「旬刊経理情報」連載 女性エグゼクティブの法則 ~Winning Womenから後輩たちへ~ 

第12回 信頼 ~仕事に花を咲かせる~

2014.03.24
石丸 郁子
飯田グループホールディングス株式会社

Winning Women Networkの企画・協力で、「旬刊経理情報」に「女性エグゼクティブの法則~Winning Womenから後輩たちへ~」を連載しています。2014年3月1日号に掲載された記事をご紹介します。

今の会社に入社したきっかけは、結婚後、子育てと年齢を考え、30歳を目途に再就職を、と思ったことでした。そして、私が就職をした頃は、共働き世帯は少なく女性(妻)は家庭、男性(夫)は企業という風潮があり、「女性が働く」ことは大変なことでした。近年でこそ、時短制度や産休制度など、女性の社会参加意欲を高める女性に働きやすい環境が整ってきておりますが、当時の女性には家事・育児と仕事との厳しい両立が、働くための条件でありました。

就職当時、私の場合、不動産業(建設業)という男性の職場イメージが強く、家族からも大変心配されました。しかし、仕事ぶりを見ていてくれる人、認めてくれる上司が身近におり、経営者から金庫番としての経理業務を任され、その後一事務員としてではないポジションで業務に携われたため、大変恵まれていたのではないかと思います。管理部門の1つである経理ですから、何も大きな功績を立てたわけでなく、誠実に、真面目に日々の業務をコツコツとこなしてきました。その地道さが経営者との信頼関係を築き上げたのではないかと思います。

バブルがはじけ、銀行融資の総量規制が引かれ、土地の価格は右肩上がりに上昇するという土地神話が崩れ、不動産業界が激変するなかで、仕事のポイントは、資金繰り、資金調達業務にありました。今までは考えていなかったことが、バブルの崩壊という逆境で、その業務の重要性を学ぶチャンスになりました。建売分譲住宅の要である土地仕入れは、現金取引で行われる場合が多く、資金調達で金融機関と折衝することも多くなり、ここでも信頼がキーポイントになりました。いつでも正確な財務諸表等の提示・経営者の誠実な折衝で信頼関係・良好な関係を築き上げ、交渉は成功しました。

このように苦難の時代を乗り越えたわけですが、家庭があるのに会社を辞めずに経営者についてこれたのは、そこにも「信頼」があったからです。厳しい面もありましたが、納得して任せてくれた、そういう素晴らしい経営者と一番近い立場で、信頼関係が築けていたことが大きな理由の1つです。また、会社の上場申請業務を行っている時、特に感じたことですが、この先この会社はどう発展・成長し続けるのだろうという期待感と、入社以来の社歴を目の前に思い起こして感激し、ますます愛社精神が強くなってきました。さらに、「より良質で安価な住宅を供給して社会に貢献する」という創業精神に共感できたことも大きかったと思います。

仕事をするなかで幾多の困難はありましたが、私自身は家庭では妻として、母として、会社では企業人として、逆境にもめげず、一生懸命に仕事をやってきました。経理はバックヤードでの仕事と一般的に思われがちで、経理部員自身もそう思っている方が多いと思います。しかし、どんな時でも次のステップと思い、バックヤードにも必ず花を咲かせてみせるように仕事をすることが大事です。何事も誠実に1つひとつのことを大切に真剣に取り組んでいきましょう。必ず結果はついてきますし、信頼が生まれることを信じて・・・。

(「旬刊経理情報」2014.3.1より)

石丸郁子氏

石丸 郁子(いしまる・いくこ)
飯田グループホールディングス株式会社

1978年7月に株式会社飯田産業に入社後、93年4月に経理部長に就任。その後、取締役経理部長、取締役財務部長、取締役執行役員財務部長、取締役執行役員一般管理本部長兼財務部長を経て、2011年7月に監査役に就任し、2013年11月に飯田グループホールディングス株式会社監査役に就任、現在に至る。