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平成22年度税制改正(連結納税制度関係)に対応する実務対応報告改正案のポイント

2010.05.24
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
吉田 剛

<企業会計基準委員会が平成22年5月20日に公表>

企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成22年5月20日に、以下の実務対応報告の改正案(以下、公開草案)を公表しています。

①実務対応報告公開草案第33号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)(案)」(実務対応報告第5号の改正案)(以下、その1改正案)

②実務対応報告公開草案第34号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)(案)」(実務対応報告第7号の改正案)(以下、その2改正案)

これらの実務対応報告の改正案は、平成22年度税制改正(「所得税法等の一部を改正する法律」(平成22年法律第6号・平成22年3月31日公布)等)に対応したものであり、グループ法人税制の導入に伴う諸制度の整備(連結納税制度を適用する場合に、一定の要件を満たした連結子法人(特定連結子法人)における個別欠損金のうち一定の要件を満たす特定繰越欠損金が、連結納税制度適用後も引き続き損金算入が認められるようになったことや、連結納税制度を適用していない場合でも、完全支配関係を有する内国法人間の譲渡損益の繰り延べが求められるようになったことなど)に対応して、所要の改正が提案されているものです。
また、実務対応報告第4号「連結納税制度を適用する場合の中間財務諸表等における税効果会計に関する当面の取扱い」については、連結納税制度の導入初年度における経過措置について定めたものであるため、引き続き必要と考えられる定め(実務対応報告第4号 2.)のみ上記の実務対応報告公開草案第33号に移動した上で、廃止することが提案されています。
なお、本公開草案に対しては、平成22年6月8日(火)までコメントが募集されています。

1.改正内容の概要

(1) 特定繰越欠損金制度の創設に伴う改正
連結納税参加前の欠損金を持ち込むことができる特定繰越欠損金制度の創設後も、繰延税金資産の回収可能性の判定に係る基本的な考え方に変更はなく、法令の規定にのっとって見積もった欠損金の回収見込みに応じて、その回収可能性を判断します。
その上で、平成22年度税制改正に伴う以下の事項の改正が提案されています。

①特定繰越欠損金が含まれる場合の連結上の繰延税金資産の回収可能性の判定(その1改正案Q1・Q4)
連結納税主体を一体として回収可能性を判断し、その際に、連結所得見積額と各社の個別所得見積額の双方を勘案することが示されています。

②特定繰越欠損金が含まれる場合の個別上の繰延税金資産の回収可能性の判定(その2改正案Q1~Q3)
連結所得見積額と各社の個別所得見積額を考慮することが示されています。

なお、連結欠損金に係る回収可能額は個別・連結で常に一致することになるため、連結納税参加各社と連結納税主体の回収可能見込額が相違するケースが、将来減算一時差異に係る繰延税金資産に限られることが明確化されています。

(2) 完全支配関係を有する内国法人間の譲渡損益繰延に関する改正(その1改正案Q5)
今般の税制改正において、連結納税制度を適用していない場合であっても、完全支配関係のある内国法人間の資産の譲渡損益が繰り延べられるようになったことに対応し、所要の改正が提案されています。

(3) その他
以下の点に対応する所要の改正が提案されています。

  • 完全支配関係が生じた日後の最初の月次決算の翌日を連結納税加入の効力発生日とすることが認められるようになったことに伴う改正
  • 連結納税の承認申請書の提出期限の短縮および新設親会社の承認期限の短縮に伴う改正

2.適用時期

平成22年6月30日以後終了する事業年度末および四半期会計期間末から適用することを原則とし、同日より前に終了する事業年度末および四半期会計期間末からの適用を可能とすることが提案されています。
また、本改正の適用は、会計方針の変更として取り扱わないことが示されています。



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