「旬刊経理情報」連載 女性エグゼクティブの法則 ~Winning Womenから後輩たちへ~ 

第27回 夢はサンタクロースになること

2015.06.26
上原 彩美
リアルタイムメディア株式会社 代表取締役 兼グループ代表

Winning Women Networkの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性エグゼクティブの法則~Winning Womenから後輩たちへ~』を連載しています。2015年6月1日号に掲載された記事をご紹介します。

「子供の頃の夢はサンタクロース!」

そんな私が起業をしたのは、大学1年生、まだ19歳のときでした。当時私は写真を学んでおり、高価なプロ用カメラが欲しくて、ITベンチャー企業向けにキャラクターデザインを作成するアルバイトを始めました。最初は1件しかなかった仕事も徐々に依頼が増えていき、仕事の楽しさを覚え、起業を決意しました。

朝は大学に行って授業を受け、終わったらすぐに仕事を開始、夜中まで働いて、ちょっと寝て、また大学。当時片道2時間かかる大学に通っていたため、睡眠は主に往復の特急電車の車内とドイツ語の授業中にとっていました(先生、ごめんなさい...)。そんな生活のせいで、体調を崩したことがあり、そんなとき、自宅のパソコンでもできる仕事に、私自身がとても助けられました。「世の中には外で働きたくても働けない人がいるのではないだろうか?」。そこで思い立ち、子育てをしている主婦や障がいのある方に在宅でウェブの仕事をしてもらう事業を開始しました。

その後、事業は順調に進んでいたのですが、あるとき大事件が...。それが、リーマンショックでした。すべての仕事が止まりました。特に在宅向けの仕事はみつからない。このままどうしよう...。でも在宅で雇っている社員は、どうしても守ってあげたい。

取引先の社長に相談したところ、「中国での営業支援の仕事ならある、ただし条件は1人責任者が中国に赴任することだ」と言われ、在宅の社員の雇用を維持できるのならとの思いで、私自身が単身中国へ赴任することにしました。中国語をまったく知らない私が赴任先でただひたすら使っていた言葉が、"謝謝?"(ありがとう)という言葉です。日本人がよく使う言葉は"対不起"(すみません)なのに珍しいねとよくいわれましたが、ありがと うって伝えることは、相手に感謝するとともに、相手も自分自身も幸せな気持ちになれる世界共通のすばらしい言葉だと思い、常に心がけていました。

帰国後も震災の影響で経営状態は回復せず、在宅社員に雇用継続不可能の件を伝えに、謝りに行きました。必死で話したのは、今の会社の状態、どうしても彼女達を守りたかったので中国へ赴任していたことなど...。怒られるかなと思っていたら、彼女たちから返ってきた言葉は、「今まで本当にありがとう」でした。

この言葉をきっかけに、もう一度彼女たちを再雇用できるような会社にしたいと再起を図り、ITのシステム開発運用の仕事を手がけ、今では300人もの正社員を雇用する会社に成長することができました。

今の私の経営理念は、「すべての人に情報化社会の恩恵を」です。ITが普及したといわれる世の中ですが、まだまだ世界中の人すべてが情報化社会の恩恵が得られているとはいえないのが現状です。

幸せを届ける会社、世の中の人にありがとうと言われる会社にしていきたい! そうすれば、子供の頃夢に描いていたサンタクロースに少しだけ近づける気がします。

これからも1人でも多くのお客様、多くの社員やその家族に幸せを届ける企業になれるよう努めていきます。

(「旬刊経理情報」2015年6月1日号より)

上原彩美氏

上原 彩美(うえはら・あやみ)
リアルタイムメディア株式会社 代表取締役 兼グループ代表

学生時代は写真を専攻。大学時代にやっていたデザイン関係のアルバイトをきっかけに、ビジネスの面白さに目覚め、デザイン会社を設立する。2005年、以前より感じていた「育児中の主婦・主夫や障がい者にも、働きやすい環境を提供したい!」という想いのもと、在宅ワークの仲介ビジネスをスタート。その後、ソフトウェア開発運用事業を開始し、現在グループ企業7社、300名の社員を抱える。