平成20年連結会計基準における連結財務諸表原則からの変更点 第2回:平成20年連結会計基準に基づく支配獲得日の資本連結仕訳の設例

2009年11月18日
カテゴリー 解説シリーズ

公認会計士 井澤依子

平成20年連結会計基準に基づく支配獲得日の資本連結仕訳の設例は以下のとおりです。

設例1 段階的取得で支配を獲得したケース

① 事実関係

(ア) P社がA社の株式を段階的に取得

(取得状況)

取得日
持分比率(%)
株式数(株)
取得原価
(円)
取得時点の時価
(円/株)
×1年3月31日
15%
1,500
6,000,000 4,000
×2年3月31日 45%
4,500
36,000,000 8,000
  60% 6,000 42,000,000  

発行済み株式数:10,000株

(イ) ×2年3月31日のP社及びA社の貸借対照表

×2年3月31日のP社およびA社の貸借対照表

(ウ) 支配獲得時(×2年3月31日)の土地の時価評価額は10,000千円

② 連結仕訳(単位:千円)

(ア) 土地の評価差額の計上

土地の評価差額の計上

計算式:土地の時価-土地の帳簿価額=10,000-6,000=4,000

(イ) 投資額を支配獲得日の時価に修正

投資額を支配獲得日の時価に修正

計算式:A社投資額の時価-A社投資額の帳簿価額
=@8,000円×6千株-42,000=6,000

(ウ) 修正後のA社貸借対照表

修正後のA社貸借対照表

(エ) 投資と資本の相殺消去

投資と資本の相殺消去

※:純資産の60%分

(オ) 少数株主持分振替

少数株主持分振替

※:純資産の40%分

(カ) まとめ

まとめ

設例2 段階的な取得で持分法適用から支配を獲得したケース

① 事実関係

(ア) P社がA社の株式を段階的に取得

(取得状況)

取得日
持分比率(%)
株式数(株)
取得原価
(円)
取得時点の時価
(円/株)
×1年3月31日
30%
3,000 21,000,000 7,000
×2年3月31日
45%
4,500
36,000,000 8,000
  75%
7,500 57,000,000  

発行済み株式数:10,000株

(イ) ×1年3月31日のP社及びA社の貸借対照表

×1年3月31日のP社及びA社の貸借対照表

(ウ) ×2年3月31日のP社及びA社の損益計算書

×2年3月31日のP社及びA社の損益計算書

(エ) ×2年3月31日のP社及びA社の貸借対照表

×2年3月31日のP社及びA社の貸借対照表

(オ) 支配獲得時(×2年3月31日)の土地の時価評価額は10,000千円

(カ) のれんの償却は、翌年から20年間

② 連結仕訳(単位:千円)

(ア) ×1年3月31日の株式取得により持分法の適用開始

×1年3月31日の株式取得により持分法の適用開始

(イ) ×2年3月末までの当期純利益計上

×2年3月末までの当期純利益計上

※:当期純利益×30%=6,000×30%=1,800

(ウ) のれん相当額の償却(×2年3月末までの償却)

のれん相当額の償却(×2年3月末までの償却)

※:のれん相当額=取得原価-純資産×30%=21,000-60,000×30%=3,000

(エ) 土地評価差額計上(×2年3月末の評価差額の処理)

土地評価差額計上(×2年3月末の評価差額の処理)

計算式:土地の時価-土地の帳簿価額=10,000-6,000=4,000

(オ) 投資額を支配獲得日の時価に修正

投資額を支配獲得日の時価に修正

計算式:A社投資額の時価-A社投資額の持分法評価額
=@8,000円×7.5千株-(57,000+1,800-150)=1,350

(カ) 投資と資本の相殺消去

投資と資本の相殺消去

※:純資産の75%分

(キ) 少数株主持分振替

少数株主持分振替

※:純資産の25%分

(ク) まとめ

 まとめ

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