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「電子記録債権に係る会計処理及び表示についての実務上の取扱い(案)」

2009.03.03
新日本有限責任監査法人 会計監理レポート
目黒 幸二
<企業会計基準委員会が平成21年2月17日に公表>

平成21年2月17日に実務対応報告公開草案第30号「電子記録債権に係る会計処理及び表示についての実務上の取扱い(案)」(以下、本公開草案)が、企業会計基準委員会(ASBJ)から公表されました。

本公開草案は、平成20年12月1日に施行された「電子記録債権法」に基づいて電子記録債権を活用するに当たり、当該会計処理および表示について必要と考えられる実務上の取り扱いを明らかにするものです。

なお、本公開草案に対するコメントは、平成21年3月10日(火)まで募集されています。

本稿において意見にわたる部分については、執筆者の私見であり、当法人の公式見解ではありません。


1. 電子記録債権

電子記録債権とは、その発生または譲渡について、電子記録(*1)を要件とする金銭債権であり、事業者の資金調達の円滑化等を図る観点から、流動性を高めつつ、その取引の安全を確保するため、手形債権と同様に、原因関係とは独立して発生する金銭債権として、従来の指名債権や手形債権とは異なる類型として制度化されたものです。

以下のような特徴があります。

電子記録債権の発生や譲渡については、手形の作成、交付、裏書と同様に、発生記録や譲渡記録という当事者間の合意以外の行為が必要(*2)
手形債権と同様に、原則として、善意取得や人的抗弁の切断の効力を認めている。

(*1) 磁気ディスク等をもって電子債権記録機関が作成する記録原簿への記録事項の記録
(*2) 指名債権は、当事者間の合意のみで発生したり譲渡の効力が生じる。

2. 会計処理等

電子記録債権は、紙媒体ではなく電子記録により発生し譲渡され、分割が容易に行えるなど、手形債権と異なる側面があるものの、手形債権の代替として機能することが想定されており、会計処理上は、今後も並存する手形債権に準じて取り扱うことが適当であるとされています。

貸借対照表上は、以下のような表示とされます。

手形債権が指名債権(売掛金・買掛金等)とは別に区分掲記される取引に関しては、電子記録債権についても指名債権とは別区分で「電子記録債権」または「電子記録債務」等とする。
ただし、貸付金や借入金等については、現行の企業会計上、証書貸付や手形貸付等に区分掲記せずに「貸付金」「借入金」等として表示していることから、それらに関連して電子記録債権が発生しても手形債権に準じて取り扱うため、科目は振り替えない。
発生記録により売掛金に関連して電子記録債権を発生させた場合には、電子記録債権を示す科目に振り替える。
重要性が乏しいときには、「受取手形」(または支払手形)に含めることができる。
譲渡記録により当該電子記録債権を譲渡する際に保証記録も行っている場合には、受取手形の割引高または裏書譲渡高と同様に、財務諸表に注記する。

3. 適用時期

実務対応報告は公表日以後適用されます。


本稿は「実務対応報告公開草案第30号『電子記録債権に係る会計処理及び表示についての実務上の取扱い(案)』の公表」の概要および主な論点を記述したものであり、詳細については、以下の財務会計基準機構/企業会計基準委員会のウェブサイトをご参照ください。



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