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監査・保証実務委員会実務指針第81号「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」の改正に係る公開草案のポイント

2011.03.01
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
福山 伊吹

<日本公認会計士協会が平成23年2月24日に公表>

平成23年2月24日付で日本公認会計士協会(監査・保証実務委員会)より、監査・保証実務委員会報告第81号「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」の改正案が公表されました。

これらは、企業会計基準委員会(ASBJ)から平成21年12月に公表された企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」(以下、「過年度遡及会計基準等」という。)が公表され、また、経済産業省から平成22年12月に「平成23年度税制改正大綱」が公表されたことに伴い、既存の実務指針の改正案が公表されたものです。

なお、本公開草案に対しては、平成23年3月17日(木)までコメントが募集されています。

1. 過年度遡及会計基準等の適用に対応した見直し

(1)臨時償却の記載を削除

過年度遡及会計基準第57項において臨時償却は廃止し、固定資産の耐用年数の変更等については、当期以降の費用配分に影響させる方法(プロスペクティブ方式)のみを認める取扱いとされたため、臨時償却の記載が削除されています。

(2)減価償却方法の変更や耐用年数の見積りの変更の取扱いの記載を追加

過年度遡及会計基準等において、減価償却方法の変更や耐用年数の見積りの変更の取扱いが定められたことから、当該取扱いが留意的に記載されています(第9項~第10項、第15項~第18項、第20項~第21項)。

2. 平成23年度税制改正に対応した見直し

(1)税制改正の内容

平成23年度税制改正において減価償却方法が見直され、平成23年4月1日以後取得する減価償却資産の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.5倍した数から、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0倍した数に改正されています(第46項)。

(2)監査上の取扱い

①減価償却方法に係る基本的な考え方

平成19年度税制改正時の基本的な考え方は、平成23年度税制改正においても同様とされ、法人税法上の減価償却計算に係る規定は、各事業年度の課税所得の計算上、損金算入できる金額の限度額を計算することを目的にしたものであり、会計処理の上で法人税法に基づく減価償却計算が強制適用されるものではないため、平成23年度税制改正後であっても、会計上は平成19年度税制改正前の減価償却方法である旧定額法及び旧定率法並びに平成19年度税制改正後の定率法(いわゆる250%定率法)を引き続き採用することも容認されるとしています(第47項)。

平成23年税制改正後に選択しうる減価償却の方法は以下のとおりです。

区分 従来の方法 今後採用する方法
定率法
(250%
定率法)
定率法
(200%
定率法)
旧定率法
(残価10%)
定額法
新規取得資産 (A) (B) (C) (D)
既存資産 (a)定率法
(250%
定率法)
(E)継続 (F) (G) (H)
(b)旧定率法
(残価10%)
(I) (J) (K)継続 (L)
(c)定額法 (M) (N) (O) (P)継続

* 下線の部分は法人税法で規定する減価償却方法である。ただし、(F)は現行の償却率による定率法を採用している減価償却資産については、平成23年4月1日以後最初に終了する事業年度の申告期限までに届出をすることにより、その償却率を改正後の償却率に変更する場合である。

②新規取得資産についての取扱い

(ⅰ)法令等の改正に伴う変更に準じた会計方針の変更

従来、法人税法に規定する普通償却限度額を正規の減価償却費として処理している企業において、既存資産のうち平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産に旧定率法を採用し、かつ平成19年4月1日以後取得した減価償却資産に定率法(250%定率法)を採用していたときに、新規取得資産について(B)の定率法(200%定率法)を採用する場合には、同一種類で同一用途の資産について、類似の減価償却方法を採用するものと認められるため、法令等の改正に伴う変更に準じた正当な理由による会計方針の変更として取り扱うこととされています(第49項)。

(ⅱ)法令等の改正に伴う変更(準じたものを含む。)以外の会計方針の変更

法令等の改正に伴う変更に準じた正当な理由による会計方針の変更に該当する場合を除いて、減価償却方法を変更するときには、自発的に会計方針の変更を行うものとして取り扱うこととされています(第50項)。

③既存資産についての取扱い(第51項~第53項)

平成23年度税制改正では、既存資産の減価償却方法は、原則として、平成23年度税制改正前の取扱いが適用されますが、企業の選択により、一定の届出を行って、定率法(250%定率法)から定率法(200%定率法)へ変更することができることとされました。

本公開草案では、法人税法上、上記の定率法(250%定率法)から定率法(200%定率法)への既存資産の減価償却方法の変更は、企業の選択により決定できるものであることから、当該変更を含め、既存資産について減価償却方法を変更する場合には、会計上、法令等の改正に伴う変更に準じた会計方針の変更とは認められず、自発的に会計方針の変更を行うものとして取り扱うこととされています(第51項)。

既存資産の減価償却方法を変更する場合は監査上、以下のようになります。

従来の方法 今後採用する方法 監査上の取扱い
(a) (F)(G)(H) 減価償却方法の変更であり、会計方針の変更として取り扱うが、変更理由の合理性(変更の適時性等)に留意が必要である。
(b) (I)(J)(L)
(c) (M)(N)(O)

2. 適用時期等

  1. (1)平成23年4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用することとされています。ただし、第46項から第53項までの「平成23年度税制改正に係る監査上の取扱い」については平成23年4月1日以後終了する事業年度、四半期会計期間及び中間会計期間から適用することとされています。
  2. (2)「平成23年度税制改正に係る監査上の取扱い」(第46項~第53項)について、減価償却システムの変更に時間を要するなどの理由により、平成23年4月1日以後終了する事業年度、四半期会計期間及び中間会計期間において、定率法(200%定率法)による減価償却計算を開始することが困難な場合には、いわゆる四半期・中間・年度の首尾一貫性が保持されていないため、過年度遡及会計基準等、企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」、企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」及び監査委員会報告第36号「中間財務諸表と年度財務諸表との会計処理の首尾一貫性」に従い必要な会計処理及び注記を行うことが必要とされています。
  3. (3)平成23年改正の本指針の適用をもって、監査第一委員会報告第32号「耐用年数の適用、変更及び表示と監査上の取扱い」は廃止されます。

なお、本稿は公開草案の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。



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