これだけは知っておきたい!税務入門

第6回 費用でも損金にならない?交際費

2015.09.14
船野 智輝
戦略マーケッツ事業部 企業成長サポートセンター
マネージャー 公認会計士 船野 智輝

皆さんが営業活動を行う上で、取引先と会食や接待をされた経験は数多くあると思います。このような会食や接待にかかった支出は税法上、特別な扱いがされていることをご存知でしょうか。

一般的な経費は、基本的に全額損金に算入することができますが、実は「税法上の交際費等」に該当すると原則として損金に算入されません。なぜかと言いますと、無制限に交際費の損金算入を認めると、会社の資金を無駄遣いする危険性があり、また接待をすればするほど税金の納付を回避することにつながるになるため、課税の公平性を欠くと考えられるからです。

「税法上の交際費等」とは?

まず、税法上の交際費には何が該当するのかを見ていきます。

交際費といえば、社外の取引先を接待することを思い浮かべるかもしれませんが、それ以外にも従業員や株主に対する接待も「税法上の交際費等」になります。また、接待以外にも、慰安や贈答も交際費に該当します。皆さんが想像しているよりも範囲が広い可能性がありますので、留意が必要です。

図1

「税法上の交際費等」に該当する支出か
~クイズをやってみましょう~

ではここで、「税法上の交際費等」に該当するかどうかを知るために、ちょっとしたクイズをやってみましょう。

以下の費用は「税法上の交際費等」に該当するか、○×で答えてみてください。

① 従業員の慰安のために行われる運動会の費用
② 取引先の接待のための飲食代金(ただし、一人当たり5,000円以下)
③ カレンダーや手帳、うちわといった販促物の購入代金
④ 取引先との会議のための、お茶、お茶菓、弁当等の飲食費用
⑤ 取引先を招いて行う、会社の周年記念における宴会費用、記念品代
⑥ 取引先へのお香典
⑦ 営業先とのゴルフのプレー代
⑧ 接待に利用したタクシー代

わかりましたか?
「税法上の交際費等」に該当するか否かは、実質的な観点から判断がなされるため、判断に迷うものもありますが、一般的には以下のようになります。

問題 回答 解説
① 従業員の慰安のために行われる運動会の費用 ×
「税法上の交際費等」に該当しません
特定の従業員だけでなく、全員に対して公平に実施されるものは、「福利厚生費」に該当します。
② 取引先の接待のための飲食代金(ただし、一人当たり5,000円以下) ×
「税法上の交際費等」に該当しません
一人当たり5,000円以下程度の飲食であれば、得意先の強い歓心を得ることは難しいと考えられるため、「税法上の交際費等」に該当しません。しかし、5,000円以下の接待飲食であっても、得意先が飲食の席におらず、特定の社内の人物だけの飲食は「税法上の交際費等」に該当することに注意が必要です。
③ カレンダーや手帳、うちわといった販促物の購入代金 ×
「税法上の交際費等」に該当しません。
不特定多数の者に配布し、広告宣伝や販売促進のために使用される物品については、「税法上の交際費等」に該当しません。
④ 取引先との会議のための、お茶、お茶菓、弁当等の飲食費用 ×
「税法上の交際費等」に該当しません
これらの支出は「会議費」に該当します。取引先との打ち合わせや、ランチミーティングにかかった支出もこの「会議費」に該当します。
⑤ 取引先を招いて行う、会社の周年記念における宴会費用、記念品代
「税法上の交際費等」に該当します
社外の人を招いて行う場合には「税法上の交際費等」に該当します。ただし、社外の人を招かないで、社内向けの記念行事において従業員全員が飲食をする場合には、福利厚生費となります。
⑥ 取引先へのお香典
「税法上の交際費等」に該当します
マナーとして欠かせない慶弔に際して支払う金品ですが、税務上は交際費に該当すると定められています。ただし、社内規定に基づき福利厚生の一環で従業員の慶弔に際して支払う金品については、「税法上の交際費等」に該当しません。
⑦ 営業先とのゴルフのプレー代
「税法上の交際費等」に該当します
ゴルフのプレー代で、業務上必要なものは「税法上の交際費等」に該当します。会社の業務に必要でないプライベートのゴルフのプレー代を会社が負担した場合は、役員賞与または従業員給与に該当します。
⑧ 接待に利用したタクシー代
「税法上の交際費等」に該当します
タクシー代として「旅費交通費」として会計処理されている場合がありますので、「税法上の交際費等」として税務申告することを忘れないように留意が必要です。

交際費の損金算入限度額

冒頭で、「税法上の交際費等」は原則として損金算入されないと説明しました。しかし、取引先との会食や接待は営業活動において、重要な要素であるとも言えます。そのため、税法では、会社の経営に必要不可欠な一部の交際費については、一定金額につき損金に算入することが認められています。

具体的には、中小企業者(資本金が1億円以下の会社)については、年間の「税法上の交際費等」ついては800万円まで損金算入が可能となっています。また、中小企業者以外の会社でも、一定のルールに基づき、一部の「税法上の交際費等」を損金算入することができます。

詳細は下記のリンクをご覧ください。