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「企業結合会計の見直しに関する論点の整理」

2008.01.18
新日本監査法人 会計品質管理部トピックス
企業会計基準委員会が平成19年12月27日に論点の整理を公表

わが国の企業結合に関する会計基準は限定的とはいえ持分プーリング法を採用する余地を残した点など、いくつかの点において国際的な会計基準とは異なっており、これらの相違点が、いわゆるEU同等性評価に関連した欧州証券規制当局委員会(CESR)からの補正措置項目として提案されています。

一方、平成18年12月に企業会計基準委員会(ASBJ)事務局において立ち上げられた企業結合プロジェクト・チームは、CESRから提案された企業結合に係る国際的な会計基準との主な相違点とそれぞれの根拠、わが国における企業結合会計基準の適用状況等について調査を行い、平成19年10月に、「企業結合会計に関する調査報告-EUによる同等性評価に関連する項目について-」をASBJに提出しています。

ASBJでは、そこで取り上げられている持分プーリング法の取り扱いをはじめとした各項目について、市場関係者のニーズや企業結合に係る実務等も踏まえつつ、会計基準のコンバージェンスの動向にも十分に配慮して審議を重ね、平成19年12月27日に「企業結合会計の見直しに関する論点の整理」(以下、論点整理)を公表しました。

本論点整理に対するコメントの募集は平成20年2月4日(月)までとなっています。

なお、本稿において意見にわたる部分については、あくまで執筆者の私見であり、当法人の公式見解ではありません。

論点整理のポイント

本論点整理は、持分プーリング法を今後も残すべきかという論点をはじめとして、各論点を示し、議論の整理を図っています。まず、以下の表において論点ごとに、わが国の現行の会計基準と国際的な会計基準を対比させる形で、どのような点が今後議論されるかを簡単にまとめます。

論点の内容 現行の会計基準 国際的な会計基準 今後の方向性
持分プーリング法の取り扱い(論点1-1)※ 経済的実態に応じ、持分プーリング法とパーチェス法とが使い分けられている パーチェス法を適用し、持分プーリング法の適用は認められていない 持分プーリング法を廃止する
株式を対価とする場合の対価の測定日をいつとすべきか(論点2) 原則として、企業結合の主要条件が合意されて公表された日前の合理的な期間 取得日 引き続き総合的に検討することが必要である
負ののれんの会計処理(論点3) 規則的な償却を行う 取得日の利益とする 負ののれんの発生原因を整理し、関連する定めを整備することにより、取得日の利益とする処理に見直すことができる
少数株主持分の測定における子会社の資産および負債の評価方法(論点4) 全面時価評価法と部分時価評価法が認められている 部分時価評価法に相当する取り扱いは認められていない 部分時価評価法を選択する余地を無くすことが妥当
段階取得における被取得企業の取得原価の測定方法(論点5) 過去から取得している株式の累積原価による 支配獲得日の時価で再評価し、差額は損益として認識する 支配獲得時の時価で測定し、差額は損益として処理するよう見直すこともできる
外貨建のれんの換算方法(論点6) 発生時の為替相場で換算する 決算日の為替相場で換算する 決算日の為替相場により換算する方法に見直すことが適当
※<持分プーリング法を廃止した場合の論点および今後の方向性>
取得企業の決定が困難な場合に、いかなる判断規準をもって取得企業を決定するのか(論点1-2)
→わが国における企業結合の実態や国際的な会計基準の定めを踏まえながら、引き続き検討する
持分プーリング法に準じた処理方法を適用するものとされている逆取得または共同支配企業の形成に係る会計処理についても見直す必要があるか(論点1-3)
→わが国の取り扱いと国際的な会計基準に実質的な差異はないと考えられる。ただし、表現方法などについて見直す必要があるか、引き続き検討する