「旬刊経理情報」連載 女性エグゼクティブの法則 ~Winning Womenから後輩たちへ~ 

第13回 「だから女はダメなのよ!」を乗り越えよう

2014.04.21
武内 紀子
株式会社コングレ
代表取締役社長

Winning Women Networkの企画・協力で、「旬刊経理情報」に「女性エグゼクティブの法則~Winning Womenから後輩たちへ~」を連載しています。2014年4月1日号に掲載された記事をご紹介します。

みなさんはコンベンション業界、あるいはPCOという仕事をご存じでしょうか。APEC、サミットといった大型国際会議や医学会・学術集会、展示会など幅広いコンベンションを企画・運営する専門会社を指します。私は大学新卒で、当時はいま以上に知名度の低かったこの業界に飛び込みました。それから20余年。1997年=COP3など、「〇年は・・・」と聞くと、その年に携った会議をまず思い出してしまうのは、この職業ならではかもしれません。

この業界は、世界的にみても女性が大いに活躍しています。コンベンションの仕事の基本に、いま注目の「おもてなし」があることは、多くの意見が一致するところです。一見華やかなイベントや国際会議の準備には、地道な作業や細やかな気遣いが求められ、語学力も必要になるため、女性のコミュニケーション能力を生かしやすいといわれることが多いのです。

私自身は昨年6月、会長となった創業社長から経営を引き継ぎ、株式会社コングレの社長に就任しましたが、この業界で働く女性は多くても、さて、経営層などの重要ポストに就いている女性の比率はというと、欧米と比べて日本は圧倒的に低いのが実情です。当社が事務局を務める同業者の国際組織では、加盟20社の半数の代表が女性であることを考えると、国内ではまだまだ少数派であると実感します。

業界で働く女性たちに、もっとステップアップしていくチャンスを! うれしいことに、最近になり、ようやく関係業界団体に次々と「女性部会」が生まれ、女性の意見も発信していこうという動きが活発化し始めています。

自分のこれまでを省みると、当社は創業当時から役員も男女比がほぼ半々。男女を区別するという意識が元来なく、常に新しいことにチャレンジして経験を積む場が平等に与えられてきたのは幸いでした。会長の明治生まれの母上が、時代に先駆けて仕事と家庭を両立させたスーパーウーマンだったそうで、その影響から自ずと築かれた社風だったようです。

一方で、ある大先輩の女性社長からは「ガツン」とくるコメントをもらったことがあります。「女性は、一定の経験を積むと、頑張らない、勉強しない、変われない、もうこのままでいい、と思ってしまう。だから女はダメなのよ」というもの。思わず自戒とともにうなずいてしまうのは、私だけでしょうか。男性、女性を問わず、いや、女性だからこそ、小さくまとまらず、失敗や変化をおそれず、前に進むパワーを持ち続けよ! という強烈な叱咤激励なのだと受けとめています。

「アベノミクス」では、女性活用が経済再生の最重要課題に位置づけられています。「気遣い」や「気配り」に留まらず、大きな視野を持ち、日々変化していく勇気を持つことが女性にも求められているのではないでしょうか。「ガールズトーク」を心の栄養に、「時事問題」や「わが社はいかにあるべきか、自分は何をすべきか」を考え、男性も巻き込みながら「アベノミクス」の流れに乗る。業界を問わず、そんなしたたかな女性が、第3の矢の成功のカギを握っているのかもしれません。

(「旬刊経理情報」2014.4.1より)

武内紀子氏

武内 紀子(たけうち・のりこ)
株式会社コングレ 代表取締役社長

1986年大阪大学人間科学部卒業後、コンベンション企画運営会社勤務を経て1990年株式会社コングレの設立に参画。株式会社コングレ入社後は、さまざまな国際会議、イベント、文化施設の企画営業・運営に従事。G8サミット、APEC会合、IMF・世銀総会など200を超えるプロジェクトを営業責任者として統括。2001年取締役営業企画部長、2005年常務取締役、2011年代表取締役専務を経て、2013年6月、代表取締役社長に就任。