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平成23年6月第1四半期 決算上の留意事項

<四半期報告の簡素化編>


Q13か月P/L及びC/F計算書の開示省略の同時適用の要否

今回の簡素化により、四半期会計期間(3か月)に係る四半期損益計算書等及び四半期キャッシュ・フロー計算書の開示を省略できることとされました。
これらの四半期財務諸表に関する開示省略の定めは、同時に適用する必要があるのでしょうか。


A1

平成23年3月の四半期基準等及び四半期連結財規等の改正により、四半期報告に関して、四半期財務諸表も一定の簡素化が図られました。
具体的には、四半期会計期間(3か月)に係る四半期損益計算書等(第2・第3四半期)について、開示の省略が可能とされるとともに(四半期基準7項(2)、7-2項)、第1・第3四半期の四半期キャッシュ・フロー計算書に関しても、その開示を省略することができるものとされました(四半期基準5-2項、6-2項)。
これらの定めは、それぞれ別個のものとして設けられており、いずれかの計算書の作成を省略しても、もう一方の計算書の開示省略が強制されることはありません。

なお、四半期連結財務諸表における四半期包括利益の表示において、2計算書方式を採用している場合、四半期連結会計期間に係る四半期連結損益計算書と四半期連結包括利益計算書の開示・省略は、一体として判断される必要があるため留意が必要です(四半期連結財規83条の2第3項)。


Q23か月P/L及びC/F計算書の開示省略の要件

四半期損益計算書等(3か月)又は四半期キャッシュ・フロー計算書の開示の省略について、何か要件は設けられているのでしょうか。


A2

四半期損益計算書等(3か月)又は四半期キャッシュ・フロー計算書の開示の省略に関して、特に要件は設けられていません(四半期基準7-2項、5-2項、6-2項参照)。
このため、会社がその判断で開示の省略を決定することができますが、年度内の開示の首尾一貫性が求められていますので、留意が必要です(Q3参照)。


Q3四半期財務諸表の省略に係る継続性と比較情報

四半期損益計算書等(3か月)又は四半期キャッシュ・フロー計算書の開示の省略について、継続性は求められているのでしょうか。また、当期より新たに開示した場合の比較情報(前年同四半期の情報)の開示の要否を教えてください。


A3

四半期損益計算書等(3か月)又は四半期キャッシュ・フロー計算書の開示の省略に関しては、年度内の首尾一貫性が求められています。すなわち、四半期損益計算書等(3か月)につき、第2四半期で開示(又は省略)した場合には、第3四半期も開示(又は省略)することとされています(四半期基準7-3項)。また、四半期キャッシュ・フロー計算書につき、第1四半期で開示(又は省略)した場合には、第3四半期でも原則として開示(又は省略)することとされました(四半期基準5-2項、6-2項)。

一方、年度間の継続性に関しては、明確な定めが設けられておらず(ASBJコメント対応3)、前年まで開示しなかったものを開示する、又は前年まで開示していたものを省略するような変更を行うことは認められるものと考えられます。ただし、みだりに変更することは継続性の観点より「望ましくないと考えられ」るものとされている点に留意が必要です(金融庁の考え方No.2、No.3)。

また、従来開示されていなかったものを当期より開示した場合、比較情報の開示は不要とされています(四半期基準7-4項)。この場合、前期の情報を任意で開示することができますが、開示した場合には比較情報として四半期レビューの対象となります(四半期基準37-3項)。
なお、従来開示していたものを省略した場合、省略した期においては、前期の情報を開示する必要はないものと考えられます。この取扱いは、適用初年度においても同様です(金融庁の考え方No.13)。


Q4特定事業会社における3か月P/Lの開示

銀行業・保険業等の特定事業会社では、第2四半期の四半期報告書において中間(連結)財務諸表が開示されます。従来は、四半期(連結)損益計算書の3か月情報を非財務情報として「その他」の項に記載していましたが、今般の四半期報告の簡素化に際し、この3か月情報の開示に係る取扱いはどのようになったのでしょうか。


A4

銀行業・保険業等の特定事業会社における第2四半期の四半期報告書においては、従来と同様、四半期損益計算書等(3か月)の開示が規定されているため、留意が必要です(開示府令 第四号の三様式 記載上の注意(30)なお書)。
また、当該四半期損益計算書等(3か月)は、中間(連結)財務諸表の「その他」の項に記載され、非財務情報としての取扱いとなるため、年度内の首尾一貫性の規制の対象とならないものと考えられます。したがって、特定事業会社において第2四半期の四半期損益計算書等(3か月)を府令の規定により開示したとしても、第3四半期における四半期損益計算書等(3か月)の開示が必須とされるものではないと考えます。


Q5四半期会計期間に係る注記等の開示

四半期損益計算書等(3か月)を任意に開示した場合、セグメント情報、1株当たり四半期純損益、著しい季節的変動等の注記も併せて開示するする必要があるのでしょうか。


A5

ご質問のP/L関係の注記は、四半期損益計算書等(3か月)を開示した場合であっても、なお任意に開示することができるものとされているため、四半期損益計算書等(3か月)とセットで開示が求められるということはありません。

セグメント情報、1株当たり四半期純損益、著しい季節的変動の注記に関しては、四半期損益計算書等(3か月)自体が任意開示とされたことを受け、これら注記の3か月情報も原則的な開示項目から外れています。すなわち、四半期損益計算書等(3か月)が開示された場合にも、併せて開示が求められるということはなく、あくまで任意に開示することができるものとされています(四半期基準58-3項、59-2項、61-2項)。なお、四半期会計期間に係る1株当たり四半期純損益は、四半期損益計算書等(3か月)の開示の有無にかかわらず、主要な経営指標等の推移(いわゆるハイライト情報)での開示が必要とされます。

また、これらの注記事項を開示する場合には、年度内の首尾一貫性が求められる点に留意が必要です(四半期基準58-3項なお書、59-2項なお書、61-2項なお書)。年度間の継続性に関しては明示された定め等がありませんが、比較情報の取扱いを含め、四半期損益計算書等(3か月)等の取扱いに準じることになると考えられます(ASBJコメント対応7、本留意事項Q3参照)。