2月18日開催 WWN&DBJ-WEC共催セミナー後記 
「女性起業家のためのビジネス実践講座~経営を学ぶシリーズ~」マーケティング各論!人を動かすマーケティング・行動デザイン

2015.07.08
公認会計士 船野 智輝

2015年2月18日に『「女性起業家のためのビジネス実践講座~経営を学ぶシリーズ~」マーケティング各論!人を動かすマーケティング・行動デザイン』というテーマでWWNとDBJ-WECの共催セミナーを開催しました。

今回のセミナーでは、博報堂行動デザイン研究所 所長 國田圭作さんを講師にお迎えしました。冒頭に、國田さんから博報堂行動デザイン研究所についてのご説明がありました。博報堂行動デザイン研究所は、博報堂の社内組織であり、消費者の行動に関する知見を専門的に研究し、実践することを支援するための活動を行っているとのことでした。

セミナーは國田さんによる講義を中心に、途中にワークショップを挟みながら約1時間30分の開催でした。國田さんの講義は大きく1.マーケティングの基礎、2.行動デザインのプランニング方法、3.行動デザインのつくり方の3つに分かれていました。以下、講義の要旨を紹介いたします。

1. マーケティングの基礎

行動デザインの基本的な考え方は、「多くの人間は、積極的に行動をしたがらないものである」という大前提に基づいて消費者をとらえています。といいますのは、消費者が行動をとるには多くの障壁があるからとのことです。たとえば、テレビでCMを見て、この商品がいいな、と思ったとしても、以前から使っている別の商品がある、あるいは普段買い物に行く店舗にない、などの場合は、いくらいいなと思った商品でも、購買には結びつかないということです。ただ意識を変えるだけでは、消費者の行動は変わらないということが行動デザインの前提になっているそうです。

2. 行動デザインのプランニング方法

会計においては、「売上高」は「販売量」×「単価」で計算されます。しかし、行動デザインにおいては、「売上高」は「顧客行動の質」×「顧客行動の量」であると考えます。これは目標の売上高を達成するためには、「販売量」や「単価」という概念を顧客の行動に置き換え、それを実現するために「新しい行動」を発送し、作り出すマーケティング・プロセスを意味しています。具体的な例として、ウイスキーの例が挙げられました。ウイスキーはグラスでショットやダブルといった数十ミリリットル単位で消費することが一般的でした。これでは売上高の規模拡大、売上の伸びも大きなものは期待できません。そこで、ハイボール(ウイスキーのソーダ割り)という新たな消費行動パターンを提案することで、1回あたりの飲用量が増え、かつ、何杯もおかわりしてもらうことが可能となります。結果として、ウイスキーの消費量を飛躍的に増やすことに成功したのです。これは「量が出る飲み方」(行動の質)で「1回あたりの飲用量」(行動の量)を増やすことで売上高が増えるという例です。

3. 行動デザインのつくり方

冒頭の「消費者はなかなか行動を変えないものである」という前提の原因は人間の脳にあるという解説がありました。そもそも人間が十分に食料を得られるようになったのはここ数百年以内のことであり、それまでは人間は飢餓状態にあるのが通常でした。そのため、人間の脳は普段はエネルギーを使わないようにできており、緊急時のみ脳がフル回転して、適切な行動を意識的に選択するようにできています。つまり、一度習慣化した行動は、脳の省エネによる惰性のため変えられないのです。マーケティングにおいては、このように消費者が考えることもコスト(頭脳的コスト)としてとらえています。この頭脳的コストを含め、マーケティングにおけるコストは5種類あります。経済的コスト(お金)、頭脳的コスト(考えること)、時間的コスト(時間)、肉体的コスト(手間・労力)、精神的コスト(他人を気にすること)の5つです。消費者の行動を変えるには、これらのコストを総合的に削減することを考える必要があるのです。ただ安い(経済的コストが低い)だけでは消費者は行動を変えない、つまり、売れないことも十分にありうるそうです。

「行動デザインのつくり方」の講義の途中で、ワークショップが実施されました。ワークショップで実施された内容は以下の通りです。

ワークショップ

ワークショップは出席者が10名弱のグループに分かれて、マーケティングのアイデアについて話し合うというスタイルで進められました。博報堂行動デザイン研究所が開発した「行動デザインのツボ」という18枚のカードを使用しました。このカードには消費者に行動を起こさせることができる状況や条件が書かれています。例えば「急かされると、人は動く」、「対決させると、人は動く」といった状況や条件です。テーマが國田さんから与えられるので、「行動デザインのツボ」カードを1枚引いて、そのカードの状況や条件の中で、テーマに沿ったマーケティングのアイデアを出して、グループで発表するという方法でワークショップが行われました。國田さんから与えられたテーマは「若い女性を街の銭湯に呼び込むには?」というものでした。例えば「急かされると、人は動く」というカードを引いた出席者からは、「先着10名には入場料を100円にする」といったアイデアが、「対決させると、人は動く」というカードを引いた出席者からは「ハーブ湯とゆず湯を準備し、どちらが気に入るか決めてもらう」といったアイデアが出されていました。出席者から様々な独創的なアイデアが出され、各グループとも盛り上がっていました。

講演後には、WWN会員である、ファモニィ株式会社の代表取締役の天沼幸子さん、GAME CHANGERの代表の歌野真理さんに、自社についてPRしていただきました。

今後も、皆さまの経営に役立つ情報を提供し、ネットワーク構築の場となるセミナーを開催してまいりますので、ぜひご参加ください。