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「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」等の公表に伴う他の会計基準等(四半期会計基準等)の改正のポイント

2010.07.05
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
吉田 剛

<企業会計基準委員会が平成22年6月30日に公表>

企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成22年6月30日に、以下の会計基準等の改正を公表しています。

  1. 企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」(以下、改正四半期基準)
  2. 企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」(以下、改正四半期指針)
  3. 企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(以下、改正セグメント基準)
  4. 企業会計基準第6号「株主資本等変動計算書に関する会計基準」(以下、改正株主資本等変動計算書基準)
  5. 企業会計基準適用指針第9号「株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針」(以下、改正株主資本等変動計算書指針)

これらの会計基準等の改正は、平成21年12月の企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下、企業会計基準第24号)および同適用指針の公表を受け、企業会計基準第24号における取扱いや表現と平仄(ひょうそく)を合わせる観点から行われています。
なお、本改正に係る公開草案に対して、上記①~③(①および②の包括利益の表示に係る個所を除く)については平成22年5月31日まで、上記④および⑤ならびに①および②の包括利益の表示に係る個所については平成22年2月1日までコメントが募集されていたものです。

1. 改正内容の概要

(1)改正四半期基準および改正四半期指針

  1. 会計方針の変更の取扱い(改正四半期基準第10-2項および第21-2項)
    会計方針を変更した場合、過去の期間に新たな会計方針を遡及(そきゅう)適用するものとされています。
    ただし、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更において、会計基準等に経過措置が定められている場合には、その取扱いに従うことになります。
  2. 遡及適用の原則的取扱いが実務上不可能な場合(改正四半期基準第10-3項および第21-3項)
    遡及適用の原則的な取扱いが実務上不可能な場合には、企業会計基準第24号第9項の定めに準じて取り扱うものとされています。
    このとき、累積的影響額が算定できる場合には、実行可能な最も古い期間の期首時点で累積的影響額を算定し、その時点から将来に向かって新たな会計方針を適用します。また、累積的影響額が算定できない場合には、当年度の期首以前の実行可能な最も古い日から、将来に向かって新たな会計方針を適用します。
  3. 1株当たり情報(改正四半期指針第51-2項~第53項および第55-2項~第57項)
    改正四半期指針と同日に公表された改正企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」等に合わせ、会計方針の変更・過去の誤謬(ごびゅう)の訂正および株式併合または株式分割が行われた場合の取扱いについて、年度と同様の取扱いとすることが示されています。
  4. 注記事項
    会計上の変更を行った場合の、四半期(連結)財務諸表における注記事項が定められています(改正四半期基準第19項および第25項ならびに改正四半期指針第36項)。
    影響額の記載としては、新たな会計方針の遡及適用により影響を受ける前年度の期首からの累計期間に係る税金等調整前(税引前)四半期純損益等への影響を記載することになりますが、これには前年度の期首の純資産に反映された遡及適用による累積的影響額が含まれるものと考えられます(改正四半期指針第104-2項)。また、遡及適用の原則的な取扱いが実務上不可能な場合の影響額は、当年度と前年度同四半期の会計方針が同じか否かにより、異なる場合(前年度同四半期より後の日付から新たな会計方針を適用している場合)には前年度と当年度の、同一の場合には前年度のみの、期首からの累計期間への影響額を注記するものとされています(改正四半期指針第33項)。
  5. 包括利益の表示(改正四半期基準第5項など)
    改正四半期基準および改正四半期指針と同日に公表された企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」(以下、企業会計基準第25号)の公表により、包括利益計算書または損益および包括利益計算書を作成するものとされたことから、これに伴い、四半期(連結)財務諸表の範囲が変更されています。
  6. その他
    量的な重要性の変化により、報告セグメントとして開示される事業セグメントの範囲が変更される場合について(年度の取扱いについては(2)参照)、新たな区分による前年度同四半期の情報が最高経営意思決定機関に対して提供され、使用されている場合には、当該情報を開示することが考えられる旨が示されています(改正四半期指針第106項なお書き)。
    なお、表示方法の変更または過去の誤謬の訂正に関する会計上の取扱い(おのおの、財務諸表の組替えまたは修正再表示を行う)については、四半期財務諸表においても年度と同様の取扱いとすることが示されています(改正四半期基準第18-2項および第24-2項ならびに第16-2項および第22-2項)。

(2) 改正セグメント基準

量的な重要性の変化により、報告セグメントとして開示される事業セグメントの範囲を変更する場合、その旨と変更後の区分による前年度のセグメント情報を開示することとされています。
ただし、この場合にも、当年度の区分による情報の開示が実務上困難な場合、セグメント情報に与える影響を開示することができるものとされています(改正セグメント基準第16項)。

(3) 改正株主資本等変動計算書基準および改正株主資本等変動計算書指針

企業会計基準第24号に従って遡及処理(会計方針の変更に伴う遡及適用および過去の誤謬の訂正に伴う修正再表示)を行った場合には、表示期間の最も古い期間の株主資本等変動計算書の期首残高に対する表示期間より前の期間の累積的影響額を区分表示するとともに、遡及処理後の期首残高を記載するものとされています(改正株主資本等変動計算書基準第5項なお書き)。
これに併せ、従来各項目において「前期末残高」として開示されていた個所を、「当期首残高」とする改正が行われています(改正株主資本等変動計算書基準第5項本文および改正株主資本等変動計算書指針第3項など)。

2.公開草案から変更された主な点

公開草案から、大きく変更された点はありません。
なお、改正四半期基準および改正四半期指針において、遡及適用の原則的な取扱いが実務上不可能な場合に、当年度の期首時点においても新たな会計方針を適用できない場合の取扱いの方向性(翌年度の期首時点で会計方針の変更を行うことが考えられるとされています)に係る記述が、改正四半期基準本文から結論の背景に移動しています(改正四半期基準第47-2項)。また、遡及適用の原則的な取扱いが実務上不可能な場合に、その理由、会計方針の変更の適用方法および適用開始時期を注記する定めが、改正四半期指針から改正四半期基準へと移動しています(改正四半期基準第19項(2-2)および第25項(3-2))。

3.適用時期

適用時期については、企業会計基準第24号と同様(平成23年4月1日以後開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更等から適用され、早期適用は認められません)とするものとされています。
なお、1.(1)③の1株当たり情報に係る改正のうち、株式併合・株式分割に係る取扱いについては、同日に公表された改正企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」と同時に適用(平成23年4月1日以後開始する事業年度から適用)することが示されています。また、1.(1)⑤の包括利益の表示に係る改正については、企業会計基準第25号の適用時期と同様とするものとされています。


本稿は改正の概要を記述したものであり、詳細については以下の財務会計基準機構/企業会計基準委員会のウェブサイトをご参照ください。



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