「実務対応報告第26号『債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い』の適用期間の満了について」のポイント

2010年3月19日
カテゴリー 会計情報トピックス

会計情報トピックス 吉田剛

企業会計基準委員会が平成22年3月17日に公表

企業会計基準委員会(ASBJ)は平成22年3月17日に、「実務対応報告第26号『債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い』の適用期間の満了について」(以下、26号適用期間の満了について)を公表しました。

26号適用期間の満了については、平成22年3月31日がその適用期限とされている実務対応報告第26号「債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い」(以下、実務対応報告)に関して、平成22年4月1日以後の取り扱いを定めたものです。

1. 取り扱いの内容

平成22年3月31日がその適用期限とされている実務対応報告につき、同日後の取り扱いに関して、以下の二点が示されました。

(1)実務対応報告の適用を継続しない(同日(平成22年3月31日)をもって廃止)
(2)実務対応報告に基づいて保有目的区分の変更を行った場合には、その後の事業年度以降も当該変更に関する追加情報の注記が求められていたが、実務対応報告の廃止後はこの注記を継続する手当てをしない(追加情報の注記は不要)。

2. 意見募集の目的と背景

実務対応報告は、金融市場における混乱を背景に、国際会計基準審議会(IASB)が平成20年10月に国際会計基準(IAS)第39号「金融商品:認識及び測定」および国際財務報告基準(IFRS)第7号「金融商品:開示」を改正したことなどを踏まえ、債券の保有目的区分の変更に係る取り扱いについて、当面必要とされる取り扱いを定めるためにASBJから平成20年12月に公表されたものであり、その公表日から平成22年3月31日までの適用とされていました。

その後の取り扱いについてはあらためて検討することとされていましたが、ASBJにおけるその後の審議を踏まえ、平成22年2月1日に実務対応報告の適用を継続しないこととして意見の募集を公表し、その存続の要否に関して意見が募集されました。

当該意見の募集に寄せられた意見も参考にして審議を行った結果、適用事例が少数(12社)にとどまること、最近の経済環境を踏まえたところで継続する必要性に乏しいと考えられることから、適用期間を延長せず、またこれを継続しなくとも実務上の支障はないと考えられるため、実務対応報告の廃止が決定され、事後的な注記も不要とされたものです。

なお、対象企業が自主的に追加情報として注記することは妨げられないものと考えられます。

3. 反対意見

26号適用期間の満了についてに係る公表の議決において、3名の委員がその公表に反対しています(賛成は10名)。

そのうち、2名の委員は、平成22年4月1日以後もこの取り扱いを継続すべきとしており、金融商品の分類の論点も含め、保有目的区分の変更に係る全体的な見直しが進められている中では、当該当面の取り扱いを継続する必要があるとする意見を述べています。また、公表に反対したもう1名の委員は、取り扱いを廃止することについては賛成するものの、事後的な注記に関してはこれを継続すべきとしており、たとえ適用事例が少数であったとしても、当初事後的な注記が必要ということで導入された追加情報の記載の定めまで廃止する必要はないとする意見を述べています。

本稿は「実務対応報告第26号『債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い』の適用期間の満了について」の概要を記述したものであり、その詳細については、以下の財務会計基準機構/企業会計基準委員会のウェブサイトをご参照ください。

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