「旬刊経理情報」連載 女性エグゼクティブの法則 ~Winning Womenから後輩たちへ~ 

第15回 ビジネスを成功させたのは何??

2014.06.23
大河原 愛子
株式会社ジェーシー・コムサ
代表取締役会長

Winning Women Networkの企画・協力で、「旬刊経理情報」に「女性エグゼクティブの法則~Winning Womenから後輩たちへ~」を連載しています。2014年6月1日号に掲載された記事をご紹介します。

アントプレナーはどんな人でも苦労しているでしょう。しかし、時代によって苦労する場面というものは大きく違うものです。

私が起業した1960年代、大卒の女性は「生意気なだけで使えない」といわれ就職が非常に難しい時代でした。さらに外国籍で日本語も完全に話せない私を採用してくれる企業などありませんでした。ビジネス界に身を置くには自分が経営者になるしかなかったのです。しかし、当時、日本は高度経済成長期で、会社資産の要といわれるヒト・モノ・カネはすべて大企業に流れ、わが社のような中小企業では常に不足していました。女性であること、若いこと、外国人であることがさらに経営を難しくしました。しかし振り返ってみると、こういった逆境を乗り越えて発展してこれたのは「女性ならではの心配り」や「男性にない視点からのクリエイティブな発想」があったからではないかと感じております。また、企業にとって必要な「モノ」と「人とのつながり」は本当に大切だと思います。

私にとっては、「ピザ」と早い段階で出会えたことはラッキーでした。私がシカゴの大学に通っていた当時、ちょうどピザの大ブームが始まったころで、その美味しさとピザを囲んでの団らんの楽しさで、ピザ市場が急成長していく様子を目の当たりにしていました。すべてのアントプレナーが無から有を創るのは難しいことですが、アメリカで繁盛しているビジネスを日本にもってきて、少し日本向けにアレンジしたらうまくいったという例がよくみられました。ボウリングやスーパーなどです。このため、ピザも絶対にうまくいくだろうという密かな自信があったわけです。まだチーズさえポピュラーでなかった時代なので最初は売れなかったし、いろいろいわれましたが、発展を信じていましたから、あきらめずに地道に続けた結果、だんだん市場が育ちました。現在、日本のピザ市場は2,638億円です。

しかし、こうした成長は、私1人の力だけではとうてい無理なこともわかっていました。私は人脈を広げるために、ありとあらゆる交流会、セミナーに参加しました。その結果、ビジネスチャンスが舞い込んでくるということが何度もあり、それが当社の転機となり、日本のピザ市場の転機に繋がりました。

同時に「計画性」を持って、仕事をしてきたというのが、私のビジネス成功の秘訣になっていたと思われます。5年後、10年後の会社がどうなっているかを見据えて、限られた時間(イマ)を働く。これが将来に活きているのです。

世界をみても、女性はまだまだ男性に比べて、仕事に対して遠慮しがちです。ある有名な本のタイトル『Think like a man, Act like a lady, Work like a dog』を私自身のモットーとした時代もありましたが、今は「Think like a lady, Act like a lady, Work like a lady」の時代だと思います。多様性が求められています。勇気を出して、その1歩を踏み出してみてください。きっとladyであるあなたが輝けるときが来るはずですから。

(「旬刊経理情報」2014.6.1より)

大河原愛子氏

大河原 愛子(おおかわら・あいこ)
株式会社ジェーシー・コムサ 代表取締役会長

ハワイ出身・日系3世米国人。ノースウェスタン大学を経て、ジュネーブ大学卒業後に来日。1966年、ピザ専門メーカーだったジェーシー・フーズ(現・ジェーシー・コムサ)に経営責任者として入社。1978年代表取締役社長就任。2003年、外食産業のコムサネットとの合併に伴い食品メーカーと外食産業をあわせ持つ株式会社ジェーシー・コムサ代表取締役会長に就任。他に亀田製菓株式会社取締役、モルガン・スタンレー証券株式会社シニア・アドバイザー、株式会社パルコ社外取締役(現任)などを歴任。昨年春には女性取締役の国際的ネットワークであるWomen Corporate Directors(本部:N.Y.)の日本支部を立上げ、共同幹事としても活躍中。