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減損会計

第10回:共用資産および、のれんの取扱い

2007.11.22
新日本有限責任監査法人 公認会計士 山岸聡

1.共用資産の定義

共用資産とは、複数の資産または資産グループの将来キャッシュフローの生成に寄与する資産のことで、本社の建物や試験研究施設などの全社的な資産のみならず、複数の資産または資産グループに係る福利厚生施設や開発、動力、修繕、運搬等を行う設備なども該当します。共用資産に係る減損の判定および測定は次のような原則的な方法と代替的な方法の二通りがあります。

(1)原則的な方法

共用資産とその共用資産が将来キャッシュフローの生成に寄与している資産グループを含む、より大きな単位でグルーピングを行う方法

(2)代替的な方法

共用資産の帳簿価額を各資産グループに配分して、配分後の各資産グループについて減損損失の認識と測定を行う方法(※)

※一般に、共用資産の帳簿価額を合理的な基準で各資産または資産グループに配分することは困難であると考えられるため、共用資産を含むより大きな単位または共用資産自体に減損の兆候がある場合の、共用資産に係る減損損失を認識するかどうかの判定および減損損失の測定は、共用資産が関連する複数の資産または資産グループに共用資産を加えた、より大きな単位で行います。

共用資産に係る減損の判定のグルーピングのイメージ

2.共用資産に係る減損損失の配分

共用資産を加えることによって算定される減損損失の増加額は、共用資産に配分しますが、共用資産に配分される減損損失が、共用資産の帳簿価額と正味売却価額の差額を超過することが明らかな場合には、当該超過額を各資産または資産グループに合理的な基準により配分します。
ここでいう合理的な基準ですが、帳簿価額に基づく比例配分の方法のほか、各構成資産の時価を考慮した配分等の方法が合理的と認められる場合には、各資産または資産グループの帳簿価額と回収可能価額の差額の比率等により配分する方法が考えられます。

原則的な方法

【第1プロセス】

第1プロセス

【第2プロセス】

第2プロセス

3.のれん

(1)のれんの定義

のれんとは、被取得事業または取得した事業の取得原価が、取得した資産および引き受けた負債に配分された純額を超過する額をいい、当該金額がマイナスとなる場合には、負ののれんといいます。減損会計においては、正ののれん(借方残高)のみが適用対象となります。

引き継がれる会社の資産・負債(時価)

(2)のれんの分割

のれんが認識される営業譲受や合併等の取引で、取得した事業が複数の場合には、のれんの帳簿価額を合理的な基準に基づき各事業に分割する必要があります。のれんを分割し帰属させる事業の単位は、取引の対価が概ね独立して決定され、かつ、取得後も内部管理上独立した業績評価が行われる単位であることが求められており、通常、資産グループよりは大きく、開示対象セグメントの基礎となる事業区分と同じか小さくなると考えられています。

  1. 取得された事業の取得時における時価の比率に基づいて行う方法
  2. 取得した事業の取得時における時価と当該事業の純資産(資産総額と負債総額の差額)の時価との差額の比率に基づいて行う方法
    のれんの分割
  3. 減損会計における取扱い(会計基準二8)
    のれんについても、その他の資産と同様に、減損の兆候がある場合に、減損の認識の判定を行い、減損が認識された場合には、減損損失を計上することとなります。ただし、のれんは、共用資産と同様に、単独で将来キャッシュフローを生み出すものではなく、他の資産グループの将来キャッシュフロー生成に間接的に寄与する資産であるので、当該他の資産グループにかかわらせて、減損会計を適用する必要があります。
    減損会計におけるのれんの取扱いについては、のれんが帰属する事業に関連する複数の資産グループにのれんを加えた、より大きな単位でグルーピングを行う方法と、のれんの帳簿価額を関連する資産グループに配分して、配分後の各資産グループについて減損損失の認識と測定を行う方法があります。

減損会計

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