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意見募集「我が国の財務諸表の表示・開示に関する検討について」及び会計制度委員会研究資料「我が国の財務諸表の表示・開示に関する調査・研究」のポイント

2015.04.18
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
矢島 学

日本公認会計士協会が平成27年4月16日に公表

平成27年4月16日に、日本公認会計士協会から「意見募集「我が国の財務諸表の表示・開示に関する検討について」」(以下「本意見募集」という。)及び「会計制度委員会研究資料「我が国の財務諸表の表示・開示に関する調査・研究」」(以下「本研究資料」という。)が公表されました。
我が国における財務諸表の表示・開示に関する会計基準の必要性の検討にあたり、我が国の財務諸表の表示・開示について行った調査・研究の結果及びこれを踏まえた現時点における協会の考えについて本研究資料として取りまとめるとともに、今後も我が国の財務諸表の表示・開示に関する調査・研究を進めていくため、本研究資料に記した協会の考えについて質問項目として整理の上、本意見募集を公表し、広くコメントを募集することとしたものです。
なお、本意見募集に対しては、平成27年6月17日(水)17時までコメントが募集されています。

1. 本意見募集の概要

我が国の財務諸表の表示・開示の会計基準を検討する場合には、以下の事項について優先すべきであると現時点では考えているとしており、これらの事項を検討することが適切と考えるかについてコメントを求めています。

① 注記情報について

(主な論点)

  • 我が国の会計基準とIFRSにおいて注記情報の開示が要求される項目を比較すると、財務諸表利用者にとって有用性が高い情報として、日本基準においても開示を求めるべきと考えられる項目がある。例えば、「経営者が会計方針を適用する過程で行った判断」や「見積りの不確実性の発生要因」に関する注記がこれに該当する。
  • 一方、財務諸表利用者にとって有用性が低いと思われる注記情報については、開示の簡素化又は省略が可能となるよう検討することが考えられる。

② 財務諸表の表示について

(主な論点)

  • 連結貸借対照表や連結損益計算書といった基本財務諸表の表示に関する会計基準の開発を検討することが考えられる。
  • 加えて、今日においては我が国の公開会社の株主に占める外国人株主の比率も相応に高いことから、開示される財務情報について言語にかかわらず一元化することが望ましいと考える。

また、本意見募集に記載の事項のほか、我が国の財務諸表の表示・開示において改善すべき事項があればコメントを求めています。

2. 本研究資料の位置付け

本研究資料は、これまでの協会における調査・研究の結果及びこれを踏まえた現時点における考えを取りまとめたものです。本研究資料において示されている総括は、現時点における調査・研究の成果を踏まえた考察であり、最終的な結論ではなく、あくまでも現時点における一つの考え方を示したにすぎません。したがって、本研究資料は、実務上の指針として位置付けられるものではなく、また実務を拘束するものでもないことにご留意ください。

3. 本研究資料の概要

(1) 日本基準とIFRSの表示及び開示規定の比較

財務諸表の表示及び開示規定についての現時点における総括として、金融商品取引法と会社法で別々の書類の作成を求めるような二元的な開示制度を参照し、企業集団の財政状態及び経営成績を適正に表示するという連結財務諸表の目的が同じであるにもかかわらず、異なる情報量の財務諸表の開示を求めることは我が国特有の制度であり、制度の違いによって表示される勘定科目等に差異があることは必ずしも否定されるものではないが、連結貸借対照表や連結損益計算書といった基本財務諸表の表示に関する会計基準の開発を検討することが考えられること等が示されています。

また、全般的考慮事項(開示する財務諸表を作成する際の包括的なルール)についての現時点における総括として、IAS第1号及びIAS第8号に定められている財務諸表を作成する際の全般的考慮事項に相当するルールが、企業会計原則等の日本の会計基準等において、どのように取り扱われているかについて検討した結果、我が国においても、財務諸表の表示の包括的な会計基準を検討する中で、IAS第1号の内容も参考に、我が国の会計基準としての「全般的考慮事項」を検討することが考えられること等が示されています。

さらに、項目別比較についての現時点における総括として、連結財務諸表規則や財務諸表等規則によって、IAS第1号に定められているルールの主要な部分は網羅されていると考えられるものの、①経営者が会計方針を適用する過程で行った判断、②見積りの不確実性の発生要因について、我が国では開示が求められていないが、経営者による判断と主要な測定のための仮定を提供するものであり、財務諸表利用者が企業の財務諸表の理解を深める上で重要な情報を開示しているものと考えられること等が示されています。

(2) 開示事例等に基づく分析

IFRS任意適用会社の開示事例からみた財務諸表の開示の分析についての現時点における総括として、IFRS任意適用会社の開示情報の方が、経営者が会計方針を適用する過程で行った判断や見積りの不確実性の発生要因に関する理解に資する点でより充実していると思われ、財務諸表利用者にとって財務諸表作成の前提や不確実性を把握するための重要な情報であり、日本基準適用会社においても、当該情報を財務諸表の一部として記載することを検討することが考えられるとしています。

また、日本企業の英文連結財務諸表の開示事例からみた財務諸表の開示の分析についての現時点における総括として、我が国の開示書類と若干異なる表示の方法により外国投資家向けの英文連結財務諸表を開示する企業が見受けられるが、今日においては我が国の公開会社の株主に占める外国人株主の比率も相応に高いことから、開示される財務情報について言語にかかわらず一元化することが望ましいと考えられること等が示されています。

さらに、財務諸表の公表日からみた財務諸表の開示の分析についての現時点における総括として、複数の開示制度により若干差異のある財務諸表の作成を数度にわたり求められることは、財務諸表作成者にとって少なくとも決算実務の効率化の観点からは望ましいものではないと考えられること等が示されています。

(3) 開示に関する議論の国際的動向について

国際会計基準審議会(IASB)、英国財務報告評議会(FRC)、 米国会計基準審議会(FASB)における開示に関する議論の動向が示されています。

なお、本稿は本意見募集及び本研究資料の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

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