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退職給付に関する会計基準の適用指針の改正(公開草案)のポイント
~複数事業主制度の会計処理及び開示(確定拠出制度に準じた場合の開示)に係る改正~

2015.01.06
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
浅井 哲史

<企業会計基準委員会から平成26年12月24日に公表>

企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成26年12月24日に企業会計基準適用指針公開草案第52号(企業会計基準適用指針第25号の改正案)「退職給付に関する会計基準の適用指針(案)」(以下「本公開草案」という。)を公表しています。

平成24年1月31日付で厚生労働省から、厚生労働省通知「厚生年金基金の財政運営について等の一部改正及び特例的扱いについて」及び「「確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準等について」及び「厚生年金基金から確定給付企業年金に移行(代行返上)する際の手続及び物納に係る要件・手続等について」の一部改正について」(以下合わせて「厚生労働省通知」という。)が発出され、厚生年金基金及び確定給付企業年金の財務諸表の表示方法の変更が行われたことを受けて、複数事業主制度の会計処理及び開示についての改正が提案されています。

なお、本公開草案に対しては、平成27年2月24日(火)までコメントが募集されています。

1. 本公開草案の概要

(1) 複数事業主制度の会計処理及び開示(確定拠出制度に準じた場合の開示)の改正(本公開草案第65項、第72-2項、第119-2項、第126-2項)

厚生年金基金及び確定給付企業年金における貸借対照表について、従前は、「数理債務」(負債)及び「未償却過去勤務債務残高」(資産)が表示されていましたが、表示方法が変更された後は、「数理債務」から「未償却過去勤務債務残高」を控除した純額が、厚生年金基金の場合は「責任準備金(プラスアルファ部分)」(負債)として、確定給付企業年金の場合は「責任準備金」(負債)として表示されることとなっています。また、「数理債務」の額と「未償却過去勤務債務残高」は、原則として厚生年金基金等の貸借対照表の欄外に注記されることとなっています。
さらに厚生年金基金の場合、従前は「数理債務」(負債)と代行部分に該当する「最低責任準備金(継続基準)」(負債)を合計した額が、厚生年金基金の貸借対照表に「給付債務」(負債)として表示されていましたが、表示方法の変更後は、「給付債務」(負債)が貸借対照表には表示されず、「責任準備金(プラスアルファ部分)」(負債)と「最低責任準備金」(負債)を合計した額が「責任準備金」(負債)として表示されることとなっています。

上記の変更に伴い、複数事業主制度を採用している場合において、確定拠出制度に準じた会計処理及び開示を行う場合の注記事項である「直近の積立状況等」のうち、「年金財政計算上の給付債務の額」について、本公開草案では、従来と実質的に同じ内容の額の注記を求めることとし、名称を「年金財政計算上の数理債務の額と最低責任準備金の額との合計額」と変更して、注記すべき金額を明らかにすることとされました。
この「年金財政計算上の数理債務の額と最低責任準備金の額との合計額」について、厚生年金基金の場合は両者の合計額となり、確定給付企業年金の場合は代行部分の給付がないため、年金財政計算上の数理債務の額のみとなっています(下記(2)参照。)。

(2)(参考)厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表の表示方法の変更のイメージ図 (本公開草案[開示例3]参照)

① 厚生年金基金の貸借対照表の改正のイメージ図

厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表の表示方法の変更のイメージ図

② 確定給付企業年金の貸借対照表の改正のイメージ図

確定給付企業年金の貸借対照表の改正のイメージ図

2. 適用時期等

改正後の適用指針は、公表日以後適用することが提案されています。なお、その適用に当たっては、表示方法の変更として取り扱うため、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第14項の定めに従って、表示する過去の期間における本公開草案第65項の注記についても新たな表示方法を適用することになるとされています。

なお、本稿は本改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。


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