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「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」のポイント

2020.04.08
EY新日本有限責任監査法人
公認会計士 村田 貴広

<ASBJから2020年3月31日に公表>

2020年3月31日に、企業会計基準委員会(ASBJ)より、実務対応報告第39号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)が公表されています。

令和2年度税制改正において従来の連結納税制度が見直され、グループ通算制度に移行する税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第8号))(以下「改正法人税法」という。)が2020年3月27日に成立しています。これにより、グループ通算制度の適用対象となる企業は、改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む。)において、グループ通算制度の適用を前提として繰延税金資産の回収可能性の判断を行う必要がありますが、当該判断を行うことについて、実務上対応が困難であるとの意見が聞かれたことから、ASBJでは、必要と考えられる取扱いを検討し、今般、本実務対応報告が公表されたものです。

Ⅰ. 本実務対応報告の概要

1. 範囲(本実務対応報告第2項)

本実務対応報告は、2020年3月27日に成立した改正法人税法の成立日の属する事業年度において連結納税制度を適用している企業及び改正法人税法の成立日より後に開始する事業年度から連結納税制度を適用する企業を対象とすることとされています。

2. 改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む。)に係る税効果会計の適用に関する取扱い(本実務対応報告第3項)

本実務対応報告は、改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む。)に係るグループ通算制度の適用を前提とした税効果会計における繰延税金資産及び繰延税金負債の額については、実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」及び実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」に関する必要な改廃をASBJが行うまでの間は、グループ通算制度への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目について、企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下「税効果適用指針」という。)第44項の定めを適用せず、改正前の税法の規定に基づくことができるとされています。

(参考)グループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目

  • 受取配当等の益金不算入制度における見直し
    1. 関連法人株式等に係る負債利子控除額を、関連法人株式等に係る配当等の額の100分の4相当額(その事業年度において支払う負債利子の額の10分の1相当額を上限とする。)とする。
    2. 関連法人株式等又は非支配目的株式等に該当するかどうかの判定については、100%グループ内(現行:連結グループ内)の法人全体の保有株式数等により行う。
  • 寄附金の損金不算入制度について、損金算入限度額の計算の基礎となる資本金等の額を、資本金の額及び資本準備金の額の合計額とする。
  • 貸倒引当金について、100%グループ内(現行:連結グループ内)の法人間の金銭債権を貸倒引当金の対象となる金銭債権から除外する。
  • 資産の譲渡に係る特別控除額の特例について、100%グループ内(現行:連結グループ内)の各法人の特別控除額の合計額が定額控除限度額(年5,000万円)を超える場合には、その超える部分の金額を損金不算入とする。

3. 開示(本実務対応報告4項)

前記2.の取扱いにより税効果適用指針第44項の定めを適用せず、改正前の税法の規定に基づくこととした場合、繰延税金資産及び繰延税金負債の額について、本実務対応報告に基づき改正前の税法の規定に基づいて計算している旨を注記することが提案されています。

4. 適用時期(本実務対応報告第5項)

本実務対応報告は、公表日以後適用することとされています。

5. 公開草案からの主な修正点

字句等の軽微な変更を除き、内容に関わるような公開草案からの変更はありません。

Ⅱ. その他の留意事項

令和2年度税制改正では、前記Ⅰ. 2.(参考)に記載のとおり、グループ通算制度への移行にあわせた単体納税制度の見直しが行われています。
本実務対応報告の適用対象とならない企業においては、改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算に係る税効果会計の適用にあたって、グループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目について、税効果適用指針第44項の定めにより改正法人税法の規定に基づく必要があると考えられますので留意が必要です。

なお、本稿は本実務対応報告の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

企業会計基準委員会(ASBJ)ウェブサイトへ


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