該他の会社等のことをいいます(財規第8条第8項)。有価証券報告書の項目"関係会社の状況"や貸借対照表注記の関係会社に対する資産・負債などで使用される用語です。

関連会社の子会社・その他関係会社の親会社・その他関係会社の子会社は関係会社に含まれていませんが、会計基準第5項(3)の①②④⑤がおおむね該当すると考えられます。

(2)特別利害関係者

会社の役員(役員持株会を含む)、役員の配偶者及び二親等内の血族、役員及びその配偶者ならびに二親等内の血族が自己または他人の名義により所有する議決権が過半数を超えている会社、関係会社及びその役員のことをいいます(企業内容等の開示に関する内閣府令第1条第31号イ)。株式公開に当たっての規制や開示の場面で使用される用語です。

関連会社の役員・その他の関係会社の役員・重要な子会社の役員以外の子会社役員は関連当事者ではありませんが、それ以外について会計基準第5項(3)の①②④⑤⑦⑧⑨⑩がおおむね該当すると考えられます。

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