「旬刊経理情報」連載 女性エグゼクティブの法則 ~Winning Womenから後輩たちへ~ 

第9回 ピンチをチャンスに変える‼ ~ぶれないポリシーがもたらすチャレンジ精神~

2013.12.24
森川 典子
ボッシュ株式会社
取締役副社長

Winning Women Networkの企画・協力で、「旬刊経理情報」に「女性エグゼクティブの法則~Winning Womenから後輩たちへ~」を連載しています。2013年12月1日に掲載された記事をご紹介します。

私の経理との出会いは、新卒で入社した商社でした。当時は、なんとそろばんの試験があり、たまたま子供のときにそろばんを習っていたので、経理に配属されたのかなと想像しています。まずは簿記の勉強を始め2級をとりました。仕事は、海外駐在員事務所の経費清算・送金業務、決算業務、税務資料の作成、外部監査対応補助等でした。その頃は海外との連絡はテレックス(それもローマ字打ちで)、懐かしい昭和時代です。

しかし、その後事件が! 入社2年目に後輩の新卒男子学生が入社し、先輩の私が指導。ところが3年目に、彼が私の上司になると知らされ、人生の転機がきました。私は、彼を上司として仰ぎ、働く姿が想像できず...。よし、ここは、日本脱出。アメリカへの留学を決めました。26歳のときでした。

1984年9月、私は、アメリカ東海岸ニュージャージー州にいました。英語力も足らず、四苦八苦しながら、大学3年生に編入、卒業後、大学院へ進み、MBAを習得し、日本へ帰国したのが1991年でした。悲しいかな、バブル崩壊の厳しい現実。職がない! ここは、昔とった杵柄である経理経験を生かそうと思い、USCPAを目指し、会計事務所に入社しました。当時は、アメリカへまた戻るつもりでしたので、とにかく専門性の切り札が私には必要と考えた決断でした。

その後、顧客の外資系会社から誘われ転職し、内部監査業務をとおして会社のしくみを学び、事業部経理へ配属されました。アメリカ人CFOのもと、優秀なアメリカ人女性上司に恵まれ、遅咲きの私のキャリアが開花し始めました。すでに、30台半ばを過ぎていました。

経理の仕事だけに限りませんが、問題が起きたときがチャンスです。原因究明のために業務のしくみを解きほぐす絶好の機会で、私は、自分が直接担当していない分野もずいぶん学ぶことができました。

苦労したのは、グローバル企業における日本での自分の立ち位置でした。前職では海外赴任の経験をとおして成長を実感し帰国しましたが、直面したのは、外国人ならまだしも日本人女性の経営参画に戸惑う男性経営陣の表情。私のポリシーは、"Do the right thing/正しいことをする"。どんな状況でも、これだけはぶれようがない。次第に理解も深まり、真意でのビジネスパートナーになれました。

現在の会社においても、また違うチャレンジがあります。担当所管は経理財務以外にも人事、IT、購買、法務等と広がりました。企業の、また組織のリーダーについて、今、私が一番重要と考えているのは、"調整力"です。この力を発揮するためには、基礎となる個人の知識・経験はいうまでもありません。あなたのいうことだったらと思ってもらえる信頼という基盤、いざという事態に、たとえば、すぐに携帯電話に連絡できるネットワーク(人脈)力、そして、目的達成のための問題解決力・新規提案力が、私の指す"調整力"です。これが、国際舞台になると、さらに面白い。この調整力は、問題を他人事からわがごとに気づかせる"巻き込み力"も発揮します。

これからも、新しいチャンスに遭遇していくことでしょう。失敗もあるでしょう。人生は1度。やるしかないですよね!

(「旬刊経理情報」2013.12.1より)

森川典子氏 森川 典子(もりかわ・のりこ)
ボッシュ株式会社 取締役副社長
立命館大学を卒業後商社に入社。1984年アメリカへ留学。大学院入学後は、アメリカ大和証券株式会社に勤務しながら、MBAを取得。帰国後、アーサーアンダーセン会計事務所を経てモトローラ株式会社へ入社。シンガポール、香港赴任後、取締役経理財務担当に就任。2009年にボッシュ株式会社へ入社、ドイツ赴任を経て、2010年8月より現職。出身地愛媛県四国中央市のふるさとアドバイザーも務める。