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「企業結合に関する会計基準(案)」及び関連する他の会計基準等の改正案のポイント

2013.01.17
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
安原 明弘

<企業会計基準委員会が平成25年1月11日に公表>

平成25年1月11日に、企業会計基準委員会(ASBJ)から「企業結合に関する会計基準(案)」及び関連する以下の会計基準等の改正案が公表されました。

・連結財務諸表に関する会計基準(案)
・事業分離等に関する会計基準(案)
・貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準(案)
・株主資本等変動計算書に関する会計基準(案)
・包括利益の表示に関する会計基準(案)
・1株当たり当期純利益に関する会計基準(案)
・企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(案)
・貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針(案)
・株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針(案)

平成20年12月に改正されました企業結合会計基準等により、EU同等性評価に関連した欧州証券規制当局委員会(CESR)からの補正措置項目として提案されていました会計基準等の差異(ステップ1)については解消されましたが、それ以外の差異(ステップ2)については平成21年7月に「企業結合会計の見直しに関する論点の整理」を公表し、意見募集が行われるとともに、検討が行われていました。本公開草案は、論点整理や委員会で取り上げられた事項のうち、当期純利益の表示、非支配株主との取引、暫定的な会計処理の取扱い等について改正が提案されています。

本公開草案に対しては、平成25年3月15日(金)までコメントが募集されています。

1. 本公開草案の概要

改正事項 現行 改正案
表示関係 少数株主持分 非支配株主持分
少数株主損益調整前当期純利益 当期純利益
少数株主損益 非支配株主に帰属する当期純利益(注1)
当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益(注1)
1株当たり当期純利益 1株当たり親会社株主に帰属する当期純利益
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 潜在株式調整後1株当たり親会社株主に帰属する当期純利益
子会社に対する支配が継続している場合の親会社持分変動(非支配株主との取引)による差額 追加取得の場合の差額は「のれん」又は「負ののれん」として計上し、一部売却の場合の差額は持分変動損益に計上 追加取得、一部売却における対価と連結持分との差額を資本剰余金とする。また、非支配株主持分との取引に係る親会社持変動表について注記開示。
取得関連費用の取扱い 取得原価に含める 発生年度の費用(注2)
暫定的な会計処理の確定の取扱い 企業結合年度の翌年に確定したときは確定した年度において「のれん」を修正し、特別損益として処理 企業結合年度の翌年に確定したときは比較情報となる企業結合年度の財務諸表を修正
共通支配下の取引における個別財務諸表上の会計処理 追加取得する子会社株式の取得原価は、追加取得時における当該株式の時価とその対価となる財の時価のうち、より高い信頼性をもって測定可能な時価で算定 非支配株主から自社の株式のみを対価として追加取得する子会社株式の取得原価は、個別財務諸表上、当該子会社の適正な帳簿価額による株主資本の額に基づいて算定
  • 注1:2計算書方式の場合には、当期純利益に非支配株主に帰属する当期純利益を加減して親会社株主に帰属する当期純利益を表示することとし、1計算書方式の場合には、当期純利益の直後に、親会社株主に帰属する当期純利益及び非支配株主に帰属する当期純利益を付記。
  • 注2:子会社株式の取得関連費用については個別財務諸表上、金融商品に関する会計基準に従って算定し、連結財務諸表においては、発生した連結会計年度の費用として処理する。

2. 適用時期

強制適用 平成27年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首(暫定的な会計処理の確定の取扱いは平成27年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首以後実施される企業結合)から適用
早期適用 当期純利益の表示以外の改正(非支配株主との取引の会計処理、取得関連費用の取扱い、暫定的な会計処理の確定の取扱い)は、当期純利益の表示に関する改正を除く全ての取扱いを同時に適用する場合には、平成26年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首(暫定的な会計処理の確定の取扱いは平成26年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首以後実施される企業結合)から早期適用可能

3. 経過措置等

「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第6項(1)の会計基準等に特定の経過的な取扱いが定められている場合の記載に基づき、子会社株式の追加取得等及び取得関連費用について企業結合会計基準案、連結会計基準案及び事業分離会計基準案が定める新たな会計方針の遡及適用を行わないことができるとされています。

ただし、表示方法に関する改正については、当期の財務諸表に併せて表示されている過去の財務諸表の組替えを行うとされています。

なお、経過措置に従って遡及適用を行わない場合、それが困難である等の条件は付さないこととされていますが、平成20年12月改正の企業結合会計基準のように、会計方針変更による影響額の注記を要しない旨の特段の定めはなく、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第10項(3)及び(5)に定める経過的な取扱いに従って会計処理を行った旨及び会計方針の変更による影響額を注記することになります。

4. 本公開草案で対象とされていない主な論点

  • 子会社に対する支配の喪失の会計処理
  • 全部のれん
  • のれんの非償却
  • 企業結合に係る特定勘定、条件付取得対価、新株予約権、企業結合とは別個の取引等
なお、本稿は本公開草案の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。


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