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企業会計基準適用指針公開草案第28号 「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針(案)」

2008.02.06
新日本監査法人 会計品質管理部トピックス

平成20年1月24日に企業会計基準適用指針公開草案第28号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針(案)」が、企業会計基準委員会(ASBJ)から公表されました。本公開草案は、監査委員会報告第60号のうち会計上の取り扱いに関する部分について、その内容を引き継いで新たな適用指針を定め、加えて会社法の施行への対応や取り扱いの明確化が必要と考えられる点への対応を図るために検討されたものであり、平成20年2月25日までパブリック・コメントに付されています。

なお、本稿において意見にわたる部分については執筆者の私見であり、当法人の公式見解ではありません。

1. 適用時期と適用範囲(適用指針案第29項、第30項)
  • 平成20年4月1日以後開始する連結会計年度から適用します。ただし、平成20年3月31日以前に開始する連結会計年度から適用することができます。
  • 本公開草案を適用することにより、これまでの会計処理と異なることとなる場合には、会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱います。
2. 本公開草案の主な内容

本公開草案は、実質的に監査委員会報告第60号の内容を引き継いだものですが、以下の点について明確化が図られていることが特徴です。

  • 他の会社等の意思決定機関を支配していないこと等が明らかであると認められる場合(いわゆるVC条項)の要件を明確化しています。
  • 利害関係者の判断を著しく誤らせる恐れがあるため連結の範囲に含めない子会社の具体例および関連会社についても同様の取り扱いをすることを明確化しています。
3.VC条項の明確化(適用指針案第16項(4)、第24項)

ベンチャーキャピタル等の投資企業が売却等によるキャピタルゲイン獲得を目的として投資を行う場合、銀行等の金融機関が債権の円滑な回収を目的として投資を行う場合には、他の会社等の意思決定機関を支配する要件に該当しても、実質的に支配していないことが明らかであるときには、子会社に該当しないこととする監査委員会報告第60号2(6)およびの取り扱いについて考え方を整理し、具体的な場合を示しています。また、関連会社についても同様に監査委員会報告第60号2(6)およびの取り扱いを整理しています。

具体的には、次のすべてを満たすときには、子会社に該当しないことが明示されています(関連会社についても同様です)。

(1) 売却等により当該他の会社等の議決権の大部分を所有しないこととなる合理的な計画があること。
(2) 他の会社等との間で、通常の取引として投融資を行っているもの以外の取引がほとんどないこと。
(3) 他の会社等の事業の種類は、自己の事業の種類と明らかに異なるものであること。
(4) 他の会社等とのシナジー効果も連携関係もないこと

なお、投資企業や金融機関は、実質的な営業活動を行っている会社等であることが必要です。また、出資会社が企業集団内にある場合や投資関係が多層構造をとる場合の考え方として、投資企業等が含まれる企業集団内の他の連結会社(親会社および連結子会社)においても上記(2)から(4)の事項を満たすことが適当としています。

4.利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがある場合(適用指針案第19項、第26項)

連結原則第三.一.4(2)では、連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせる恐れのある会社等は連結の範囲に含めないものとしていますが、本公開草案では、そうした場合は、子会社が匿名組合の営業者となり損益のほとんどすべてが匿名組合員に帰属し、子会社および親会社に形式的にも実質的にも帰属せず、子会社と親会社との取引がほとんどないような限定的な場合であるとしています。

また、関連会社・非連結子会社についても、利害関係者の判断を著しく誤らせる恐れがある場合には、持分法を適用しないことを明示しています。

5.監査委員会報告第60号について

海外の子会社等が連結財務諸表を作成している場合の連結子会社および持分法適用関連会社の範囲については、実務対応報告第18号により監査委員会報告第60号8の定めは適用されないため、本公開草案には含まれていません。なお、監査委員会報告第60号については、改廃を検討することが適当としています。

本稿は企業会計基準適用指針公開草案第28号の概要を記述したものであり、詳細については、以下の財務会計基準機構/企業会計基準委員会のウェブサイトをご参照ください。



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