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減損会計

第8回:将来キャッシュフロー

2007.11.19
新日本有限責任監査法人 公認会計士 山岸聡

1.将来キャッシュフローの見積り

企業は、取締役会等の承認を得た中長期計画の前提となった数値を、経営環境などの企業の外部要因に関する情報や企業が用いている内部の情報(例えば、予算やその修正資料、業績評価の基礎データ、売上見込みなど)を整合的に修正し、各資産または資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮して将来キャッシュフローを見積ることが必要です。留意すべきことは、資産グループのうち何を主要な資産とするかという点と、主要な資産の経済的残存使用年数に基づく将来キャッシュフローの見積期間です。

主要な資産
資産グループの将来キャッシュフロー生成能力にとって、最も重要な構成資産のことをいいます。減損損失を認識するかどうかを判定するために割引前将来キャッシュフローの総額を見積る期間は、この主要な資産の経済的残存使用年数と20年のいずれか短い方です。

2.経営計画、財務予算等の利用可能性

取締役会等の承認を得た中長期計画の前提となった数値とは、実務的には企業が作成する経営計画、財務予算、財務予測が該当することになります。さらに、内部管理目的の損益報告や事業の再編等に関する経営計画などの内部情報や、経営環境や資産の市場価格などの外部情報に基づいて作成された資料も利用可能と考えます。

図

※1:経営計画・財務予算等でキャッシュフローを見積ります。
※2:成長率等を用いて推定することになります。

3.税効果会計との整合性

税効果会計と減損会計の共通点は、将来の利益数値を見据えて会計処理を行うという点です。相違するのは、税効果会計が会社全体を見積りの単位とするのに対し、減損会計はグルーピングを行った単位で見積りを行うということです。このため、両者の整合性には十分な注意を払うべきと思われます。

図

4.将来キャッシュフローの見積期間に関する整理

  1. 主要な資産の経済的残存使用年数が20年を超えない場合
    経済的残存使用年数経過時点における資産または資産グループ中の主要な資産の正味売却価額を、当該経済的残存使用年数までの割引前将来キャッシュフローに加えます(適用指針18項(1))。
  2. 主要な資産の経済的残存使用期間が20年を超える場合
    21年目以降に見込まれる将来キャッシュフローに基づいて算定された20年経過時点における回収可能価額を20年目までの割引前将来キャッシュフローに加えます(適用指針18項(2))。
  3. 主要な資産以外の構成資産の経済的残存使用年数が、主要な資産の経済的残存使用年数を超えない場合
    構成資産の経済的残存使用年数経過時点における当該構成資産の正味売却価額を、主要な資産の経済的残存使用年数までの割引前将来キャッシュフロー(当該構成資産の経済的残存使用年数が20年を超えるときには21年目以降に見込まれる将来キャッシュフロー)に加えます(適用指針18項(3))。
  4. 主要な資産以外の構成資産の経済的残存使用年数が、主要な資産の経済的残存使用年数を超える場合
    主要な資産の経済的残存使用年数経過時点における当該構成資産の回収可能価額を、①のときには主要な資産の経済的残存使用年数経過時点までの割引前将来キャッシュフローに加算し(意見書四2.(2))、②のときには、21年目以降に見込まれる将来キャッシュフローに加えます。

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