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包括利益の表示・過年度遡及に対応する連結財務諸表規則・財務諸表等規則等の改正案のポイント

2010.08.06
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
吉田 剛
<金融庁が平成22年8月4日に公表>

平成22年8月4日に、金融庁より「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」が公表されています。また、関連するガイドラインについても改正案が公表されています。
本改正は、企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」(以下、企業会計基準第25号)や企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下、企業会計基準第24号)などの公表を受け、連結財務諸表規則等について所要の改正を行うため、パブリック・コメントの募集手続に付されたものです。
また、平成22年9月3日(金)までがコメント募集期間とされています。

なお、「監査基準の改訂に関する意見書」(平成22年3月26日公表)に対応した監査報告書等に関する規定の改正のため、「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」についても改正案が示されています。


1. 改正が予定される主な規則等

  • 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表規則)
  • 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)
  • 四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期連結財務諸表規則)
  • 四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期財務諸表等規則)
  • 中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間連結財務諸表規則)
  • 中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間財務諸表等規則)
  • 企業内容等の開示に関する内閣府令(開示府令)
  • 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)等の財規ガイドライン関係
  • 企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)

2. 包括利益の表示に関する規定

(1) 主な改正の内容

包括利益の表示に関する規定が新設されます(連結財務諸表規則改正案 第三章の二(同第69条の2から第69条の7))。また、これに併せて、連結貸借対照表および連結株主資本等変動計算書の表示についても、所要の改正(「評価・換算差額等」を「その他の包括利益累計額」とする改正など)が行われます(連結財務諸表規則改正案第43条の2、第73条、第74条など)。

包括利益を表示する計算書については、二計算書方式(従来の連結損益計算書に加えて、連結包括利益計算書を作成する方式)と一計算書方式(従来の連結損益計算書に代えて、連結損益および包括利益計算書を作成する方式)が規定されます(連結財務諸表規則改正案第69条の3など)。

また、上記の改正に併せて、注記および様式についても所要の改正が行われることとなります(連結財務諸表規則改正案第69条の6、様式第五号の二、連結財務諸表規則ガイドライン改正案別紙など)。

さらに、有価証券報告書 第一部【企業情報】第1【企業の概況】に示される1【主要な経営指標等の推移】(いわゆる「ハイライト情報」)においても、包括利益を記載すべきことが提案されています(開示府令改正案第二号様式記載上の注意(25)a(d))。

(2) 適用時期

企業会計基準第25号に定められているとおり、連結財務諸表について、平成23年3月31日以後終了する連結会計年度より原則適用とされ、平成22年9月30日以後終了する連結会計年度からの早期適用が可能とされます。その他の包括利益に係る税効果額および組替調整額の注記について、1年間原則適用が猶予される点も、企業会計基準第25号の定めと同様です。


3. 企業会計基準第24号の公表を受けた規定

(1) 主な改正の内容

企業会計基準第24号で定められた一定の注記が、規則上も求められることが明らかになりました(連結財務諸表規則改正案第14条の2から第14条の8、財務諸表等規則改正案第8条の3から第8条の3の7)。

また、(連結)株主資本等変動計算書の「前期末残高」との表記は、「当期首残高」へと変更されることになります(連結財務諸表規則改正案第71条から第79条、様式第六号、財務諸表等規則改正案第101条から第108条、様式第七号など)。

さらに、比較情報の規定が新設されます。比較情報とは、当事業年度に係る財務諸表(附属明細表を除く)に記載された事項に対応する前事業年度に係る事項(連結財務諸表においては、当連結会計年度に係る連結財務諸表(連結附属明細表を除く)に記載された事項に対応する前連結会計年度に係る事項)をいうものとされ、当事業年度の財務諸表は、この比較情報も含めたものとなることが規定されます。

なお、これに対応し、開示府令上の前年度の財務諸表の取扱いの改正が提案されています(開示府令改正案第二号様式記載上の注意(60)など)。

(2) 適用時期

連結財務諸表規則等の改正につき、企業会計基準第24号と同じく、平成23年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度に係る連結財務諸表および財務諸表から適用するものとされています。

なお、四半期・中間の取扱いは今回改正されないため、今後改正されることになります。


4. その他

(1) 1株当たり情報に係る改正

平成22年6月30日に、企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」が改正されたことに伴い、決算日後に株式併合または株式分割が行われた場合における規定が改正されています(財務諸表等規則改正案第95条の5の2など)。

(2) 実務対応報告第26号の廃止に伴う改正

実務対応報告第26号「債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い」が廃止され、平成22年3月31日までの適用とされたことを受け、当該当面の取扱いに従った注記規定が削除されます(連結財務諸表規則改正案第15条の6第3項、第4項、財務諸表等規則改正案第8条の7第3項、第4項など)。

本改正は、平成22年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度に係る連結財務諸表および財務諸表から適用するものとされ、四半期決算に関しても、同連結会計年度および事業年度に属する四半期決算から適用となります。

(3) IFRS任意適用範囲の拡大など

国際会計基準(IFRS)を任意適用した上場会社の子会社の連結財務諸表について、IFRSを任意適用することを可能とする規定が設けられます(連結財務諸表規則改正案第1条の2第2項など)。

また、IFRSを任意適用した場合に、金融庁長官により指定された「指定国際会計基準」がIFRSと同一の場合には、指定国際会計基準により作成している旨ではなく、「国際会計基準」により連結財務諸表等を作成している旨を注記するとされています(連結財務諸表規則改正案第94条など)。


本稿は公開草案の概要を記述したものであり、詳細については以下の金融庁のウェブサイトをご参照ください。



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