「旬刊経理情報」連載 女性エグゼクティブの法則 ~Winning Womenから後輩たちへ~ 

第20回 経験から学んだこと

2015.01.21
柳 好美
株式会社モスストアカンパニー
代表取締役社長

Winning Women Networkの企画・協力で、「旬刊経理情報」に「女性エグゼクティブの法則~Winning Womenから後輩たちへ~」を連載しています。2014年11月1日号に掲載された記事をご紹介します。

私がモスフードサービス(モスバーガーを運営するフランチャイズ本部)に入社したのは、創業12年目に当たる1983年4月、まだ国内にモスバーガーが200店舗もない頃でした。若い会社で、機能やしくみなどできていないことも多かったのですが、夢は大きく「1つの街に1つのモスを」を合言葉に1,000店舗を目指して、全社一丸となって前に進んでいるというような状況でした。

入社後は毎年100店舗を超える出店が続き、お蔭様で1991年には当時の目標である1,000店舗を超えることができました。創業20年目のことでした。その加速度的に店舗を増やしていく際に店舗指導員として多くの出店を手掛けた経験が、今の私を支えています。1週間から10日間をかけて、加盟店様のお店に出向きます。アルバイトの採用からトレーニング、店長へ在庫管理等のマネジメント指導、そしてお店が新規オープンしてからは、朝から晩までお店で直接営業、運営指導する。これを年間30 ~ 40店舗行ったことで、私のマネジメントスタイルができたのだと思います。また、このときの店舗営業経験が今、オーナー様や店長方と話をするときの基礎となっています。

もう1つ、私の転機になった事柄は、ハワイの1号店出店に店舗指導員として向かったことです。店舗には8つの国と地域出身のキャストがいました。ハワイアン、アフリカン、チャイニーズ、コーリアン、インディアン・・・。ハワイのお店では、ビーフボールも売っていましたので、備品に箸と唐辛子と紅生姜がありました。キャストが私に聞きました。「好美、チョップスティックは日本語で何というのか?」、「HASHIだよ」、「日本人の観光客は、私が『HASHI』と言ったら喜んでくれるか?」、「もちろん喜ぶよ」、「それなら私は『HASHI』という言葉を覚える」、「・・・」。私は、それまで旅行でハワイを何度か訪れていましたが、お店では、店員さんが馴れ馴れしく日本語で話し掛けてくる、それを売らんがためと思っていましたので、その言葉を聞いて、自分の浅はかさが恥ずかしくなりました。

日本は、方言はあってもお互いに言葉で意思が通じないことはありません。しかしハワイでは、多民族の方が暮らしていて、その方々が意思を通じ合わせるため、また相手に敬意を示すための方法が、相手の出身国の言葉を覚えることだと気づいたことは、私にとって幸いでした。そして1カ月という短い期間でしたが、異国で異国の人たちの間で、モスバーガーの店舗運営を体験し、多様性について学べたことは私のモス人生にとってのターニングポイントになりました。

入社して32年目の今年、モスストアカンパニーというモスフードサービスの販売子会社の代表取締役社長に就任しました。店舗数200店、社員数300人というモスバーガー運営会社にあって、社員を成長させるための教育、お客様に喜ばれるためのお店づくり、地域に貢献できる店舗運営の強化が課題です。それを成し遂げ、適正な利益を出し、1人でも多くの社員に夢を与えたいと思っています。

(「旬刊経理情報」2014年11月1日号より)

柳 好美氏

柳 好美(やなぎ・よしみ)

株式会社モスストアカンパニー
代表取締役社長
東京都生まれ。東京農工大学農学部卒業後、株式会社モスフードサービスに入社。営業推進部課長、同次長(部長代行)、(人事グループ付出向)株式会社モスフードサービス北関東代表取締役社長、(執行役員人事グループ付出向)株式会社モスフードサービス北関東代表取締役社長、(取締役執行役員)営業本部長等を経て、平成26年4月に(取締役執行役員)株式会社モスストアカンパニー代表取締役社長に就任。