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包括利益の表示・過年度遡及に対応する連結財務諸表規則・財務諸表等規則等の改正のポイント

2010.10.05
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
岡田 眞理子

<内閣府令第45号が平成22年9月30日に公布>

平成22年9月30日に、金融庁より「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(以下、改正府令)が公布されています。また、関連するガイドラインについても改正されています。
本改正は、企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」(以下、企業会計基準第25号)や企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下、企業会計基準第24号)などの公表を受け、連結財務諸表規則等について所要の改正を行ったものです。

なお、「監査基準の改訂に関する意見書」(平成22年3月26日公表)に対応した監査報告書等に関する規定の改正のため、「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」についても併せて改正が公布されています。

1. 改正された主な規則等

  • 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表規則)
  • 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)
  • 四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期連結財務諸表規則)
  • 四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期財務諸表等規則)
  • 中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間連結財務諸表規則)
  • 中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間財務諸表等規則)
  • 企業内容等の開示に関する内閣府令(開示府令)
  • 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)等の財規ガイドライン関係
  • 企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)

2. 包括利益の表示に関する規定

(1) 主な改正の内容

包括利益の表示に関する規定が新設されました(改正連結財務諸表規則 第三章の二(同第69条の2から第69条の7))。また、これに併せて、連結貸借対照表および連結株主資本等変動計算書の表示についても、所要の改正(「評価・換算差額等」を「その他の包括利益累計額」とする改正など)が行われています(改正連結財務諸表規則第43条の2、第73条、第74条など)。
包括利益を表示する計算書については、2計算書方式(従来の連結損益計算書に加えて、連結包括利益計算書を作成する方式)と1計算書方式(従来の連結損益計算書に代えて、連結損益および包括利益計算書を作成する方式)が規定されています(改正連結財務諸表規則第69条の3など)。
また、上記の改正に併せて、注記および様式についても所要の改正が行われています(改正連結財務諸表規則第69条の6、様式第五号の二、改正連結財務諸表規則ガイドライン別紙など)。
さらに、有価証券報告書 第一部【企業情報】第1【企業の概況】に示される1【主要な経営指標等の推移】(いわゆる「ハイライト情報」)においても、包括利益金額を記載することとされています(改正開示府令第二号様式記載上の注意(25)a(d))。

(2) 適用時期

企業会計基準第25号に定められているとおり、連結財務諸表について、平成23年3月31日以後終了する連結会計年度より原則適用とされ、平成22年9月30日以後終了する連結会計年度からの早期適用が可能とされています。その他の包括利益の内訳項目に係る税効果額および組替調整額の注記について、1年間原則適用が猶予される点も、企業会計基準第25号の定めと同様です(改正府令附則第2条第1項第1号、第2号)。
また、四半期連結財務諸表については、平成23年4月1日以後に開始する連結会計年度に属する四半期連結会計期間および四半期連結累計期間(これらを合わせて、四半期連結会計期間等)から適用することとし、平成22年10月1日以後開始する四半期連結会計期間等(平成22年9月30日以後に終了する連結会計年度に係る連結財務諸表から早期適用した場合の翌連結会計年度に属する四半期連結会計期間等)に係る四半期連結財務諸表からの早期適用が可能とされています(改正府令附則第6条第1号)。

3. 過年度遡及修正基準の公表を受けた規定

(1) 主な改正の内容

  1.  企業会計基準第24号で定められた一定の注記が、規則上も求められることが明らかになりました(改正連結財務諸表規則第14条の2から第14条の8、改正財務諸表等規則第8条の3から第8条の3の7)。
  2.  (連結)株主資本等変動計算書および(連結)附属明細表の「前期末残高」の表記は、「当期首残高」へと変更されています(改正連結財務諸表規則第71条から第79条、様式第六号、第九号から第十一号、改正財務諸表等規則第101条から第108条、様式第七号、第十一号から第十五号など)。
  3.  比較情報の規定が新設されています(改正財務諸表等規則第6条)。比較情報とは、当事業年度に係る財務諸表(附属明細表を除く)に記載された事項に対応する前事業年度に係る事項をいうものとされ、当事業年度の財務諸表は、この比較情報も含めたものとなることが規定されました(連結財務諸表においても同様、改正連結財務諸表規則第8条の3)。
    また、比較情報の新設に対応し、開示府令上の前年度の財務諸表の取扱いの改正が行われています(改正開示府令第二号様式記載上の注意(60)など)。
  4.  最近5連結会計年度および最近5事業年度に係る主要な経営指標等の推移の記載における遡及(そきゅう)適用等については、最近連結会計年度(事業年度)の直近2連結会計年度(2事業年度)の主要な経営指標等について行わなければならないとされていますが、それ以外の3連結会計年度(3事業年度)の主要な経営指標等に対する遡及適用等については任意とされています(改正企業内容等開示ガイドライン5-12-2)。
  5.  企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」が平成22年6月30日に改正されたことに伴い、セグメント情報に関して、売上高や利益または損失に対する重要性基準に基づき、報告セグメントとして記載する事業セグメントが変更になる場合の開示が改正されています。従来の開示は、その旨およびセグメント情報に与える影響を記載するとされていましたが、本改正で、その旨および前連結会計年度(前事業年度)のセグメント情報を当連結会計年度(当事業年度)の報告セグメントの区分により作成した情報を開示することとされています(改正連結財務諸表規則様式第一号記載上の注意7(1)、改正財務諸表等規則様式第二号記載上の注意7(1))。

(2) 適用時期

連結財務諸表規則等の改正につき、企業会計基準第24号と同じく、平成23年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度に係る連結財務諸表および財務諸表から適用されています。
なお、四半期・中間の取扱いは今後改正されるものと考えられます。

4. その他

(1) 1株当たり情報に係る改正

平成22年6月30日に、企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」が改正されたことに伴い、決算日後に株式併合または株式分割が行われた場合における規定が改正されています(改正財務諸表等規則第95条の5の2など)。なお、当該改正は平成23年4月1日以後に開始する事業年度に係る財務諸表から適用されます(改正府令附則第3条第1項第1号)。

(2) 実務対応報告第26号の廃止に伴う改正

実務対応報告第26号「債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い」が廃止され、平成22年3月31日までの適用とされたことを受け、当該当面の取扱いに従った注記規定が削除されています(改正連結財務諸表規則第15条の6第3項、第4項、改正財務諸表等規則第8条の7第3項、第4項など)。

(3) IFRS任意適用範囲の拡大など

国際会計基準(IFRS)を任意適用した上場会社の子会社の連結財務諸表について、IFRSを任意適用することを可能とする規定が設けられています(改正連結財務諸表規則第1条の2第2項など)。
また、IFRSを任意適用した場合に、金融庁長官により指定された「指定国際会計基準」がIFRSと同一の場合には、指定国際会計基準に準拠して作成している旨ではなく、「国際会計基準」に準拠して連結財務諸表等を作成している旨を注記するとされています(改正連結財務諸表規則第94条など)。
なお、これらの改正は、平成22年9月30日以後に終了する連結会計年度に係る連結財務諸表から適用されます(改正府令附則第2条第1項第4号)。

(4)連結子会社の事業年度の変更と会計方針の変更

連結子会社の事業年度の末日と連結決算日との間に3カ月を超えない差異があり、いわゆる仮決算方式により決算を行うか否かに係る変更を行った場合の取扱いの規定が新設されています(改正連結財務諸表規則ガイドライン13-4)。
なお、連結子会社の事業年度等に関する事項の変更については、会計方針の変更には該当しないものと考えられます(「「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの概要およびそれに対応する金融庁の考え方」No.17)。

本稿は「「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について」の概要を記述したものであり、詳細については金融庁のウェブサイトをご参照ください。



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