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「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」のポイント

2017.01.06
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
武澤 玲子

<ASBJから平成28年12月22日に公表>

企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成28年12月22日に実務対応報告公開草案第48号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」(以下「本公開草案」という。)を公表しています。

 平成23年に民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)(以下「PFI法」という。)が改正され、公共施設等運営権制度が新たに導入されました。これを受けて、公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等について、実務上の取扱いを明らかにすることを目的として本公開草案が公表されました。

本公開草案に対しては、平成29年2月22日(水)までコメントが募集されています。

1. 本公開草案の概要

(1)範囲(本公開草案第2項)

本公開草案は、公共施設等運営事業において、運営権者による以下の取引に関する会計処理及び開示に適用されます。

  • 公共施設等運営権(PFI法第2条第7項に規定する公共施設等運営権をいう。以下同じ。)を取得する取引
  • 公共施設等に係る更新投資(PFI法第2条第6項に基づき、運営権者が行う公共施設等の維持管理をいう。以下「更新投資」という。)を実施する取引

(参考)公共施設等運営権制度のイメージ

(下の図をクリックすると拡大します)

(出典:総務省ウェブサイト)

(2)会計処理

① 公共施設等運営権に関する会計処理(本公開草案第3項から第10項)

i 取得時の会計処理

管理者等と運営権者との間で締結された実施契約において定められた公共施設等運営権の対価(以下「運営権対価」という。)について、合理的に見積られた支出額の総額を無形固定資産として計上することを提案しています。また、運営権対価を分割で支払う場合、資産及び負債の計上額は、運営権対価の支出額の総額の現在価値によることとされています。

ii 重要な見積りの変更時の会計処理

合理的に見積られた運営対価の支出額に重要な見積りの変更が生じた場合、見積りの変更による差額を取得時に計上した資産及び負債の額に加減することが提案されています。

iii 減価償却

無形固定資産に計上した公共施設等運営権は、原則として、運営権設定期間を耐用年数とし、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法により各事業年度に配分することとされています。

iv 減損会計における取扱い

公共施設等運営権は「固定資産の減損に係る会計基準」の対象とし、資産のグルーピングは、原則として、実施契約に定められた公共施設等運営権の単位で行うことが提案されています。また、管理会計上の区分、投資の意思決定(資産の処分や事業の廃止に関する意思決定を含む。)を行う際の単位、継続的な収支の把握がなされている単位及び他の単位から生じるキャッシュ・イン・フローとの相互補完性を考慮し、公共施設等運営事業の対象とする公共施設等ごとに合理的な基準に基づき分割した公共施設等運営権の単位でグルーピングを行うことができることとされています。

② 更新投資に関する会計処理(本公開草案第12項から第15項)

i 更新投資の分類要件

以下の要件を満たすか否かで異なる会計処理が提案されています。

  • 更新投資の実施内容の大半が、管理者等が運営権者に課す義務に基づいている
  • 運営権者が公共施設等運営権を取得した時に、更新投資(注)に関し、運営権設定期間にわたって支出すると見込まれる金額の総額及び支出時期を合理的に見積ることができる
(注)資本的支出のうち、所有権が管理者等に帰属するものに限る

ii ⅰの要件をいずれも満たす場合

公共施設等運営権を取得した時に更新投資のうち資本的支出に該当する部分に関して、支出すると見込まれる額の総額の現在価値を負債として計上し、同額を資産として計上することが提案されています。なお、運営権設定期間にわたって支出すると見込まれる金額及び支出時期に重要な見積りの変更が生じたときは、当該見積りの変更による差額を資産及び負債の額に加減することが提案されています。

資産計上額は、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法により、公共施設等運営権の運営権設定期間で減価償却することが提案されています。

iii ⅱ以外の場合

更新投資を実施した時に、当該更新投資のうち資本的支出に該当する部分に関する支出額を資産として計上することが提案されています。資産計上額は、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法により、当該更新投資の経済的耐用年数(残存する運営権設定期間以下とする)により減価償却することが提案されています。

③ プロフィットシェアリング条項(本公開草案第11項)

プロフィットシェアリング条項(注)が設けられる場合は、当該条項に基づき各期に算定された支出額を、当該期に費用として処理することが提案されています。

(注)管理者等と運営権者との間で締結された実施契約において、運営権対価とは別に、各期の収益があらかじめ定められた基準値を上回ったときに運営権者から管理者等に一定の金銭を支払う条項

(3)開示(本公開草案第16項から第20項)

①表示

以下の内容が提案されています。

  表示区分 表示科目
公共施設等運営権 無形固定資産 公共施設等運営権などその内容を示す科目
(分割支払の場合に計上する負債)
流動負債又は固定負債(ワンイヤールール)
公共施設等運営権に係る負債などその内容を示す科目
更新投資
(上記(2)②ⅱの場合)
無形固定資産 その内容を示す科目
(更新投資に係る負債)
流動負債又は固定負債(ワンイヤールール)
その内容を示す科目
更新投資
(上記(2)②ⅲの場合)
所有権が管理者等に帰属する資産 無形固定資産 その内容を示す科目
所有権が運営権者に帰属する資産 有形固定資産 その内容を示す科目

②注記事項

次の事項を公共施設等運営事業ごとに注記することが提案されています。

i 運営権者が実施する公共施設等運営事業の概要

  • 公共施設等運営事業の対象となる公共施設等の内容
  • 実施契約に定められた運営権対価の支出方法
  • 運営権設定期間、残存する運営権設定期間
  • プロフィットシェアリング条項の概要等

ii 公共施設等運営権の減価償却の方法

iii 更新投資に係る事項

  • 主な更新投資の内容及び投資を予定している時期
  • 運営権者が採用した更新投資に係る資産及び負債の会計処理の方法
  • 更新投資に係る資産の減価償却の方法
  • 更新投資を実施した時に、当該更新投資の支出額を資産として計上する場合、翌期以降に支出すると見込まれる更新投資のうち、合理的に見積ることが可能なキャッシュ・フローの金額及びその内容

2. 適用時期(本公開草案第21項)

本実務対応報告は、公表日以後適用することが提案されています。

なお、公共施設等運営制度の実際の運用は既に開始されていますが、特定の経過的な取扱いは定めず、本公開草案を過去の期間のすべてに遡及適用することが提案されています。

3. 本公開草案に対するコメント

本公開草案に対するコメント募集に際し、以下の個別の質問が示されています。

  • [質問1]  公共施設等運営権の取得時の会計処理、減価償却の方法及び耐用年数、減損損失の認識の判定及び測定における資産のグルーピング、並びにプロフィットシェアリング条項に基づき各期に算定された支出額の会計処理に関する提案に同意するか否か。
  • [質問2]  更新投資に係る資産及び負債の計上、並びに更新投資に係る資産の減価償却の方法及び耐用年数に関する提案に同意するか否か。
  • [質問3]  表示及び注記事項に関する提案に同意するか否か。
  • [質問4]  その他

なお、本稿は本公開草案の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

企業会計基準委員会ウェブサイトへ


(ご参考)
公共施設等運営権制度の概要については、リンク先をご参照ください。

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