これだけは知っておきたい!会計入門 第9回 税金

2013年8月13日
カテゴリー 会計入門

公認会計士 武澤 玲子

※今回はココを勉強します

貸借対照表、損益計算書

1. 税金とは?

税金には法人税、住民税、消費税など、さまざまな種類があります。そして、それらの税金は、何に基づいて課税されるのか、という観点で、大きく3つに分けられます。

①所得(利益)にかかる税金
②財産にかかる税金
③消費にかかる税金

①所得にかかる税金

所得にかかる税金とは、売上から経費等を差し引いた残りの金額である所得(利益)が増えるのに応じて増える税金です。所得税、法人税、住民税、事業税などがあります。このうち、会社に関係する税金は法人税、住民税、事業税になります。つまり、所得(利益)がすべて手元に残るわけではなく、所得に一定の率を掛けた額を税金として納める必要があり、税金を払った残りが手元に残ることになります。なお、所得がマイナス(赤字)の場合は、基本的に全員が納めることとされる一定部分を除き、法人税、住民税、事業税を支払う必要はありません。

 

②財産にかかる税金

所有する財産が増えれば増えるほど多くなる税金です。主なものとして固定資産税があります。固定資産税とは、所有している固定資産に対する税金で、土地、建物などの固定資産税の評価額に応じて支払う(納付する)ことになります。財産にかかる税金なので、赤字でも支払う必要があります。

 

③消費にかかる税金

消費した額に応じて課税される税金です。代表的なものとして消費税があります。
例えば、あなたがブティックを経営しており、8,000円の洋服を仕入れて10,000円で売ったとします。この場合、洋服の代金に対する消費税400円を含む、8,400円を仕入先に支払います。一方、販売代金に対する消費税500円を含む、10,500円を、お客さまから受け取ります。受け取った10,500円のうち、500円は売上ではなく、お客さまから預かった税金なので、税金として納める(納付する)必要があります。ただ、500円すべて支払うことはありません。仕入先に対して支払った消費税400円を差し引いた100円分だけを、納付することになります。会計上は、売上時に預かった消費税、仕入時に支払った消費税を売上額および仕入額には含めない処理(売上10,000円、仕入8,000円とする処理)を多くの会社が採用しています。

なお、消費税は、日本国内での商品・製品の売買、サービスの提供、経費の支払い、輸入などをしたときにかかりますが、消費税がかからない取引もあります。例えば、給料の支払いや土地の売買、輸出取引などについては、消費税の対象にはなりません。なお、基準期間(前々年度)の課税売上高が1,000万円以下の場合、消費税の課税が免除されます。また、基準期間の課税売上高が5,000万円以下なら、仕入れにかかった消費税額を実際に計算せず、売上高から推定することができることとされています。消費税も固定資産税などと同様、赤字の場合も支払う必要があります。

2. 税金を支払うタイミング

法人税は、決算期ごとにその期間の所得を計算し、所得に一定の税率を掛けて出した税額を申告し、申告した税金を支払う(納付する)ことになります。そして、法人税額が20万円を超えると、翌期には6カ月分の中間申告を11月までにする必要があります。例えば、あなたの会社の決算日が3月だとすると、原則として5月末までに申告する必要があります。一定の手続きをすることで、申告期限を1カ月間延長し、6月末までにすることができます。

固定資産税は、毎年、1月1日に持っている固定資産について、4回に分けて納付します。例えば、東京都23区内の平成25年度の納期は、7月1日、9月30日、12月27日、2月28日です。

消費税は、3月決算の場合、5月までに申告して納付します。前年度の消費税の金額が48万円以上の場合は、中間申告を行う必要があります。中間申告の回数は、前年度の消費税の金額に応じて、1回、3回、11回のいずれかになります。

税金を支払うタイミング

3.税金は決算書にどう反映される?

会社を経営するとき、さまざまな税金が発生しますが、これらの税金は決算書にどのように反映されるのでしょうか?

3月決算の会社の場合、3月の決算に基づいて計算された法人税、住民税、事業税については、5月までに支払う(納付する)ことになります。3月末では、まだ税金を払っていませんが、5月に税金を払う義務があるので、その義務を反映し、貸借対照表の負債の部に、「未払法人税等」を計上します。また、損益計算書上、1年間(4月から3月)の所得に対する法人税、住民税、事業税は、「法人税、住民税及び事業税」として計上します。損益計算書での記載場所は、当期純利益のすぐ上になります。

固定資産税は、販売費及び一般管理費の「租税公課」として計上します。

消費税は、売上時に預かった消費税と、仕入時に仕入先に支払った消費税の差額を、決算時に未払消費税等として、負債の部に計上します(仕入先に支払った額のほうが多い場合は、未収消費税等として資産の部に計上します)。消費税は預かった税金を支払う(納付する)ため、損益計算書には影響がないケースがほとんどです。

(まとめ)

課税対象 代表例 支払うタイミング
(3月決算を前提)
決算書への反映
所得(利益) 法人税 11月(中間申告)
および5月
貸借対照表:「未払法人税等」
損益計算書:「法人税、住民税及び事業税」
財産 固定資産税 年4回
(1月に決定)
損益計算書:「租税公課」
消費 消費税 5月
(中間納付1~11回)
貸借対照表:未払(または未収)消費税等

次回は、決算整理を取り上げます。

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