「旬刊経理情報」連載 女性エグゼクティブの法則 ~Winning Womenから後輩たちへ~ 

第25回 覚悟すればチャンスがみえてくる

2015.05.22
君和田 和子
ソフトバンク株式会社 執行役員 経理、税務、内部統制、
情報システム統括 兼 経理部 部長 内部統制室 室長

Winning Women Networkの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性エグゼクティブの法則~Winning Womenから後輩たちへ~』を連載しています。2015年4月1日号に掲載された記事をご紹介します。

「この組織にずっといても、自分の能力が活かせない。これから先の自分のキャリアがみえない...」。
多くを語れるほどではありませんが、自分で評価する自分と組織が評価する自分との間にギャップが存在しているのではないかと感じ、私は30代半ばまで勤めていた監査法人を飛び出しました。その後、外資系の会社を経て、より自分の能力にマッチする仕事ができるのではないかと考えた結果、ソフトバンクに入社することにしました。

私が入社した当時、ソフトバンクはちょうど海外進出を始めたころで、私自身は連結会計の担当になりました。ところが、経営者は経理のことを考えて、買収する事業や会社を決めるわけではありません。あくまで「ビジネスがおもしろい、将来性がある」という視点が最優先です。そのせいか、買収した会社の連結業務では国も文化も違う相手とやり取りをするなかで、いくつもの苦い体験をしました。そのほかにも、会計に関する業務として、当社はIFRSを適用しているため、IFRSの考え方を経営サイドに説明するのに、日々、奮闘しているところです。ただこれらのような悩ましい? 業務でも無我夢中で取り組むことで、おもしろく、そして楽しんできています。私の楽観的というか、気持ちの切替えの早さというか、そうした性格のおかげもあるかもしれません(笑)。

ところが最近、こうした仕事のおもしろさに気づけない方が増えてきているように感じています。私が入社した当時にくらべると、多くの会社で、働く環境がきちんと整備され、みんなが同じラインからスタートできるようになっていて、仕事においてチャンスがあることが当たり前になっているからでしょうか。本来ならばこのチャンス(苦難にみえるかも?)にチャレンジすることで仕事がおもしろいと感じることができるのですが、目の前のチャンスがあまりにもたくさんありすぎて、それが普通のことになってしまっているかもしれません。ときに、会社の組織において、仕事がつまらないことを理由に部署異動の希望を出し、当然のように、自分の希望が通ると思いこんでいる方がいらっしゃいます。もし異動できなかったら...一昔前なら会社を辞めるというチャレンジを選ぶ方が多かった気がします。

要は、「覚悟」。目の前にあるのは確かにチャンスのはずですが、それに気づけず、自分のやりたいことができなかったら、現状にとどまらず飛び立つ覚悟をもってほしいのです。チャレンジしてほしいのです。私の場合はきっかけはともかく、やりたい仕事、興味のある仕事を求めて転職しました。外に一歩踏み出すことはとても勇気がいることですが、「覚悟」があれば案外できてしまうものです。

動きがあまりないといわれる経理の世界。しかし、その世界も絶え間なく変化しています。まずは、その環境に順応し、たくましく生きることを目指してください。そして大事なのは、組織にぶらさがらない覚悟をもつことです。そうすることできっと、みなさんがおもしろく、やりがいのある仕事にめぐりあうことができるのではないでしょうか。

(「旬刊経理情報」2015年4月1日号より)

君和田 和子氏

君和田 和子(きみわだ・かずこ)
ソフトバンク株式会社 執行役員 経理、税務、内部統制、情報システム統括 兼 経理部 部長 内部統制室 室長

1983年4月デロイト・ハスキンズ・アンド・セルズ公認会計士共同事務所(現・有限責任監査法人トーマツ)入所。マリンクロットメディカル株式会社管理部門マネージャーを経て、96年2月ソフトバンク株式会社入社。2000年10月経理部長就任。04年11月から06年1月まで関連事業室長を、07年4月より内部統制室長を兼任し、12年7月執行役員経理部長兼内部統制室長。14年4月より現職。1986年8月公認会計士登録。