企業会計ナビ

「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い(案)」のポイント

2020.02.17
EY新日本有限責任監査法人
公認会計士 村田 貴広

<ASBJから2020年2月13日に公表>

2020年2月13日に、企業会計基準委員会(ASBJ)より、実務対応報告公開草案第58号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い(案)」(以下「本公開草案」という。)が公表されています。

令和2年度税制改正において従来の連結納税制度が見直され、グループ通算制度に移行する税制改正法案が第201回通常国会に提出されています。令和2年度税制改正法が成立した場合、連結納税制度を適用している企業で、かつ、グループ通算制度に移行することを予定している企業においては、令和2年度税制改正法の成立日以降に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む。)において、グループ通算制度の適用を前提とした税効果会計の適用を行い、繰延税金資産の回収可能性の判断を行う必要がありますが、当該判断を行うことについて、実務上対応が困難であるとの意見が聞かれたことから、ASBJでは、必要と考えられる取扱いを検討し、今般、本公開草案が公表されたものです。

本公開草案に対しては、2020年3月9日(月)までコメントが募集されています。

Ⅰ. 本公開草案の概要

1. 本公開草案の前提

本公開草案は、令和2年度税制改正法が成立した後に実務対応報告を公表することが前提とされています。なお、仮に令和2年度税制改正法が2020年3月31日までに成立した場合には、成立後、2020年3月31日までに実務対応報告を公表することが想定されています。

2. 範囲(本公開草案第2項)

本公開草案は、2020年X月X日に成立した「所得税法等の一部を改正する法律」(本公開草案の公表時点では第201回通常国会において審議中)(令和2年法律第X号)(以下「改正法人税法」という。)の成立日の属する事業年度において連結納税制度を適用している企業及び改正法人税法の成立日より後に開始する事業年度から連結納税制度を適用する企業を対象とすることが提案されています。

3. 改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む。)に係る税効果会計の適用に関する取扱い(本公開草案第3項)

本公開草案は、改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む。)についてグループ通算制度の適用を前提とした税効果会計における繰延税金資産及び繰延税金負債の額については、実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」(以下「実務対応報告第5号」という。)及び実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」(以下、実務対応報告第5号と合わせて「実務対応報告第5号等」という。)に関する必要な改廃をASBJが行うまでの間は、グループ通算制度への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目について、企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下「税効果適用指針」という。)第44項の定めを適用せず、改正前の税法の規定に基づくことができるとすることが提案されています。

(参考) グループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目

  • 受取配当等の益金不算入制度おける見直し
    1. 関連法人株式等に係る負債利子控除額を、関連法人株式等に係る配当等の額の100分の4相当額(その事業年度において支払う負債利子の額の10分の1相当額を上限とする。)とする。
    2. 関連法人株式等又は非支配目的株式等に該当するかどうかの判定については、100%グループ内(現行:連結グループ内)の法人全体の保有株式数等により行う。
  • 寄附金の損金不算入制度について、損金算入限度額の計算の基礎となる資本金等の額を、資本金の額及び資本準備金の額の合計額とする。
  • 貸倒引当金について、100%グループ内(現行:連結グループ内)の法人間の金銭債権を貸倒引当金の対象となる金銭債権から除外する。
  • 資産の譲渡に係る特別控除額の特例について、100%グループ内(現行:連結グループ内)の各法人の特別控除額の合計額が定額控除限度額(年5,000 万円)を超える場合には、その超える部分の金額を損金不算入とする。

4. 開示(本公開草案第5項)

前記3.の取扱いにより税効果適用指針第44項の定めを適用せず、改正前の税法の規定に基づくこととした場合、繰延税金資産及び繰延税金負債の額について、本実務対応報告に基づき改正前の税法の規定に基づいて計算している旨を注記することが提案されています。

5. 適用時期(本公開草案第5項)

本公開草案は、公表日以後適用することが提案されています。

Ⅱ. 本公開草案に対するコメント

本公開草案に対するコメント募集に際し、以下の個別の質問が示されています。

[質問1]
本公開草案では、実務対応報告第5号等に関する必要な改廃を当委員会が行うまでの間は、グループ通算制度への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目について、特例的な取扱いを定めることを提案している。具体的には、税効果適用指針第44項の定めを適用せず、改正前の税法の規定に基づくことができることを提案しているが、この提案に同意するか。

[質問2]
その他、本公開草案に関して、意見があるか。

Ⅲ. その他の留意事項

令和2年度税制改正では、グループ通算制度への移行にあわせた単体納税制度の見直しが予定されています(Ⅰ. 3.(参考) 参照)。

本公開草案の適用対象とならない企業においては、改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算に係る税効果会計の適用に当たって、グループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目について税効果適用指針第44項の定めにより改正法人税法の規定に基づき適用する必要があると考えられますので留意が必要です。

なお、本稿は本公開草案の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

企業会計基準委員会(ASBJ)ウェブサイトへ


情報量は適当ですか?

文章はわかりやすいですか?

参考になりましたか?