「旬刊経理情報」連載 女性エグゼクティブの法則 ~Winning Womenから後輩たちへ~ 

第21回 「テレワーク」で、柔軟な働き方ができる社会に

2015.01.23
田澤 由利
株式会社ワイズスタッフ/株式会社テレワークマネジメント
代表取締役

Winning Women Networkの企画・協力で、「旬刊経理情報」に「女性エグゼクティブの法則~Winning Womenから後輩たちへ~」を連載しています。2014年12月1日号に掲載された記事をご紹介します。

「テレワーク」とは、「ICTを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のことで、アベノミクスの3本目の矢「成長戦略」において、女性の活躍推進の施策として記載されています。また、テレワークのなかでも特に、企業に勤めている人が家で仕事をする「在宅勤務」が注目されています。政府も、東京オリンピックが開催される2020年までに、「週1日以上終日、家で仕事をする在宅勤務者」を全労働者の10%以上にする、という高い目標を掲げています。

しかし、在宅勤務制度を導入している企業は、まだ「1.9%」に過ぎません(*)。これは、政府が、女性活用はもちろん、地方創生においても、テレワークの普及に力を入れている理由でもあります。

私自身が「テレワーク」という働き方を始めたのは、1992年の2月。「出産」と「夫の転勤」が重なり、シャープを退職してから半年後でした。子育て中でも、全国を転々としながらも働き続けるにはどうすればいいか。私がみつけた答えが「家で仕事をする」。自宅で原稿を書き、編集部にメールで送るフリーライターになったのです。そして、5度の転勤のなか、3人の娘の子育てをしつつ、仕事を続けることができたのは、「テレワーク」という働き方のおかげでした。

1998年、柔軟な働き方ができる社会にしたいと、夫の転勤先である北海道の北見市で、ワイズスタッフを立ち上げました。会社は何とか続けることはできているものの、10年経ってもワイズスタッフから業務発注をして働く契約スタッフは150名。「私1人が頑張っても、社会は変わらない。そうだ、企業を変えれば、もっと多くの人が、会社に通わなくても働ける!」そう考えた私は、2008年、企業の在宅勤務制度導入のコンサルティングを行うテレワークマネジメントを立ち上げました。実はこのとき、「在宅勤務のコンサルティング」という業務自体が、世の中に存在していませんでした。もちろん、それを実施する会社もありません。「市場規模はどれぐらい?」、「ニーズは高い?」、どちらも起業するときの重要なポイントですが、私の場合、市場もニーズもない状態での起業だったのです。でも、「必ず必要とされるときが来る」、「そのときに一番の会社にする」という強い思いを持ち、ヨロヨロしながら(笑)、頑張ってきました。

そして、ようやくここ数年、多くの企業が、「生産性向上」、「人材確保」、「コスト削減」、「災害対策」等、福利厚生ではなく、企業戦略として、テレワークの導入に取り組み始めました。同時に、「在宅勤務のコンサルティング」へのニーズが高まってきたのです。

今の感覚を言葉にすると、「草木をかき分け歩き続けていたら、少しずつ一緒に歩いてくれる人が増えてきた。さらに、追い風が吹いてきて、どんどん進みやすくなった」でしょうか。でも、追い風はいつまでも吹き続けてはくれません。早く進むことができる間に、風がなくても歩み続けることができる「道」にしなくてはいけません。「柔軟な働き方ができる社会にしたい」という思いが、16年前から変わっていないことが、唯一の自慢です。

(*)平成25年度総務省通信利用動向調査データから(株)テレワークマネジメントが算出。

(「旬刊経理情報」2014年12月1日号より)

田澤 由利氏

田澤 由利(たざわ・ゆり)

株式会社ワイズスタッフ/株式会社テレワークマネジメント 代表取締役
奈良県生まれ。上智大学卒業。シャープ株式会社にてPC関連業務に従事したが、出産と夫の転勤により退職し、フリーライターとして独立。1998年にワイズスタッフを設立し、全国スタッフが在宅で業務可能な「ネットオフィス」を実践。2008年、テレワークマネジメント設立。企業の在宅勤務の導入支援、国や自治体のテレワーク普及事業、SNSでの情報発信等を実施している。内閣府政策コメンテーター、北海道教育委員会委員等。北海道北見市在住。