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有償ストック・オプションの会計処理等に係る実務対応報告公開草案等のポイント

2017.05.12
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
西野 恵子

<ASBJから平成29年5月10日に公表>

平成29年5月10日に、企業会計基準委員会(ASBJ)より以下の実務対応報告等の公開草案(以下「本公開草案」という。)が公表されています。

  • 実務対応報告公開草案第52号「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い(案)」(以下「実務対応報告公開草案」という。)
  • 企業会計基準適用指針公開草案第57号(企業会計基準適用指針第17号の改正案)「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理(案)」

本公開草案は、企業がその従業員等に対して新株予約権を付与する場合に、当該新株予約権の付与に伴い当該従業員等が一定の額の金銭を企業に払い込む取引に関する会計処理の取扱いを示すことを目的として公表されたものです。

本公開草案に対しては、平成29年7月10日(月)までコメントが募集されています。

1. 本公開草案の概要

(1) 範囲(実務対応報告公開草案第2項)

実務対応報告公開草案は、企業がその従業員等に対して権利確定条件が付されている新株予約権を付与する場合に、当該新株予約権の付与に伴い当該従業員等が一定の額の金銭を企業に払い込む取引(当該取引において付与される新株予約権を「権利確定条件付き有償新株予約権」という。以下同じ。)を対象としています。

(2) 適用する会計基準(実務対応報告公開草案第4項)

従業員等に対して実務対応報告公開草案の対象となる権利確定条件付き有償新株予約権を付与する場合、当該権利確定条件付き有償新株予約権は、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」(以下「ストック・オプション会計基準」という。)第2項(2)に定めるストック・オプションに該当するものとしています。

(3) 会計処理(実務対応報告公開草案第5項から第8項)

従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引についての会計処理は、基本的にストック・オプション会計基準第4項から第9項に準拠した取扱いを定めています。具体的には次のように行います。

① 権利確定日以前の会計処理

  • 権利確定条件付き有償新株予約権の付与に伴う従業員等からの払込金額を、純資産の部に新株予約権として計上するとされています(実務対応報告公開草案第5項(1))。
  • 各会計期間における費用計上額として、権利確定条件付き有償新株予約権の公正な評価額から払込金額(上記ⅰ参照)を差し引いた金額のうち、対象勤務期間を基礎とする方法その他の合理的な方法に基づき当期に発生したと認められる額を算定します。当該有償新株予約権の公正な評価額は、公正な評価単価に権利確定条件付き有償新株予約権数を乗じて算定するとされています(実務対応報告公開草案第5項(3))。
  • 権利確定条件付き有償新株予約権の公正な評価単価は付与日において算定し、ストック・オプション会計基準第10項(1)に定める条件変更の場合を除き見直さないとされています(実務対応報告公開草案第5項(4)①)。
  • 権利確定条件付き有償新株予約権数の算定及びその見直しによる会計処理は、次のとおり行います(実務対応報告公開草案第5項(5))。
    • 権利確定条件付き有償新株予約権数は、付与日において、付与された権利確定条件付き有償新株予約権数(以下「付与数」という。)から、権利不確定による失効の見積数を控除して算定するとされています。
    • 付与日から権利確定日の直前までの間に、権利不確定による失効の見積数に重要な変動が生じた場合、これに伴い権利確定条件付き有償新株予約権数を見直すとされています。見直し後の権利確定条件付き有償新株予約権数に基づく権利確定条件付き有償新株予約権の公正な評価額から払込金額(上記ⅰ参照)を差し引いた金額のうち合理的な方法に基づき見直しを行った期までに発生したと認められる額(上記ⅱ参照)と、これまでに費用計上した額との差額を、見直しを行った期の損益として計上するとされています。
    • 権利確定日には、権利確定条件付き有償新株予約権数を権利の確定した権利確定条件付き有償新株予約権数に修正する。修正後の権利確定条件付き有償新株予約権数に基づく権利確定条件付き有償新株予約権の公正な評価額から払込金額(上記ⅰ参照)を差し引いた金額と、これまでに費用計上した額との差額を、権利確定日の属する期の損益として計上するとされています。
  • 新株予約権として計上した払込金額(上記ⅰ参照)は、上記ⅳにおいて算定した権利確定条件付き有償新株予約権数に応じて、権利不確定による失効に対応する部分を利益として計上するとされています(実務対応報告公開草案第5項(6))。

② 権利確定日後の会計処理

  • 権利確定条件付き有償新株予約権が権利行使され、これに対して新株を発行した場合、新株予約権として計上した額のうち、当該権利行使に対応する部分を払込資本に振り替えるとされています(実務対応報告公開草案第6項(1))。
  • 権利不行使による失効が生じた場合、新株予約権として計上した額のうち、当該失効に対応する部分を利益として計上する。この会計処理は、当該失効が確定した期に行うとされています(実務対応報告公開草案第6項(2))。

③ 実務対応報告公開草案に定めのないその他の会計処理

ストック・オプション会計基準及び企業会計基準適用指針第11号「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」(以下「ストック・オプション適用指針」という。)の定めに従うとされています(実務対応報告公開草案第8項)。

(4) 開示(実務対応報告公開草案第9項)

従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する注記は、ストック・オプション会計基準第16項及びストック・オプション適用指針第24項から第35項に従って行うとされています。

2. 適用時期等(実務対応報告公開草案第10項)

本実務対応報告は、公表日以降適用することが提案されています。

なお、公表日より前に従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与した取引については、本実務対応報告の会計処理によらず、従来採用していた会計処理を継続することができるとされています。この場合、当該取引について次の事項を注記することが提案されています。

  • 権利確定条件付き有償新株予約権の概要(各会計期間において存在した権利確定条件付き有償新株予約権の内容、規模(付与数等)及びその変動状況(行使数や失効数等))
  • 採用している会計処理の概要

3. 本公開草案に対するコメント

本公開草案に対するコメント募集に際し、以下の個別の質問が示されています。

  • [質問1]  対象とする権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引が、ストック・オプション会計基準第2項(2)に定めるストック・オプションに該当するものとする提案に同意するか否か。
  • [質問2]  権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引の会計処理について、基本的にストック・オプション会計基準及びストック・オプション適用指針に準拠した取扱いとする提案に同意するか否か。
  • [質問3]  権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引の開示について、ストック・オプション会計基準及びストック・オプション適用指針に準拠した取扱いとする提案に同意するか否か。
  • [質問4]  適用時期等に関し、公表日以降適用するとの提案、及び、公表日より前に従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与した取引について、上記のように一定の事項を注記した上で、従来採用していた会計処理を継続することができるとの提案に同意するか否か。
  • [質問5]  その他の意見

なお、本稿は本公開草案の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

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