これだけは知っておきたい!税務入門

第7回 「減価償却のしくみと法人税の取扱い」

2015.10.13
船野 智輝
戦略マーケッツ事業部 企業成長サポートセンター
パートナー 公認会計士 船野 智輝

減価償却とはどのようなもの?

会社が事業を行う上で、建物や備品といった資産を購入することがあります。これらの物品は、購入した会計期間だけではなく、一般的にその後、何年、何十年と使い続けます。このように、1年を超えて使用する財産を固定資産といいます。

固定資産は時間の経過や使用により物理的、機能的に価値が減少していくことがあります。その価値の減少に対応して、固定資産の購入にかかった金額を使用期間にわたって費用とするとともに、貸借対照表の固定資産の金額を目減りさせる会計処理のことを「減価償却」といいます。また、減価償却によって費用とされた金額は、「減価償却費」として、損益計算書に計上します。

どのような固定資産を減価償却するの?

すべての固定資産が減価償却の対象となるわけではありません。土地は時の経過とともに価値が減少することがないため、減価償却を行いません。

減価償却が必要な固定資産を「償却資産」、一方減価償却を行わない固定資産を「非償却資産」と呼びます。

償却資産 建物、構築物、車両、器具および備品、ソフトウェア 等
非償却資産 土地

税法で定められているルールを知っておこう。

税法では、固定資産の減価償却について細かなルールが定められていますが、ぜひ知っておいていただきたいルールは(1)減価償却の方法と、(2)耐用年数です。これらについて、税法に従って計上された減価償却費は、基本的には損金算入ができます。

(1) 減価償却の方法

減価償却を行うにあたり、いくつか方法がありますが、一般的には、「定額法」や「定率法」が使用されています。

① 定額法
固定資産の価値が均等に目減りするという考え方から、毎年同額を費用配分する方法です。
② 定率法
取得当初に固定資産の価値が多く目減りしやすいという考え方から、固定資産の帳簿価額に一定の償却率を掛けた額を費用配分する方法です。定率法で減価償却を行うと、使用期間の前半は多くの減価償却費が計上され、時の経過とともに段々と減価償却が減っていくという特徴があります。

例: 固定資産を100で購入し、5年間使用する場合

定額法による減価償却のイメージ
定率法による減価償却のイメージ

なお、税務上は償却方法について、税務署に事前に届け出を行う必要があります。届け出を行わない場合、償却方法は「定額法」を採用したものとみなされます。

(2) 耐用年数

耐用年数とは、減価償却を行うにあたって、その資産をどのくらいの期間にわたって使用するかの見積り年数です。耐用年数は、税法で資産の種類、構造または用途、細目別に定められています。

<耐用年数の一例>

オフィスの応接セット 8年
営業用車両 6年
パソコン 4年
(出典:国税庁ホームページ 耐用年数表)

少額な減価償却資産の取扱いについても知っておこう

少額な資産を取得した場合については、税法上、簡便な会計処理が認められています。

具体的には、中小企業者(資本金が1億円以下である会社)である場合には、30万円未満の支出については、資産計上する必要がなく、消耗品として即時に費用処理できます。中小企業者以外の場合は、以下のようになっています。

定率法による減価償却のイメージ