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「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」 (株式保有状況の開示等の改正)のポイント

2010.04.05
新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
岡田 眞理子
<内閣府令第12号が平成22年3月31日に公布>

平成22年3月31日に、「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(以下、改正府令)が公布されています。改正府令の公布により「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下、改正後開示府令)等が改正されています。改正後開示府令では、有価証券報告書等の「コーポレート・ガバナンスの状況」における開示の充実が図られており、一部を除き、平成22年3月期から適用されます。また、関連するガイドライン(「企業内容等の開示に関する留意事項について」のA 基本ガイドライン(以下、開示基本ガイドライン))についても、併せて改正されています。

本改正の公開草案は平成22年2月12日に公表され、平成22年3月15日までコメントが募集されていました。

(改正された主な府令等)

  • 企業内容等の開示に関する内閣府令
  • 特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令
  • 企業内容等の開示に関する留意事項について
1. 改正の概要

非上場会社については、改正前の内容のまま適用されるため、以下は上場会社について適用される改正の概要を記載します。

(1)

有価証券報告書等の「コーポレート・ガバナンスの状況」において、コーポレート・ガバナンス体制に係る以下の事項が開示されます(改正後開示府令 第三号様式 記載上の注意(37)、 第二号様式 記載上の注意(57)a(a)~(c))。

コーポレート・ガバナンス体制の概要、当該体制を採用する具体的な理由
内部監査および監査役(監査委員会)監査の組織、財務および会計に関する相当程度の知見を有する監査役等についての内容を含む人員および手続き
社外取締役・社外監査役(社外役員に該当する社外取締役・社外監査役。以下同様)の機能・役割、選任状況についての考え方、社外取締役・社外監査役による監督・監査と内部監査・監査役監査・会計監査との連携。また、社外取締役・社外監査役を選任していない場合には代替的社内体制および当該体制を採用する理由 など

(2)

有価証券報告書等の「コーポレート・ガバナンスの状況」において、役員報酬に係る以下の事項が開示されます(改正後開示府令 第三号様式 記載上の注意(37)、 第二号様式 記載上の注意(57)a(d))。

役員ごとの提出会社と主要な連結子会社の役員としての報酬等(連結報酬等)の総額(連結報酬等の額が1億円以上である者に限ることができるとされています)・種類別(基本報酬・ストックオプション・賞与・退職慰労金等の別)の額等
取締役(社外取締役は除きます)・監査役(社外監査役は除きます)・執行役・社外役員に区分した報酬等の種類別の総額等
報酬等の額またはその算定方法に係る決定方針がある場合にはその内容および決定方法、ない場合にはその旨

(3)

有価証券報告書等の「コーポレート・ガバナンスの状況」において、提出会社の株式の保有状況として、以下の事項が開示されます(改正後開示府令 第三号様式 記載上の注意(37)、第二号様式 記載上の注意(57)a(e))。

投資有価証券に区分される純投資以外の目的で保有する株式(上場株式以外も含まれます)について、銘柄数および貸借対照表計上額の合計額。なお、純投資目的とは、もっぱら株式の価値の変動または株式に係る配当によって利益を受けることを目的とする場合をいうとされています(金融庁ウェブサイトで公表されている「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」124参照)。
銀行・保険会社以外の上場会社の平成22年3月期の有価証券報告書等には、下記1)または2)のいずれかに該当する場合、銘柄、株式数および貸借対照表計上額、当該銘柄ごとの具体的な保有目的(改正府令附則第2条第10項)
1) 純投資目的以外の目的で保有する銘柄別による上場投資株式(投資有価証券に区分される上場株式のことをいいます。ただし、みなし保有株式は除きます。みなし保有株式については下記表の(*2)参照)の当事業年度の貸借対照表計上額が、提出会社の当事業年度の資本金額か株主資本の合計額のいずれか小さい額の1%を超える場合
2) 上場投資株式のうち、提出会社における当事業年度の貸借対照表計上額が上位10銘柄に該当する場合

当記載に関しては、本則の適用が段階適用となっており、銀行・保険会社、銀行・保険会社以外の上場会社で適用時期、適用内容が異なっているため、以下の表を参照してください(改正府令附則第2条第11項から第13項)。

適用時期/適用会社 銀行・保険会社以外の上場会社 銀行・保険会社
平成22年3月期 上記(3)②参照 特定投資株式(*1)について、当事業年度の貸借対照表計上額の上位10銘柄を記載する。
なお、持株会社(*5)である提出会社以外の最大保有会社(*3)がある場合には、上記事項につき、提出会社に代えて、当該最大保有会社の上位10銘柄に該当するものを記載する(なお、当該最大保有会社については、(3)①・③の事項も併せて記載する)。
平成23年3月期 純投資目的以外の目的で保有する上場投資株式(みなし保有株式(*2)を含む)のうち、銘柄別に当事業年度の貸借対照表計上額が資本金または株主資本合計額のいずれか小さい額の1%を超えるもの(特定投資株式とみなし保有株式それぞれの銘柄数が30銘柄に満たない場合には、貸借対照表計上額の上位30銘柄に該当するもの(*4))について、特定投資株式とみなし保有株式に区分して、銘柄・株式数・貸借対照表計上額・具体的な保有目的を記載する。なお、前事業年度分に関しては、平成22年3月期に記載した事項を記載する。 純投資目的以外の目的で保有する上場投資株式(みなし保有株式(*2)を含む)について、当事業年度の貸借対照表計上額が資本金または株主資本合計額のいずれか小さい額の1%を超える銘柄(50銘柄を上限)(銘柄数が30銘柄に満たない場合には、貸借対照表計上額の上位30銘柄に該当するもの(*4))を記載する。
なお、持株会社(*5)である提出会社以外の最大保有会社(*3)がある場合には、上記事項につき、提出会社に代えて、当事業年度の貸借対照表計上額が提出会社の資本金または株主資本合計額のいずれか小さい額の1%を超える銘柄(50銘柄を上限)(銘柄数が30銘柄に満たない場合には、貸借対照表計上額の上位30銘柄に該当するもの(*4))を記載する。(なお、当該最大保有会社については(3)①・③の事項も併せて記載する)。
平成24年3月期 純投資目的以外の目的で保有する上場投資株式(みなし保有株式(*2)を含む)のうち、銘柄別に当事業年度および前事業年度の貸借対照表計上額が資本金または株主資本合計額のいずれか小さい額の1%を超えるもの(特定投資株式とみなし保有株式それぞれの銘柄数が30銘柄に満たない場合には、貸借対照表計上額の上位30銘柄に該当するもの(*4))について、特定投資株式とみなし保有株式に区分して、銘柄・株式数・貸借対照表計上額・具体的な保有目的を記載する。 純投資目的以外の目的で保有する上場投資株式(みなし保有株式(*2)を含む)のうち、銘柄別に当事業年度および前事業年度の貸借対照表計上額が資本金または株主資本合計額いずれか小さい額の1%を超えるもの(特定投資株式とみなし保有株式それぞれの銘柄数が30銘柄に満たない場合には、貸借対照表計上額の上位30銘柄に該当するもの(*4))について、特定投資株式とみなし保有株式に区分して、銘柄・株式数・貸借対照表計上額・具体的な保有目的を記載する。
(*1) 特定投資株式とは、純投資以外の目的で保有する上場投資株式のことをいいます。なお、投資株式とは投資有価証券に区分される株式のことをいいます。
(*2) みなし保有株式とは、例えば、保有株式を信託銀行に信託に出して、信託受益権を譲渡したが、当該株式に係る議決権行使の指図権限を有するものをいいます。
(*3) 最大保有会社とは提出会社および連結子会社のうち、投資株式の貸借対照表計上額が最も大きい会社のことをいいます。
(*4) 上位30銘柄にはみなし保有株式銘柄が含まれますが、みなし保有株式については10銘柄が上限とされています。なお、みなし保有株式以外の株式が20銘柄に満たない場合には、合計で30銘柄となるようみなし保有株式の銘柄数が増加します。
(*5) 持株会社とは、子会社の経営管理を行うことを主たる業務とする会社をいいます。
提出会社が純投資目的で保有する投資株式を、上場株式・非上場株式に区分し、当事業年度および前事業年度における貸借対照表計上額ならびに当事業年度における受取配当額、売却損益および評価損益、当事業年度において保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に、または純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したものがある場合には、それぞれに区分して、銘柄名・株式数・貸借対照表計上額
(平成23年3月期有価証券報告書等から適用。ただし銀行・保険会社については平成24年3月期有価証券報告書等から適用(改正府令附則第2条第14項))提出会社が持株会社である場合には、提出会社および連結子会社のうち、投資株式の株式計上(保有)額が最大の保有会社について、①から③と同様の事項等

(4)

その他、臨時報告書において、株主総会において決議事項が決議された場合に議決権行使の結果を開示することとされています(改正後開示府令第19条第2項第9号の2、開示基本ガイドライン24の5-30)。

2. 公開草案より修正された主な点

(1)

役員の報酬等の開示

役員の報酬等の開示について、公開草案では記載のなかった「最近事業年度前のいずれかの事業年度に係る有価証券報告書に記載したものを除く。」との文言が追加されています。そのため、ストックオプション、退職慰労金について、当事業年度の費用処理額が開示対象となることが明確化されました。

(2)

株式の保有状況の開示

株式の保有状況の開示については、公開草案では平成22年3月31日に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用予定とされていましたが、段階的に適用されることになりました。

3.適用時期

上記の改正事項については、一部を除き平成22年3月31日に施行され、上記1(3)(②の図表および)④を除き、3月決算会社では平成22年3月期決算からの適用となります。

本稿は「『企業内容等の開示に関する内閣府令(案)』等に対するパブリックコメントの結果等について」の概要を記述したものであり、その詳細については、以下の金融庁のウェブサイトをご参照ください。



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