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「会計上の変更及び過去の誤謬に関する検討状況の整理」

2008.07.30
新日本有限責任監査法人 会計監理トピックス
企業会計基準委員会が平成20年6月20日に公表

企業会計基準委員会は平成20年6月20日に、「会計上の変更及び過去の誤謬に関する検討状況の整理」(以下、検討状況の整理)を公表しました。

検討状況の整理では、会計方針の変更等が行われた場合の過去の財務諸表の遡及(そきゅう)処理に関する取り扱い、および、会計上の見積もりの変更の取り扱いについて検討されています。これは、国際的な会計基準で見られる取り扱いですが、遡及処理の考え方を導入する場合には、関連諸制度との関係の整理が必要と考えられることから、最終的な会計基準の方向性を示す検討状況の整理が公表されたものです。検討状況の整理に対して、平成20年9月19日までコメントが募集されています。

なお、本稿において意見にわたる部分については、執筆者の私見であり、当法人の公式見解ではありません。


1. 会計方針の変更等の原則的な取り扱い

「会計方針の変更」、「表示方法の変更」および「過去の誤謬の訂正」については、原則的に過年度の財務諸表を遡及処理し、「会計上の見積りの変更」については、変更期間以降の将来にわたって会計処理します。

用語 原則的な取り扱い
会計上の変更 会計方針の変更 ○(過年度の財務諸表に遡及適用する)
表示方法の変更 ○(過年度の財務諸表を組替える)
会計上の見積りの変更 ×(遡及修正しない)
過去の誤謬の訂正 ○(過年度の財務諸表を修正再表示する)
○:遡及処理する ×:遡及処理しない
2.会計方針の変更の取り扱い

(1)

会計方針の変更に関する原則的な取り扱い
会計方針の変更については、原則として、次のように取り扱われます。

場合 会計上の取り扱い
会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 会計基準等に経過規定が定められている場合 経過措置に従う
会計基準等に経過規定が定められていない場合 変更後の会計方針を遡及適用する
上記以外の正当な理由による会計方針の変更
(2)
原則的な取り扱いが実務上不可能な場合の取り扱い
遡及適用した場合の累積的影響額が算定できる場合とできない場合に分けて、次のように取り扱います。
場合 会計上の取り扱い
新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額は算定できるが、どの期間に影響を与えるかの算定が実務上不可能な場合 遡及適用が実行可能な最も古い期間(当期の場合もある)の期首で累積的影響額を算定し、当該期首残高から新たな会計方針を遡及適用する
新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を算定することが、実務上不可能な場合 期首以前の実行可能な最も古い日から将来にわたり新たな会計方針を適用する
(3)
会計方針の変更に関する注記
会計方針の変更を行った場合には、変更の内容、影響を受ける過去の財務諸表の主な表示科目に対する影響額、1株当たり情報に対する影響額等を注記します。なお、遡及適用が実務上不可能な場合には、その理由、会計方針の変更の適用方法等を記載します。
また、公表済みで未適用の新会計基準等がある場合には、新会計基準等の概要、適用による影響に関する記述等を注記します。
3.表示方法の変更の取り扱い

財務諸表の表示方法の変更をした場合には、遡及的に財務諸表の組替を行います。

4.会計上の見積もりの変更の取り扱い
(1)
会計上の見積もりの変更に関する原則的な取り扱い
会計上の見積もりの変更は、影響を受ける変更期間以降の将来にわたって会計処理を行います。
(2)
会計方針の変更を見積もりの変更と区別することが困難な場合の取り扱い
会計方針の変更を見積もりの変更と区別することが困難な場合には、見積もりの変更と同様に遡及適用を行わないとされています。
(3)
減価償却方法の変更に関する取り扱い
減価償却方法の採用は会計方針に該当しますが、その変更については、会計方針の変更を見積もりの変更と区別することが困難な場合に該当するとされ、遡及適用を行わないことになります。
5.過去の誤謬の取り扱い
(1)
誤謬に関する原則的な取り扱い 過去の財務諸表に誤謬が発見された場合には、当該財務諸表を修正再表示します。
(2)
原則的な取り扱いが実務上不可能な場合の取り扱い
遡及適用した場合の累積的影響額が算定できる場合とできない場合に分けて、次のような取り扱いが提案されています。なお、国際財務報告基準では、修正再表示が実務上不可能な場合の取り扱いが定められていますが、米国会計基準では、誤謬の修正再表示を原則どおりにできない場合には、財務諸表の適正性を確保できないとして、こうした取り扱いは設けられていません。従って、この点について特にコメントが求められています。
場合 会計上の取り扱い
過去の誤謬による累積的影響額は算定できるが、どの期間に影響を与えるかの算定が実務上不可能な場合 修正再表示が実行可能な最も古い期間(当期の場合もある)の期首時点で累積的影響額を算定し、当該期首時点から修正再表示する
過去の誤謬による累積的影響額を算定することが実務上不可能な場合 実行可能な最も古い日から誤謬を修正する
6.他の会計基準等への影響

本検討状況の整理に示された内容が会計基準として公表された場合には、企業会計基準第6号「株主資本等変動計算書に関する会計基準」および実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」等が改正されると考えられます。

7.適用時期

会計上の変更および過去の誤謬に関する会計基準の適用時期は、関連諸制度との関係を踏まえて検討するとされています。


本稿は「会計上の変更及び過去の誤謬に関する検討状況の整理」の公表の概要および主な論点を記述したものであり、詳細については、以下の財務会計基準機構/企業会計基準委員会のウェブサイトをご参照ください。



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