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単体開示簡素化を図る財務諸表等規則改正案のポイント

2014.01.17
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
江村 羊奈子

<金融庁から平成26年1月14日に公表>

平成26年1月14日に、金融庁から「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等(以下、「本改正案」という。)が公表されています。
当該改正は、平成25年6月20日に企業会計審議会から公表された「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」(以下、「当面の方針」という。)を踏まえ、金融商品取引法における単体開示の簡素化を図るためのものです。
連結財務諸表作成会社のうち会計監査人設置会社は「特例財務諸表提出会社」とされ、会社法の要求水準に合わせた新たな個別財務諸表の様式によることや、一定の注記については会社計算規則の規定をもって注記できるものとする特例が定められています。また、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合に、リース取引に関する注記、一株当たり情報、その他複数の注記項目について、単体財務諸表における注記が免除されています。その他、貸借対照表並びに販売費及び一般管理費等の区分掲記に係る重要性基準について連結財務諸表規則と同様の規準への見直し、連結財務諸表においてセグメント情報を注記している会社における製造原価明細書の開示の免除、連結財務諸表作成会社における「主な資産及び負債の内容」の開示の免除等の改正が行われています。
また、中間財務諸表等規則及び財務諸表等規則ガイドラインについても所要の改正が行われます。
なお、平成26年3月期決算からの適用が予定されています。
コメント募集期間は、平成26年2月14日(金)までです。

1. 改正が予定される規則等

  • 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、「財規」という。)
  • 「中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」
  • 「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下、「開示府令」という。)
  • 「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」
  • 「「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)」

2. 本改正案の概要

単体開示の簡素化に関して、「当面の方針」では、方向性として主に以下の項目が示されていました。

  • 本表(貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書)を会社法の水準へ統一
  • 注記、附属明細表、主な資産及び負債の内容に関しては、金融商品取引法と会社法で大きく異ならない場合は、会社法の水準に統一
  • 連結財務諸表において十分な情報が開示されている場合においては、金融商品取引法の単体ベースの開示の免除
  • 単体開示のみの会社は簡素化しない
  • 連結財務諸表におけるセグメント情報の充実や、注記等の記載内容を非財務情報として開示することを検討

「当面の方針」を踏まえ、今般の改正案では、主に以下の見直しが行われています。

(1)連結財務諸表を作成している会社の特例

連結財務諸表を作成している会社のうち、会計監査人設置会社は、「特例財務諸表提出会社」とされ、以下の特例により、会社法の要求水準に合わせた新たな財務諸表の様式によることや、一定の項目においては、会社計算規則の定めをもって注記できることとされています。なお、この場合には、特例財務諸表提出会社に該当する旨、また特例により作成している旨の注記が必要とされています。

① 財務諸表の様式

会社法の要求水準に合わせるため、以下の財務諸表の様式が新たに規定されています。

項目 様式案
貸借対照表 第五号の二
損益計算書 第六号の二
株主資本等変動計算書 第七号の二
有形固定資産等明細表 第十一号の二
引当金明細表 第十四号の二

② 会社計算規則の注記の準用

以下の項目については、会社計算規則に規定される注記をもって、財務諸表の注記を行うことができるものとされています。

項目 財規 会社計算規則
重要な会計方針の注記 8条の2 101条
表示方法の変更に関する注記 8条の3の4 102条の3第1項
会計上の見積りの変更に関する注記 8条の3の5 102条の4
親会社株式の表示及び注記 18条、32条の2 103条第9号
関係会社に対する資産・負債の注記 39条、55条 103条第6号
担保資産の注記 43条 103条第1号
偶発債務の注記 58条 103条第5号
関係会社に係る損益計算書項目の注記 74条、88条、91条、94条 104条

(2)連結財務諸表を作成している場合の単体財務諸表における注記の免除

以下の項目については、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合に、記載を要しないこととされています。

項目 財規
リース取引に関する注記 8条の6
事業分離における分離元企業の注記 8条の23
資産除去債務に関する注記 8条の28
資産から直接控除した引当金の注記 20条、34条
資産から直接控除した減価償却累計額の注記 26条
減損損失累計額の注記 26条の2
事業用土地の再評価に関する注記 42条の2
たな卸資産及び工事損失引当金の表示(注記含む。) 54条の4
企業結合に係る特定勘定の注記 56条
一株当たり純資産額の注記 68条の4
工事損失引当金繰入額の注記 76条の2
たな卸資産の帳簿価額の切下げに関する記載 80条
研究開発費の注記 86条
減損損失の注記 95条の3の2
企業結合に係る特定勘定の取崩益の注記 95条の3の3
一株当たり当期純損益金額に関する注記 95条の5の2
潜在株式調整後一株当たり当期純利益金額に関する注記 95条の5の3
自己株式に関する注記 107条

(3)注記項目の削除

以下の項目については、財規の項目が削除され、開示を要しないこととされました。

項目 財規(現行)
固定資産の再評価に関する注記 42条
配当制限に関する注記 68条の2

(4)区分掲記に係る重要性基準について連結と同様の規準への見直し

貸借対照表並びに販売費及び一般管理費等の区分掲記に係る重要性基準が、連結財務諸表規則と同様の規準に見直されています。

項目 現行 改正案
貸借対照表
・流動資産その他
・固定資産(有形、無形、その他投資)その他
・未払配当金又は期限経過未償還社債
・流動負債その他
・固定負債その他
総資産または
負債及び純資産
の1%超
総資産または
負債及び純資産
の5%超
損益計算書
・販売費及び一般管理費の注記
販売費及び一般管理費合計の5%超 販売費及び一般管理費合計の10%超

上記の他、財務諸表等規則ガイドラインにおいても見直しが行われています。

(5)製造原価明細書の開示免除

連結財務諸表上セグメント情報を注記している場合は、製造原価明細書の作成を要しないこととされています(財規改正案75条2項、開示府令案第二号様式記載上の注意(69)b)。

(6)主な資産及び負債の内容の開示免除

連結財務諸表を作成している場合は、主な資産及び負債の内容の記載を省略できることとされています(開示府令案第二号様式記載上の注意(73))。

(7)有価証券明細表の開示免除

別記事業会社等を除く財務諸表提出会社は、有価証券明細表の作成が不要とされています(財規改正案121条3項)。

(8)被合併会社の個別財務諸表の開示規定の見直し

財務諸表において求められている被合併会社の個別財務諸表の開示(開示府令(現行)第二号様式記載上の注意(67)e、第三号様式記載上の注意(47)e等)は、改正案では項目が削除されています。

3. 適用時期

平成26年3月期決算からの適用が予定されています。

なお、本稿は本改正案の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。


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