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「連結財務諸表に関する会計基準」等のポイント

2011.03.29
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
佐伯 洋介

<企業会計基準委員会が平成23年3月25日に公表>

平成23年3月25日に、改正企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」等が公表されています。

本会計基準等は、コンバージェンスの検討を進めてきた中での短期的な対応として、「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」(以下「子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」)三の取扱いを見直すための所要の改正を行うこととしたものです。

なお、企業会計基準委員会(ASBJ)は、今回の改正とは別に国際会計基準審議会(IASB)において開発中の連結基準とのコンバージェンスの検討を進めていく中で、特別目的会社に関する連結の範囲の取扱いの見直しも引き続き検討していくとしています。

1. 改正された会計基準等

  • 改正企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下、「会計基準」)
  • 改正企業会計基準適用指針第15号「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」
  • 改正企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」
  • 改正実務対応報告第20号「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(以下、「実務対応報告」)

2. 主な改正の内容

(1)子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い 三の改正(会計基準第 7-2項、54-2項)

子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い 三では、一定の要件を満たす特別目的会社については、当該特別目的会社に対する出資者及び当該特別目的会社に対する資産を譲渡した会社の子会社に該当しないものと推定するとされていますが、出資者に関する記述を削除することで、この取扱いを資産の譲渡者のみ(当該企業が出資者を兼ねている場合を含む)に適用することとされました。

子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い 三(抜粋)

特別目的会社(中略)については、適正な価額で譲り受けた資産から生ずる収益を当該特別目的会社が発行する証券の所有者に享受させることを目的として設立されており、当該特別目的会社の事業がその目的に従って適切に遂行されているときは、当該特別目的会社に対する出資者及び当該特別目的会社に資産を譲渡した会社(中略)から独立しているものと認め、(中略)子会社に該当しないものと推定する。

※取消し線の部分(「当該特別目的会社に対する出資者及び」)を削除

なお、今回の改正の過程で、短期的な対応であり、特別目的会社における問題がすべて解消されたわけではないことから、引き続き検討が必要であるとの意見が複数の委員から出されています。

(2)ノンリコース債務の開示(会計基準注11-2、注16)

連結の範囲に含めた特別目的会社に関して、当該特別目的会社の資産及び当該資産から生ずる収益のみを裏付けとし他の資産等へ遡求しない債務(ノンリコース債務)については、貸借対照表上、他の項目と区別して記載する必要があります。なお、当該記載に代えて、注記することも認められています。

また、ノンリコース債務に対応する資産については、担保資産の注記に準じて注記する必要があります。

(3)適用時期(会計基準第44-4項(1)(2))

平成25年4月1日以後開始する連結会計年度の期首からの適用となります。また、平成23年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用することが認められています。

なお、早期適用の場合には、会計基準のみではなく、今回改正された他の会計基準等も同時に適用する必要があります。

(4)経過措置(会計基準第44-4項(3)~(5))

適用初年度における経過的な取扱いとして、適用により新たに連結の範囲に含められる子会社については、適用初年度の期首において子会社に関する資産、負債及び少数株主持分を連結財務諸表上の適正な帳簿価額(過年度において改正会計基準が適用されていたのであれば、支配を獲得したものとみなされる支配獲得日以降、当該子会社を連結の範囲に含めていたものとして算定した金額)により評価し、当該子会社に関する資産、負債及び少数株主持分の純額と親会社が保有する当該子会社に対する投資とを相殺消去し、差額が生じる場合には、当該差額を適用初年度の期首の利益剰余金に直接加減します。

ただし、適用初年度の期首において子会社の資産及び負債のすべてを時価により評価し、当該子会社に関する資産及び負債の純額のうち親会社に帰属する部分と親会社が保有する当該子会社に対する投資とを相殺消去し、差額が生じる場合には、当該差額を適用初年度の期首の利益剰余金に直接加減する方法も認められています。

上記のいずれの方法を採用する場合であっても、原則としてすべての子会社に一律に適用することが必要ですが、いずれか一方の取扱いを一律に適用することが困難な子会社がある場合には、他の子会社とは異なる取扱いも認められています。

(5)匿名組合の取扱い(実務対応報告Q1のA3)

営業者及び匿名組合がいずれも匿名組合員の子会社に該当する場合に、当該匿名組合の事業を営む営業者の損益のほとんどすべてが匿名組合員に帰属するようなときは、当該匿名組合の事業を含まない営業者固有の事業については、通常重要性が乏しいと考えられるとしています。

そのため、営業者及び匿名組合がいずれも匿名組合員の子会社に該当し、当該匿名組合の事業を営む営業者の損益のほとんどすべてが匿名組合員に帰属するようなときは、営業者ではなく、匿名組合自体を連結の範囲に含めることが適当とされています。

3. 反対意見

本会計基準等の公表に際して、委員11名のうち、1名の委員がその公表に反対しています。

反対した委員は、現行の企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」等について、特に特別目的会社等の取扱いについて検討すべき課題があることに同意するとしつつも、現行実務における支配力基準の特別目的会社等の取扱いが改善されるわけではないこと等から、実務における根本的な問題の解決にはつながらず、比較可能性の観点からも問題が残るという意見を述べています。

4. 公開草案からの主な変更点

実務負担への配慮等から適用時期が1期遅くなり、公開草案では平成24年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用することとされていたものが、平成25年4月1日以後開始する連結会計年度の期首からの適用となりました。

なお、本稿は改正の概要を記述したものであり、詳細については改正後本文をご参照ください。



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