「旬刊経理情報」連載 女性エグゼクティブの法則 ~Winning Womenから後輩たちへ~ 

第30回 経営という仕事は苦しい、でも生きがい! 
-パートタイムSEから経営者へ

2015.09.24
長田 ゆかり
株式会社Pro-SPIRE代表取締役社長

Winning Women Networkの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性エグゼクティブの法則~Winning Womenから後輩たちへ~』を連載しています。2015年9月1日号に掲載された記事をご紹介します。

最初は、パートタイマーでした。というのも、私は前の職場(現日本ユニシス)を結婚・出産を機に、いわゆる寿退社をしました。その後、子どもがある程度成長したところで、どうしてももう一度エンジニアの仕事をしたいと思い、当社の初代社長に「働きたい」とつづった年賀状を送りました。それが再スタート(パート)でした。

ところが、勤務開始後すぐにバブル経済が崩壊し、パートという理由だけで、会社を解雇されてしまいそうに...。そのため、フルタイムのエンジニア(正社員)を希望し、雇用形態を変更して働くことを決意しました。

それからは無我夢中で仕事をこなしてきました。やがて、お客様や上司から仕事の成果をだんだんと評価してもらえるようになり、「マネジメントする側として、組織を束ねてみないか?」と打診されるようにまでなりました。技術者として生きていきたかった私は、当時は「組織マネジメントには興味がないなぁ」と考えていたのですが、「短期間でもよいからチャレンジしてみろ」という初代社長の言葉で、試しにチャレンジしてみることにしました。

その後、経営者にとって必要な素養の1つとして叩き込まれたのは、BS、PL、CFといった財務諸表の捉え方。SEの私は、経営に関する知識も経験もほとんどなかったため、当社の2代目社長に、みっちりと鍛えられました。経営を学んでいくと、当時の当社は財務的に課題が多いことに驚き、何とか課題を克服し、持続的成長を遂げていかなければと必死になったものです。たとえ一般社員に嫌われたとしても、数字の鬼になりました(笑)。

紆余曲折はありましたが、最初は技術者の仕事が好きで、経営者になるなど思いもよりませんでしたし、むしろなりたくもなかったといっても過言ではありません。しかし、経営に携わってきて、今ではこの仕事が好きなのだと思います。とはいえ、経営者は、お客様や従業員、そしてさまざまなステークホルダーに対して、預かっているアセットを最善最適に活用し、最大のリターンを返していくという責任を担っています。私が4代目社長を担って7年半になりますが、その間の90%以上は精神的にも肉体的にも正直苦しかったです。でも、当社は創業から28年にわたって世の中に必要とされてきた証であり、誇りでもあります。ただ、経営には安定期や成熟期は存在しません。発展か衰退のどちらかです。会社がさらなる発展を遂げるために、もっともっと世のため人のためとなる会社にするべく、経営者としての責任を果たしていかなければならないと覚悟しています。今はそれが生きがいかもしれません(笑)。

めまぐるしい変化をみせる世の中に対応するには、常に社会に対してアンテナを張って"勉強"して、それを実務に活かしていくことが不可欠です。女性は、女性特有のライフサイクルがあるため、仕事や勉強を続けていくことが難しくなるシチュエーションやタイミングがあるかもしれません。けれども、社会から離れてしまい、仕事や勉強を続けないことはすごくもったいないことです。読者の方々には、ぜひ仕事はどんなことがあっても続けてほしい! そう願っています。"It's very important for women to earn their own money."

(「旬刊経理情報」2015年9月1日号より)

上原彩美氏

長田 ゆかり(おさだ・ゆかり)
株式会社Pro-SPIRE代表取締役社長

1981年筑波大学卒業後、日本ユニバック株式会社(現日本ユニシス株式会社)に入社。結婚・出産を機に退職したが、子育てが一段落ついた1993年株式会社Pro-SPIREにSEとして入社。システム開発事業部長、取締役、常務取締役を経て、2008年に現職。2015年3月芝浦工業大学専門職大学院工学マネジメント研究科卒、技術経営修士(MOT)取得。