役員報酬の開示分析 第2回:業績評価指標

2017年12月14日
カテゴリー 解説シリーズ

公認会計士 鈴木 真策

Question 

業績連動報酬を採用している会社が定めている業績評価指標が知りたい。

Answer 

【調査範囲】

  • 調査日:平成29年9月
  • 調査対象期間:平成29年3月31日
  • 調査対象書類:有価証券報告書
  • 調査対象会社:平成29年4月1日現在の日経株価指数300に採用されている会社のうち、以下の条件に該当する54社
    ① 3月31日決算
    ② 日本基準を採用
    ③ 業績連動報酬を採用している会社であって、業績評価指標の記載がなされている会社

【調査結果】

<業績連動報酬に使用する業績評価指標(数値目標)>

業績連動報酬の指標
会社数(※)
連結売上高
5
連結売上高営業利益率(ROS)
1
連結売上高前年同期伸長度 1
売上高 3
売上高成長率 1
連結営業利益 17
連結営業利益対前年同期改善度 1
連結営業利益率 2
営業利益 4
セグメント営業利益率 1
連結経常利益 9
セグメント経常利益 1
税金等調整前当期純利益 1
EBITDA(利払い前・ 税引前・減価償却前利益) 1
親会社株主に帰属する当期純利益 16
当期純利益 4
連結ROA(連結総資本利益率) 2
ROA(総資本利益率) 1
連結ROE(連結自己資本利益率) 4
ROE(自己資本利益率) 4
連結ROIC(連結投下資本利益率) 2
ROIC(投下資本利益率) 2
総資本営業利益率 1
EPS(1株当たり当期純利益) 3
フリー・キャッシュ・フロー 1
過去3事業年度の株価の成長率とTOPIXの成長率 1
過去3事業年度の連結純利益の成長率 1
株価変動率とTOPIX変動率の比較基準 1
対象期間における1株当たり配当金の累計額 1
合計 92

(※) 業績評価指標を複数定めている会社はそれぞれ1社とカウントしている。

短期業績指標である売上高、営業利益、経常利益を設定している会社が多く、売上関連指標11社、営業利益関連指標25社、経常利益関連指標10社、親会社株主に帰属する当期純利益(個別財務諸表では当期純利益)20社であった。他方、中長期的な業績を測る指標であるROA、ROE、ROICを業績評価指標としている会社は合計15社と依然少数であった。また、複数の業績評価指標を組み合わせて設定している会社は23社であり、全体の約43%であった。
長期業績指標の代表的なものとして株価関連指標が挙げられるが、株価に関連した指標を業績評価指標として定めている会社はなかった。
株価は会社の業績等を一定程度反映するものの、会社の業績等以外の外的要因で変動することもあり、必ずしも会社の業績と連動するものではないことが理由の1つと考えられる。

(旬刊経理情報(中央経済社) 平成29年11月1日増大号 No.1494「役員報酬の開示分析」を一部修正)

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